totinohanaさんのアニメ感想『絶園のテンペスト』

主に自分用のまとめ。
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橡の花 @totinohana

続)“そちら”、すなわち本作における転落の主題のムーヴメント、愛花がさそい、吉野が―おそらく魔術師への道を―走るその場所は今回真広を境界線にして、どこか後ろ暗い。現に吉野は彼に黙って山本たちと共謀するし、そこではもっぱら嘘が不貞が、「不合理」が扱われているのである。(続

2012-11-10 17:10:35
橡の花 @totinohana

続)そんな過剰に“条”理的な真広には、一族のために絶園の樹を蘇生させようとする左門と、はじまりの樹と共に“超大局的”な秩序をになう葉風の姿が重なってみえる。この二つに引き裂かれているように。彼は不貞を知らず、“そちら”を薙いで、吉野のもとへひた走る。当たり前に。(続

2012-11-10 17:11:23
橡の花 @totinohana

続)それは過つ(賽を投げる)まえの左門であり、おそらく、はじまりの樹とまだ人倫的な均衡を保てる段階(つまりある意味で“賽を投げられ”幸運だった)の葉風である。だが、「この世の関節は外れてしまった」。真広には、愛花が問いかけたあのときから。境界の花がそこへ、彼にも轍を成す。

2012-11-10 17:11:59
橡の花 @totinohana

『絶園のテンペスト』の凄いところのひとつは(物語的には要旨だが)、例えば葉風が原案『あらし』におけるフロスペローなのだとしたら、あるいは魔法に手を出す人物すべてにいくらかそうした性質を読み取ろうとするなら、“彼らのミランダ”が既に死んでいるというところ。それがどれだけ致命的か。

2012-11-12 03:49:50
橡の花 @totinohana

そもそも『あらし』がどういう話(ロマンス)か?という視点でね、例えば『福田恒存翻訳集7』の作品評集や、和田勇一さんの『シェイクスピア作品研究』(78)とか読むと、大体こういうことで解釈は纏まってる―すなわちフロスペローは、ミランダのために“あらし”を起した(魔法を使った)のだと。

2012-11-12 04:00:46
橡の花 @totinohana

そのミランダが、“既に死んでいる”ってアンタ…。もちろん度々引用される『ハムレット』に、「オフィーリアとの人生」なんて項目(幕)はない。「この世には…」という「理」のひとつにも、そうした生活の一場面の力は及ばない。じゃあ一体何が、いまさら何が?“あらし”に何が?という…。

2012-11-12 04:06:55
橡の花 @totinohana

『絶園のテンペスト』第7話を視聴。佳境、「ファースト・キス」の回想にあて、「決断は所詮、記憶の僕だ」という『ハムレット』の台詞が引用される。彼らの記憶は、境界線を背にした後方、道程にまたたく―それは例えば、ふたり廃バスの両側面にわかれて窓子越しに仰いだ星々、(続

2012-11-16 19:01:21
橡の花 @totinohana

続)向日葵畑に倒れ伏したうえ、愛花越しにひらめいた夏の日差し―そしてラストショット、“例によって真広と吉野の配置にてらせば(つまり画面奥が)”、決断を促すための最後の記憶となるはずの、戦場の風景である。これらの風景にはひとつのムーブメントが潜んでいる。あの愛花の、転落の。(続

2012-11-16 19:02:10
橡の花 @totinohana

続)それは今回、冒頭の奇妙な時計塔の周囲を廻るムーブマン、針の動きなどに象徴される、然るべき「時」を指す。いずれ、たったひとつの合理しか分からない兄は、もうひとつの条理を知る。時は進む。愛花が流れる斜線、吉野の唇へなだらかに下るはずだった斜線のように。だが、それは…(続

2012-11-16 19:03:41
橡の花 @totinohana

続)それでも必ず、口づけの変わりに吉野はそれをいうことになるだろう。邪(魔)法と理法の境界と、ならぬ運命の斜線が交わるところに、淀みなく時を流し進めてしまうだろう、真実の魔法の言葉が紡がれる、決断の瞬間がある。そんな世界があると理解させてしまう瞬間が。その男の立つ場所が>絶園7話

2012-11-16 19:04:51
橡の花 @totinohana

堪らない、ホント堪らない『絶園のテンペスト』。オフィーリアの入水の意味をよく掬ってる。たしかに、『ハムレット』もまたフロスペローの起した“あらし”だったら、それはどんなに良かっただろうか…。

2012-11-16 19:10:28
橡の花 @totinohana

しかし、岡マリさん(脚本)と山本秀世さん(コンテマン)が組むとこうなるのか…。そうかあ(茫然>絶園7話

2012-11-16 19:17:39
橡の花 @totinohana

@fullhuro そういえば真広、豊永さん=フリットさんなんですものね。というかそう考えると「バナージの理念を認められるのか?フリット」という、ガンダム的に面白い組み合わせにw。

