妄想ss by桐江

桐江 @xkxyxrxixex

「全く」大きく溜息を吐いて俺の顎先を取る。「僕の目を見て」「睫毛」「黙って」じわり、じわりと迫る。「目線をゆっくり唇へ。そう」もう息がかかる程の距離。「まっ」呑まれた言葉の代わりに、熱っぽい水音。漸く解放されて目を開けると、腹立つくらいの良い笑顔。「解りました？」 #虎受け7日間

桐江 @xkxyxrxixex

「貴方仮にも既婚者でしょう？ キスの駆け引きくらい」「だってさぁ、俺、高校の初恋からそのまんまここまできちまったから…」あ、いま顔引きつらせたよな？「ほう。でもそれまでに恋の一つや二つ」「いや、レジェンド一筋…ってやめろ！ その可哀想な人を見る目を今すぐやめろ！」 #虎受け7日間

桐江 @xkxyxrxixex

あ、キスくる。俺は眼を閉じる。「…ん？」「虎徹さん、前から思ってたんですけどそのマニュアルみたいな反応やめてください。こっちが恥ずかしい」「なんだよ！ 目は瞑るもんだろ」「うわ古」「うるせえ！ しょうがねえだろ。テクニックだの駆け引きだの、よく分かんねえんだもん」 #虎受け7日間

桐江 @xkxyxrxixex

酔い潰れてカウンターに突っ伏す旧友に小さく舌打ちした。こいつの悩みや葛藤をそれなりに見てきたが、こっちの胸の内は知りもしないだろう。お前は人を疑わないから。無邪気に眠る眦に、盗み取るようなキス。お前の結婚式の日、俺がどちらに嫉妬したかなんて、お前は知らなくていい。 #虎受け7日間

桐江 @xkxyxrxixex

この道10年で未経験だと聞いた時には呆れもしたが、身体で覚える事なら飲み込みは早いらしい。素材も決して悪くないとくれば、さぞや人気が出るだろう。仕込みは今日が最後だよ虎徹君。私を睨む瞳を濡らしたのは怒り？ 憎悪？ それとももっと生理的な…？ 認めたまえ、ココがそう悪くないのだと。

桐江 @xkxyxrxixex

妙に深刻な顔で声をかけるものだから何事かと思えば、恋愛相談だなんて。漸く次の一歩を踏み出そうって言うのなら、応援しなきゃ女が廃るってものよ。頑張んなさいな。去り際に投げたキスを掌で受け止めて、そこへ唇を重ねてみせる。そんな粋な事するから、憎めないのよアンタが。 #虎受け7日間

桐江 @xkxyxrxixex

気付けば目で追ってしまうから、とうとう粗野な貴方の癖がうつってしまった。気付けば目で追ってしまうから、他の誰かと親しげに話す姿を見かけてポーカーフェイスが崩れてしまう。貴方のペースに飲み込まれて、僕が僕でいられなくなる。貴方のせいで。貴方のせいで。#好きすぎて嫌い

桐江 @xkxyxrxixex

お前のせいだよ。突っぱねるくせして構ってオーラ出してんだよお前気づいてねえのかよ。なんでそんなかわいそうなんだよ。なんでそんな……かわいいの。突っぱねられるの分かってても、気になってしょうがねえよこのやろう。 #好きすぎて嫌い

桐江 @xkxyxrxixex

「隠れても無駄ですよ」PDAを指差す。「っだ！ くそっ」ゆっくり近付いて、両腕の中に確保。きゅっと身を固めはしても抵抗はない。「何でだよ、何で俺を選ぶんだ」「さあ、何故でしょうね。マイナスポイントならいくらでも挙げられるのに。でも、嫌いって言えないんです」だからほら、顔を上げて？

桐江 @xkxyxrxixex

トップを競っていた彼がスランプに陥って、もう長い。今夜は彼の救助で私にポイントが入る有様だ。覇気を失っている理由がミスのせいでないことは、知っている。それを口実にしたくない気持ちも。俯く彼の額を撫でて、軽くキス。一夜だけでも、君が穏やかな気持ちで眠れますように。 #虎受け7日間

桐江 @xkxyxrxixex

養父に散々弄られた記憶の中の何が鍵になったのか。ある日突然、バニーは感情と呼べるものを根こそぎ失った。息もしてるし、目も開いてるし、声掛ければ振り向きもするけれど。何も見てない。お前を呼ぶのが誰なのか認識していない。だから俺は、傍に居る。目隠しする手間が省けたと、陰で笑いながら。

桐江 @xkxyxrxixex

擬態能力を欲する輩に、世間の裏を知らされた。アカデミーへの入学は、逃げだ。真っ直ぐに正義を見つめる仲間や、親友を差し置いてヒーローになった自分がずっと後ろめたかった。そんな僕の背中を、貴方が押してくれたんです。あの日の温もりを探して髪に触れた掌に、敬愛の口付けを。 #虎受け7日間

桐江 @xkxyxrxixex

「血が滾った」とでも形容すべきか。常に高みから断罪を下すばかりの私を、拳を交えるなどという野蛮な行為に興じさせ、挙句仮面を砕いたあの男。虚しい英雄の名を慕い、正義を掲げて揺らがぬ実直な瞳。砕かれた欠片にそっと唇を寄せる。私が持ち得なかった情熱への、羨望を込めて。 #虎受け7日間

