ニンジャスレイヤー×キングゲイナー 第一話 #2

遥か未来…マッポーの世を乗り越えた人類はこれまでの行いを反省し、僻地で奥ゆかしい生活を行なっていた。しかし、数万年にわたる反省の日々は人々の心をむしろ堕落させ始めていた。人類は再び歩み出せるのであろうか。エクソダス。……備えよう。 まとめリスト:http://togetter.com/li/407449
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Jokester @motor_cub

「エジャナイザ!エジャナイザ!」フェスティバルのチャントが地下まで聞こえてくる。踊りが始まったのだろう。脱獄するには好都合だ。「エクソダス、するかい?」ゲインがウィンクする。「ハイ!ゲイン=サン!!」若干寒気がゲイナーに走ったが、しっかりと返事をした。 20

2012-11-14 22:12:24
Jokester @motor_cub

祭りで人が殆ど出払っているのだろう。ザシキ・ダンジョンからはあっさりと出ることができた。今は城の広大な廊下を走っている。「暑くないのですか?それ」極寒の地とはいえ城の中は高性能な暖房設備によって室温が保たれており、外向きのコートを着ているゲインは見るからに暑そうだ。 21

2012-11-14 22:17:30
Jokester @motor_cub

「実際暑いが防弾チョッキになっている、脱ぐわけにはいかない。」牢を出てからのゲインの動きは実に手慣れたものであった。明らかに素人のそれではない。この男はヤクザだろうか?それとも政府が放ったスパイであろうか?だが、この男に付いて行けばここから脱出できることだけは確かだった。 22

2012-11-14 22:21:46
Jokester @motor_cub

「フ、ハッハッハッハ。ゲイン・ビジョウ=サンなどとっくに捕まえてあります、アスハム=サン。」ウルグスクのシベ鉄警備隊の責任者であるヤッサバ・ジンは「辻斬り」と書かれたサケを注ぎながらIRC通信していた。壁には「大根卸」「詰腹」「鏖」と書かれた威圧的なショドーが飾られている。 24

2012-11-14 22:29:08
Jokester @motor_cub

『それは、おそらくわざとです。彼の別名は“黒いサザンクロス”といいます。』通信相手のアスハムはヤッサバの発言を嘲笑いながら言った。「黒いサザンクロス!?」『実際有名です。』ヤッサバの顔がサムライのそれに変わった。「アデット=サンを呼べ!」大声を張り上げる。 25

2012-11-14 22:32:37
Jokester @motor_cub

「聞きました。」立ち聞きしていたらしいアデットがすぐに部屋に入ってくる。「本当なら、エクソダスの請負人で、ゲイのサディスト。アイエ!?既にやられたかもしれません!」アデットはUNIXを立ち上げ、緊急IRC回線を開いた。 26

2012-11-14 22:37:05
Jokester @motor_cub

「これならピープルどもに負けることはない、ユウジョウ!」「ユウジョウ!」倉庫の門へフェスティバル用の装飾を付け終わったらしい彼らはお互いの労を労いあっていた。「もう一杯いかがです?」「オットット、たまりません!」いつもなら勤務中の飲酒は禁止されているが今日はブレイコウだ。 28

2012-11-14 22:41:38
Jokester @motor_cub

仕事でフェスティバルに参加出来ない彼らを哀れんだメダイユ公は自分用の高価なサケを下賜し、『「飲んでも飲まれるな」というミヤモト・マサシのコトワザを守ればいくら飲んでも構わない』としており、実際彼らもそれを守っている。 29

2012-11-14 22:45:47
Jokester @motor_cub

「アー、アー…イイ。」泥酔した男が倉庫に近づいてくる。「アン?」今日20人目の酔っぱらいだ。彼らの仕事はこのような不審者を警棒で叩くことである。「遥かにイイです…。いや、右にももうひとりいてさぁ…。」男は意味不明な言葉を呟いており、ZBR中毒者かもしれないと思い身構える。 30

2012-11-14 22:49:38
Jokester @motor_cub

「止まれ!」「イヤーッ!」衛兵が制止しようと警棒を前に出したと同時に男は踏み込み強烈なアッパーを決めた!「イ、イヤーッ!」さらに別の男がもう一人の衛兵の頭にコートを被せる!「イヤーッ!」「グワーッ!?アバーッ!!」視界を塞がれた衛兵はゲインのケリ・キックを喰らい気絶! 31

