『星の王子』

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キングAジョーカー @kingajokerjojo

『君達、少しの間外で待っていてくれ』とハコが言う。 僕達は言われた通りにする。 するとカコーンカコーンカキンカキン!という音に合わせて煙突から光が飛び出してくる。 光はずうっと高くまで昇って消えていく。 #星の王子

2012-11-04 23:15:20
キングAジョーカー @kingajokerjojo

僕達はその光を見ていた。 そうしていると透子と夢羊達とサボ犬がもこもこと現れた。 『光の柱が見えたから何かと思ったらついに星が集まったのね』 『そう。今ハコが加工している最中なんだ』 #星の王子

2012-11-04 23:26:03
キングAジョーカー @kingajokerjojo

音が止んでハコの家の戸が開いた。 『完成だ』 僕達はぞろぞろ家に入る。 金ピカの大きな星が出来上がっていた。 『すごいよハコ!』 『わ〜!』 『綺麗!』 『新星ね!』 『まっ眩しいにゃ〜』 『さあ、こいつに乗って飛ぶ姿を見せてくれ』 家中もこもこしていた。 #星の王子

2012-11-04 23:40:30
キングAジョーカー @kingajokerjojo

皆で星を抱えて外に出る。 『アンちゃ〜ん!』 『りりぃ!』 リリイズベーカリーのりりぃが来てくれた。 『今夜出発するんでしょう。これ持って行ってよ!』 そう言ってリリイズベーカリーの包紙を渡してきた。 『焼きたてじゃないか!』 『間に合って良かったわ!』 #星の王子

2012-11-04 23:44:52
キングAジョーカー @kingajokerjojo

『王子、これも持って行って』 透子が小さな袋を渡してきた。 中身を見ると色鮮やかな金平糖だった。 『みんなありがとう!』 そう言って僕としおは星に跨る。 『……ところでどうやって飛ぶの?』 #星の王子

2012-11-04 23:52:06
キングAジョーカー @kingajokerjojo

皆が頭にハテナを浮かべていると昼間のパンダが来た。 『星をなっ!しっかり掴んでなっ!念じる!』 僕は言われた通りにする。 すると星がふわりと浮き上がった。 そうして進めと念じた。 ゆらゆら揺れてなかなかうまくいかない。 #星の王子

2012-11-04 23:57:31
キングAジョーカー @kingajokerjojo

『お兄ちゃん怖くない?私ちょっと怖い』 しおが言う。 『僕は王子だぜ、恐怖に打ち勝つさ。しっかり僕を掴んでおけよ』 ようやく前に進み始めた。 しかし、右に左にぶれて真っ直ぐは進まない。 さらに遅い。 #星の王子

2012-11-05 00:09:15
キングAジョーカー @kingajokerjojo

透子がさっと手を上げた。 夢羊達が列を作っていき、サボ犬が列を正していく。 僕達の乗った星の両脇にずらりと夢羊が並ぶ。 夢羊の滑走路だ。 僕は集中する。 真っ直ぐ進み始め速度も上がっていく。 #星の王子

2012-11-05 00:13:53
キングAジョーカー @kingajokerjojo

『お兄ちゃんみゃーがいる!』 しおの指差す夢羊の上に確かにいる。 『マジシャンじゃないですの。二人の為に魔力を解き放ちます。この星に更なる加速を!主の意志を聞き入れ!高度をもたらせ!スピードスター!にゃ〜!』 星は輝きを増し加速する。 そうしてぐんぐん高く上がる。 #星の王子

2012-11-05 00:30:18
キングAジョーカー @kingajokerjojo

『ねぇみんな小さくなったよ』 『うん』 僕は振り返らない。 嬉しいのに涙が押し上げてくる。 そんな顔を妹に見せるわけにはいかない。 僕は金平糖を頬張る。 しおも袋に手を伸ばす。 『甘いね』 『うん、甘いね』 #星の王子

2012-11-05 00:37:08
キングAジョーカー @kingajokerjojo

僕達はそれから海に出た。 『海に映ってる〜』 僕は高度を下げる。 『しょっぱい〜』 飛沫が顔にかかったしおが僕のお尻を叩く。 『叩くなよ〜』 再び高度を上げて加速する。 北国まではすぐだった。 #星の王子

2012-11-05 00:44:30
キングAジョーカー @kingajokerjojo

『北国のお嬢は起きてるの?』 『きっと起きてる。この時間は夜空を見上げているはずさ、ほら』 こちらに手を振る人影。 僕達はそこに降りる。 『こんばんは、久嗣。さあ乗って』 『あっ王子だ!すごい星に乗ってる〜星の王子〜!ひょい』 僕達はずっとずっと高くまで登る。 #星の王子

