Affair Story 『雨』まとめ

ツイッター小説(@affair_story_s)の『雨』をまとめました。
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Affair Story @affair_story_s

#twnovel 『雨』は少し心配そうな顔で、「今更だけどコレ、お金大丈夫なの?」掲げるのは携帯だ。「ああ、心配しないでいいよ。仲良しパックっていう、相互間の通話料定額の奴だから」「な、仲良しっ?」たじろぐ『雨』に俺は笑って見せ、「だから安心してもっと電話しろよ」「……う、うん」

2010-07-13 14:13:02
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#twnovel 雨の音が勢いを増し、テレビからは大雨洪水警報の報せ。唸りながら窓を開ければ見慣れた傘が歩いている。よお、声をかけると、傘が持ち上がり『雨』の顔が見えた。「何?」「いや、ちょっと雨強くね?」「何よ。今降らなかったら一ヶ月後に水不足とか文句言うくせに」鼻で笑われた。

2010-07-13 03:38:52
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「よお、元気か?」「ええ、勿論」「調子よさそうだな」「ええ、梅雨も本番だもの」「でも後一週間ぐらいだな」「ええ、そうね」「その後はしばらく晴れかな?」「ええ。だから覚えていて」「何を?」『雨』が傘を掲げ、雨の強さが増す。その中で笑顔が生まれた。 #twnovel 「私の頑張りを」

2010-07-12 21:14:41
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#twnovel 歩いていると見覚えのある傘があった。その位置はいつもより低く、傘の下から見えるのは腕ではなく、足だ。「何やってんだ?」「え? あ、ひゃ――っ」驚いた『雨』が傘を取り落として飛び退く。俺はその傘を取ってやろうとして、「あ、だ、ダメ!」傘の下には箱に入った猫がいた。

2010-07-11 02:44:28
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#twnovel 天高く掲げた傘に降るのは大量の雨。「はは、無駄だよ!」『雨』は眉を歪ませながらも腕を振り、「まだよ!」同時、背中を雨が打つ。驚き振り返れば『風』だ。「ふふふ、油断しましたね?」「二人掛り、だと!?」遠く、『君』が呆れた顔で、「何やってるの?」三人で顔を赤らめた。

2010-07-10 23:30:01
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#twnovel 電話に出てみたが声は聞こえない。耳を澄まして聞こえるのは水の落ちる音。「……『雨』か?」「え、ええ、私よ」「おお、久しぶり。元気だった?」「あ、う、うん」「何? どうかした?」「えっと、その、あ、明日、そっち行くから」テレビでは梅雨休みの終わりが告げられていた。

2010-07-10 04:02:23
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#twnovel 空を見上げれば、広がるのは雲だった。ついには雨まで降りだして、星の川はどこにもない。まあコレばかりは仕方ないか、と思っていると『雨』がやってくる。「ふと思ったけど、雨の日しか会えないってプチ七夕気分だな」「あ、あんたは何でそう恥ずかしい事をさらっと言うのよ!?」

2010-07-07 00:06:01
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#twnovel 起きて窓を開けると空に七色の橋が架かっていた。俺はその色合いに感嘆の声をあげ、しかし、「やべ、洗濯物!」視線を移して干されている服に触れる。「ん? 濡れてない?」虹が架かっているという事は、雨が降ったはずだ。俺は首を傾げ、ああ、と。「今度『雨』に礼言わないとな」

2010-07-04 20:11:23
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#twnovel 雨音に誘われて窓を開ければ『雨』がいた。「あー、明日出かけようと思ってたんだけどなー」「何? 文句でもあるの?」「別に。――あ、そうだ」首を傾げる『雨』の方に身を乗り出し、「明日一緒にどっか行かない?」「な、何言ってんのよ!」強さを増した雨に俺は体を引っ込める。

2010-07-04 01:38:08
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#twnovel くしゃみが出て唸っているとノックがあり、入ってきたのは『君』だ。「あら、大丈夫?」「ん、ちょっと大丈夫じゃない」鼻水をすすっていると『君』が薬を取り出し、「素直になれない子から。今度お礼言いなさいね?」ああ、と。必要なのは濡れた事の文句ではなく、心遣いへお礼だ。

2010-07-03 22:34:29
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#twnovel よせ、という俺の言葉に『運』は口の端を醜く持ち上げる。「おいおい、オレに言ってもしょーがねえだろうがよ。オレはただの事象だ。事をおこすのはオレじゃない。オレは何もしていない。テメエだって、『雨』にそう言って慰めたんだろう?」だったら、と。「ほら、オレも慰めろよ」

2010-07-02 02:30:05
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#twnovel 窓の外に『雨』を見つけ、よう、と声を掛ける。『雨』は初め怪訝な顔をしていたが近寄ってくれる。「……何なの? ニヤニヤ笑って。な、何かついてる?」「いや別に。ただ、お前とは他の奴より良く会ってる気がするなって」何となく口にすると、雨が強くなって姿が見えなくなった。