2012-11-14 22:53:33
Jokester @motor_cub

「コートを捨てるつもりは無い、ゲイナー=サン。」そのまま立ち去ろうとしたゲイナーにゲインが言う。「エ…?アッハイ!」ザシキ・ダンジョンを脱獄したゲインは「泥棒がばれたら家に火をつけろ」というミヤモト・マサシのコトワザに従い、メダイユ公の倉庫へ役に立つものを調達しに来たのだ。 32

2012-11-14 22:57:03
Jokester @motor_cub

「アイエ!?」倉庫の扉を前にゲインが右腕を差し出す。「銃だ。」「エ……、アッハイ。」牢番から奪った銃を手渡す。「これも要るだろ!」ゲインはゲイナーが持っているコートを奪い、それで跳弾を防ぎながら器用に銃弾で鍵を破壊した。 33

2012-11-14 23:02:24
Jokester @motor_cub

「昔のオーバーマンもあるんですかぁ?」ゲイナーが遠くでセキュリティ盤を操作しているゲインに聞く。オーバーマンとは特異な機能を持った人型ロボットのことである。特に大変動以前に作られたものは飛び抜けて高性能だ。ゲイナーはママドゥ・センセイからそう教わっている。 34

2012-11-14 23:06:37
Jokester @motor_cub

「ここのドームポリス、ウルグスクのメダイユ公爵は、なんでもかんでも芸術品にしてしまう。そのおかげで頂けるんだがね。」「『頂く』?」「使わせてもらうのさ。」ゲイナーは流されるままこの強盗を手伝っていた。家に帰ってもまたシベ鉄に逮捕されるだけだからだ。 35

2012-11-14 23:10:51
Jokester @motor_cub

何より「泥棒がばれたら家に火をつけろ」というコトワザもある。世界中の鉄道と輸送を牛耳るシベ鉄を敵に回してしまっては逃げ場は無い、それこそオーバーマンでもなければ。 36

2012-11-14 23:14:31
Jokester @motor_cub

「非常に明るいボンボリの真ん前はかえって見にくい」ゲイナーはミヤモト・マサシのコトワザを思い出さずにはいられなかった。そのアンティークなオーバーマンは倉庫の中心で堂々とその禍々しい姿を放っていたのだ。「スゴイ…、こんなの見たことありませんよ!」 37

2012-11-14 23:18:49
Jokester @motor_cub

「中央に内緒で収集したんだろ。」ゲインが平然と言う、しかし内心では実際驚いていた。「非常に明るいボンボリの真ん前はかえって見にくい」というコトワザを呟かずにはいられなかった。「実際ヤバイです。」ゲイナーは『ニンジャイクサ』に出てくるような機体の実物に興奮していた。 38

2012-11-14 23:22:47
Jokester @motor_cub

そのオーバーマンはサムライでもあり、ニンジャでもある…ヤバイ級の攻撃的アトモスフィアを漂わせていた。「そこからコクピット開くか?ゲイナー=サン。」「アイエッ!?コクピットと言っても…」「早さ重点。敵が来る。」ゲイナーはとりあえずブラジャーの辺りを探し始めた。 39

2012-11-14 23:27:51
Jokester @motor_cub

「んっ、アー…。あっ、ありました」開放操作を行うとブラジャーが上がりジッパーが降ろされた。「やるじゃないか、少年」「ただの原理原則です。」「実際そうだ。」オーバーマンはオーバーマン同士の互換性が強く、基礎部分は殆ど共通しているのだ。 40

2012-11-14 23:31:57
Jokester @motor_cub

「そちらにも、同じボタンがありますか?アッ、オートでした。」台座のロックが解除される。「予定通りだ。始動してみろ。」「アッハイ。」オーバーマンはアンティーク品にも関わらず良く整備されており起動するのに支障は何も無かった。 41

2012-11-14 23:35:38
Jokester @motor_cub

「ここの領主はムーホンする気でこいつを収集していたとしか思えないな。」外から概観していたゲインが言う。「骨董品には見えませんね。アイエエ!?ちょっ、ちょっと待ってください!」UNIXが起動しコックピット内の画面に次々と文字が表示される! 42

2012-11-14 23:39:21
Jokester @motor_cub

「騒ぐなッコラー!急げ!」ゲインが叫ぶ!「アイエエエ…、アア…アア?名前を登録?これか!ゲイ、ゲイナー。キングゲイナー!」 43

2012-11-14 23:43:59