桐江 @xkxyxrxixex

俺を優しく抱きながら耳に吹き込んだ睦言が本物だったのか、それとも毒を含んだ何かだったのか、もう永遠に解らない。けれどあの温もりに生かされた過去は、確かにある。己の骨すら残せなかった貴方が、俺に唯一残したもの。貴方なら消せたはずだろう？ 苦く笑って、かつて交わした酒を煽る。／マベ虎

桐江 @xkxyxrxixex

昨夜の粗相で大口スポンサーの機嫌を損ねたのが耳に入ったか。覚悟して執務室の扉をくぐる。ロイズの叱責には慣れていたが、纏う空気がいつもと違っていた。「困ったね虎徹くん」冷たい声音。「改めて奉仕の仕方を体に教え込む必要がありそうだ」怯える意識とは裏腹に、体の奥が期待に疼くのを感じた。

桐江 @xkxyxrxixex

スピネルのような瞳でネイサンが覗き込む。「何だよ」「ねぇアントン。靡かない女なんかより、アタシで手を打ったらどう？」鼻で笑うと、大袈裟に剥れてみせた。“手を打つ”だと？ 馬鹿言うな。「でもまあ、素直じゃねえのは、お互い様か」俺の後ろに伸びた手を押さえつけ、その艶やかな唇を塞いだ。

桐江 @xkxyxrxixex

カッとなって組み伏せた。腕一本で両手を押さえつけると、抵抗を止めた彼が静かに見上げる。「バニー、悪かった」「僕を、見くびらないでください、虎徹さん」謝罪の言葉など聞いてやらない。慣れた手付きでシャツのボタンを外し、隙間から差し入れた指で突起に触れる。彼は喉を反らせて小さく啼いた。

桐江 @xkxyxrxixex

上品なワインの残り香が鼻を掠める。窓から差し込む月明かりで手元を見れば、出掛けに結ってやったウインザーノットは、そのままの綺麗なシルエットを保っていた。「タイを解くようなことはなかったんだな」掬うように窺うと「貴方が心配するようなことは何も」くすりと微笑んで、金髪が揺れた。

桐江 @xkxyxrxixex

AM1:36 静かに帰宅したバニーは、リビングの窓に凭れた俺に気付くと僅かに驚いて見せた。「起きてたんですか。先に休んでも良かったのに」応えず無言で腕を伸ばすと、それだけで意図を解したように、上着を脱ぎかけた手を止めてこちらへ歩み寄る。俺はネクタイに指をかけ、くっ、と引き寄せた。

桐江 @xkxyxrxixex

「バニーはネクタイの結び方何種類知ってんの？」「何です突然。えっとシングル、クロス、あとブラインドフォールド」「今日は俺がやってやるよ。ウインザーノット。ほれ出来た」「ちょ、もう少しゆっくり…」「今度教えてやる。ほら行ってこい、遅れるぞ」今日はバニー単独でスポンサーとの会食だ。

桐江 @xkxyxrxixex

ソフトピンクのキャンディバー。キスして、舐めて、とろかして、透明なシロップに吸いついて。ほおばると、もっとふくらむバブルガム。てのひらと、くちびるで、ちゅくちゅく、ちゅく。ぢゅ、と大きく音を立てたらぶるんと跳ねて、ミルクヨーグルトのシャワー。おいしいおいしい、キャンディバー。

桐江 @xkxyxrxixex

行為自体に戸惑いは、もうない。どこをどうしたら“イイ”かも、お互いすっかり把握してる。「どうする今日」「じゃあうちで」そんな無感動の無味無臭のやりとりで俺達は体を繋げる。なのにお前、毎回すげぇ良い顔するから、俺も年甲斐なく、ときめいちまうんだ。何度でも。 #いい肉体関係バディの日

桐江 @xkxyxrxixex

おいたの過ぎた発情兎をポールハンガーにワイヤーで縫い止めた。「面白ぇ事になってんぞ」フックが股下から覗く。「今日の俺はおあずけ。そこで指銜えてな」膝をついて、フックの先端に舌を這わせる。ちらりと見遣って咥え込んだら、兎の喉が盛大に鳴った。 #いい肉体関係バディの日 #緊縛バニー

桐江 @xkxyxrxixex

タンクトップにアンダーウェアの無防備さで眠る彼に鼻先を寄せる。息を止め、髪の一房も触れぬよう、首筋から鎖骨、鎖骨から肩、肩から脇へ。壮年でありながらなお瑞々しい褐色の膚。この内腿に吸い付けばどんな味がするのだろう。纏わす布ごと暴いてやりたい欲望に渇く喉を宥めて、僕は彼を眼で犯す。

桐江 @xkxyxrxixex

目覚めたらベッドの主は単独出張に出た後だった。帰宅は1週間後。起こしてくれて構わねえから一声かけて行きゃいいのに。4つ並んだ予備の眼鏡が俺を見る。一つ手に取って覗けば、世界はあいつの見ている色に変わる。くらりとした酩酊感が何かに似ていて、うっとりと目を閉じた。 #眼鏡おじss祭り