2010-07-01 18:11:11
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#twnovel 確かに『見える』前は雨嫌いだったかなー、と俺は傘の端から空を見上げ唸る。でも今では『雨』との付き合いもあり嫌いではない。むしろ今嫌いなのは、「やー!」そんな声と共に腰に衝撃。見遣れば濡れた『風』が抱きついていて、「ふふふ、傘では防ぎきれませんよ?」殴り飛ばした。

2010-06-28 23:37:01
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#twnovel 『雨』が泣く。自分の存在が生んだ出来事に悲観して。眼下から聞こえる怨嗟の声に『雨』は自らの身を抱いて蹲る。消えたい、と。そう聞こえた。俺は奥歯を噛みしめ、『雨』の手を掴んで無理やり立たせる。「お前が一人でどこにも行けないというのなら、俺がお前を引っ張ってやる!」

2010-06-28 09:24:53
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#twnovel 俺は傘の下に降る雨に何も言えず、眼下を見下ろす。土砂崩れによる被害に、多くの人が動き回っていた。俺は『雨』を見る。この状況を招いてしまった本人は、どこかへ逃げる事も出来ず、この光景を見なければいけない。だからせめて、と。俺は空を見上げ、雨の下この場に居続ける。

2010-06-28 02:46:07
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#twnovel 天気予報では朝から大雨洪水警報が出され、それに従うように、雨は強い。前を見据えることすら困難な雨の中、俺は高台へ登り、そして着くのは『雨』の横。少しの間の後、俺は『雨』の方へ傘を傾ける。何も言わず、何も言われず。ただ、少しの衝撃と共に傘の下にある肩が濡れていく。

2010-06-28 02:40:35
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#twnovel 傘をさして歩いていると袖を引かれた。振り返れば『匂い』だ。身を屈め『匂い』の上に傘を傾け、髪を梳いて漂うのは、「あれ、何だ? よく嗅いでる気が」『匂い』の目線を追ってみれば、塀からはみ出る見覚えのある傘。ああ、と。俺は『匂い』の頭を撫で、『雨』に近付いていく。

2010-06-27 01:28:14
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#twnovel 急な雨にどうするかと思っていると『雨』がいたので、「よっ」「ひゃっ! こ、こら! 入って来ないでよ!」「いいじゃんか――って、あれ?」違和感を覚え、傘の端を掴む。次に見るのは内側の肩。「な、何よ?」「いや、何か傘大きくなってね?」「――っ!」傘から蹴り出された。

2010-06-26 23:10:48
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#twnovel 雨宿りしていると『雨』が来て、ちょうどいいやと近寄ろうとすると鋭い目に射抜かれた。たじろいでいると向こうから近寄ってきて、「はい、これ」渡してくるのは傘だ。「どうせ忘れたんでしょう?」「ん、ああ、ありがと」礼を聞いて満足したのか、『雨』は鼻を鳴らして去っていく。

2010-06-26 23:04:37
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#twnovel 電話に出ると『雨』だった。俺は洗濯物に目をやりつつ、「えっと……もうすぐ?」「違うわよ。明日からずっとそっちだから、今日のうちに洗濯しておきなさい」「え? それだけの為に電話を? うわ、ありがとう」「れ、礼なんていらないわよ!」叫ばれたと同時、電話が切られた。

2010-06-23 19:09:43
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#twnovel 「あら?」声に振り返れば『君』がいた。「傘どうしたの? 最近は雨の日いつも持ってたのに」俺は肩をすくめ、「何か急に『雨』が電話くれなくなってなー」「何かしたの?」「何も。ただ雨じゃない時も電話していいって言っただけ」「……はぁ」『君』が呆れたように溜息をついた。

2010-06-22 01:22:16
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 「『雨』よ。もうすぐ着くと思うけど、傘は大丈夫?」「ああ、持ってるよ」「そう、それは良かった。それじゃ――」「え? それだけ?」「それだけって……?」「いや、いつもそれだけだからさ。降らない時でも電話かけてきていいんだぞ?」「――っ!?」何故か急に電話が切れた。

2010-06-22 01:06:07
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#twnovel 歩いてると携帯が鳴った。誰だと思って出ると、「あ、えっと……繋がってるのかしら、これ……?」首を傾げていると咳払いが聞こえ、「あの、聞こえてる? 『雨』だけど……」「おお、何? どうかした?」「ど、どうって、来る時に電話しろって言ったのは貴方でしょう!?」

2010-06-22 01:00:43
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 歩いていると『君』と『雨』がいた。遠くて声は聞こえないが『雨』の顔には笑顔があり、一方的に何かを言っている様子。やがて『雨』は何かを自慢げに取り出した。何だろうと覗けば携帯で、あらあらといった感じで笑う『君』に『雨』の笑みが深まる。俺は頬を掻き、空を見上げる。

2010-06-22 00:55:02
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#twnovel 「あ、おーい」声に振り返った『雨』は俺を見て顔を顰める。「何?」「おいおい邪険にすんなよ。ちょっと渡したい物があるだけだ」「え、そ、それってプレゼント……?」「まあそんな感じ」俺は『雨』の手に、「携帯。急に降られるの困るから今度から降るときは一報くれ」殴られた。

2010-06-22 00:49:23