2012-11-05 00:51:58
キングAジョーカー @kingajokerjojo

僕達は三日月に並んで座り、りりぃが渡してくれた包紙を開ける。 リリイズベーカリーのパンがたくさん入っていた。 久嗣は食パンを、しおはサンドイッチを、僕はどなつを選ぶ。 『食パン好きなんですー』 そうして久嗣が鞄から水筒を取り出す。 『ココアありますよ!』 #星の王子

2012-11-05 00:58:41
キングAジョーカー @kingajokerjojo

僕はここまでの経緯を久嗣に話したり、お菓子の話をしたり、しおが猫の話をした。 『久嗣にお願いがあるんだ。星作りに協力してくれた人の絵を描いてよ』 『いいですよ!』 そう言うと久嗣は鞄から虹色の筆を取り出し、胸ポケットから小さな笛を取り出し吹いた。 『ぴー!』 #星の王子

2012-11-05 01:05:44
キングAジョーカー @kingajokerjojo

しばらくすると翼竜が飛んできた。 『可愛い〜』しおは喜んでいる。 『メジャケンですよ〜ひょい』 久嗣はメジャケンに飛び乗ると雲に虹色の筆を走らせた。 ハコ、透子、サボ犬、夢羊、りりぃ、なっパンダ、アリア、みゃー、しお、僕、久嗣。 みんなよく似ていて笑っている。 #星の王子

2012-11-05 01:15:45
キングAジョーカー @kingajokerjojo

僕達はその雲を星に繋ぐ。 そうして北国の大地まで降りる。 『楽しかった〜!』 『お菓子パーティーするから今度は久嗣がこっちに来てよ』 『いくいく〜!』 『じゃあまたね』 『またね〜!』 僕としおは星に跨り国へ帰る。 しおは帰り道眠っていたようだ。 #星の王子

2012-11-05 01:23:09
キングAジョーカー @kingajokerjojo

帰り道、海の向こうから朝日が昇ってキラキラしていた。 ハコの家に着くとハコと透子が迎えてくれた。 雲に描かれた似顔絵を見て笑っていたので僕は嬉しい。 他の皆はハコの家で夢羊を抱いて眠っていた。 きっと楽しい夢を見ているだろう。 僕はしおをおんぶして城へ帰る。 #星の王子

2012-11-05 01:34:54
キングAジョーカー @kingajokerjojo

アンドレがしおをおぶって歩いてきた。 『ぐもにんアンドレ!』 『ぐもにん王よ』 疲れきった表情だが満足感と昨日までは無かった逞しさがあるように思える。 『何も聞きはせぬ。さあ、本日は存分に眠る事を許可する』 潮の香り、風の名残。星を手にしたか。 王の知らぬ物語、完。 #星の王子

2012-11-05 01:47:22

~あとがき~

キングAジョーカー @kingajokerjojo

なんか周りの同級生達は同じような恋愛ばかりしててつまらないなぁと私は思う。 友達の茜も同じような人を好きになって同じように惚気て同じような理由で失恋する。 と言っても茜の恋は三つしか知らないし、そのうちの一つは今も続いている。

2012-11-03 17:52:15
キングAジョーカー @kingajokerjojo

でもやっぱり同じような理由で失恋するんだろうなと私は予想してる。 茜はフルオートマチック恋愛システムに乗っているんだ。 全く同じ人間はいないけど似てる人間は多い。 その人間を選んだ時点である程度予測は立つ。 私には最初の恋の焼き増しをしてるようにしかみえない。

2012-11-03 18:00:06
キングAジョーカー @kingajokerjojo

でも茜は恋愛を充分に楽しんでいるし実際に楽しくてたまらないんだろうし楽しい分不安にもなって充分に悲しんで泣く。

2012-11-03 18:03:01
キングAジョーカー @kingajokerjojo

恋愛をそういう風にみていて私は恋愛ができるんだろうか。 そういう風にみえているだけで、実際に体験したら変わるのかな。 誰かを好きになったりするのかな。 そんな俯瞰にいた私を引きずり下ろしたのが秋彦だった。

2012-11-03 18:10:02
キングAジョーカー @kingajokerjojo

秋彦は茜の今の彼氏の透の友達で休み時間やなんかに一緒にいることが多くなった。 と言っても私と秋彦が話すことはほとんどない。 だいたい、茜と透が話してて私達はそれに返事をしているだけだ。

2012-11-03 18:18:14