2012-11-16 19:26:16
橡の花 @totinohana

『絶園のテンペスト』第8話を視聴。ついに左門が仕掛けた“あらし”の正体が明らかになるとき、“樽”を軸として、それまでふたつの「此岸」の対立であったものが、「彼岸」とのそれへと転回する。その意味するところに比べれば、三軍の砲火など“孤島の周りのさざなみ”に過ぎない。(続

2012-11-24 02:21:06
橡の花 @totinohana

続)注目すべきは同軸線上に対峙する左門と真広の傍らの“ふたり”、対角線上の吉野と、吊り下がる白骨である。白骨の秘密が明かされる前、葉風は真広とはまるで「はじまりの樹」に結び付けられたようだといった、その次の想像―もし左門の告白が正しいのだとすれば、「魔法」は“合理”のために、(続

2012-11-24 02:22:42
橡の花 @totinohana

続)“よりにもよって合理のために”、樹は6話における吉野の懸念を裏付ける力を及ぼした虞がある―見れば、対峙する彼らの構図はあの「坂」を、転落のムーブメントをなぞり、真相を知って茫然と海岸線をさまよう葉風の志向は、愛花の死の意味を追ってさまよってきたこれまでの吉野をなぞるのである。

2012-11-24 02:24:06
橡の花 @totinohana

ちなみにシェイクスピア作品において「嵐」がどれだけ重要なモチーフかは、和田勇一さんの(日本のスペンサー学会を率いた人)『シェイクスピア作品研究』(78)に詳しい。

2012-11-24 03:29:26
橡の花 @totinohana

『ハムレット』読み直すかーっ……(若干面倒くさそうにw/あとバシュラールの『火の精神分析』にオフィーリアの論考があったはずだが、アレも(いや?別の本かな?まあいいやCiNiiで調べれば。前にどっかの論文で見た

2012-11-24 03:22:19
橡の花 @totinohana

しかし『絶園』の脚本はエヴァンジェリン・山本さんが本当に謎、という以外、実に見事(なーんかあるんだろうけどねえ)。こうなると原作が俄然気になるが、どんな感じなんだろうか?アニメのほうが全然面白いという意見も聞きます。(戯曲的な感じは、そらアニメのがマッチするだろうけど

2012-11-24 03:48:59
橡の花 @totinohana

吉野にとって、真広に真実を告白することは「生きるべきだ」ということ。

2012-11-27 01:37:59
橡の花 @totinohana

ついに“ミランダのためのあらし”が起こる、『絶園のテンペスト』。しかもその転換の瞬間が見事に前回の演出にかかってて(本当に細かいところから練られてた)、さながら戯曲の翻案を見るように思わずTVのまえで「やった!やりやがった!!」と汚い言葉を吐いてしまいましたw。感想は後ほど。

2012-11-30 17:45:06
橡の花 @totinohana

『絶園のテンペスト』第9話を視聴。左門と真広が対峙し取引する「坂」の舞台装置(此岸)が、いまや唯一世界を左右する空間であるかのように、孤島の葉風の命脈を繋いでいる人形が迷いもなく捨てられる(転落)―半分だけ“彼岸に濡れる”人形を拾い、吉野は自問する―そして、思い出す。(続

2012-12-01 01:44:44
橡の花 @totinohana

続)切立った海岸の崖の上に、愛花が呟いた『テンペスト(あらし)』のことを。海風が、日差しが、波が“海岸線へ引き寄せられる”―例えば「絶園の樹」を囲んでいる自衛隊の砲火、葉風に打ち付ける雨風、境界線上の吉野の反乱―それらは全て“それにより”転落を押し返す“あらし”の系列であり、(続

2012-12-01 01:48:19
橡の花 @totinohana

続)孤島(“絶園”)を囲む(=構成する、その“あらし”の目こそは、1話のアバン以来失われた“転落以前”の「直列」のモチーフ)大魔法の呪文は、坂の上の吉野が誓うあの台詞である(そもそも「坂」は、本作にあって最初に誰に与えられていたか?)。彼らのミランダのためのあらしが、巻き起こる。

2012-12-01 01:49:41
橡の花 @totinohana

とにかくその瞬間に“孤島を囲むものたち”がイメージ的に折り重なり、“あらし”を、まるでエリアールが束ね上げたように、フロスペローの「あらし」を形成する場面は感動もの。そうだ、それだ!それがあのあらしなんだ。しかも1話のアレをちゃんと下敷きにしてるじゃん!!―と、嬉しくなっちゃう。

2012-12-01 02:08:25
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