#浬玖ZS弐　ssのみ (3ページ目)

【39】瓦礫の奥にしっかりした扉を見つける。取っ手を回すと錆び付いた音を立てて開く。そこは意外と明るく、無傷の窓硝子を通して差し込んだ光の中で埃がきらきらと舞っていた。内側から鍵が掛かるのを確かめ、窓の手前に適当にがらくたを積んだあとソファにぱったりと倒れて眠った。 #浬玖ZS弐

2012-12-30 10:50:37

【40】目を覚まし暫く脱力していたがやがて扉を出る。死角であり良い隠れ家になりそうだったが、またいつか別の誰かがやってくるだろう。歩くうち小さな川に当たり橋が遠く見えたが、景観よく整備されているのか飛び石があったので踏んで対岸に渡った。 #浬玖ZS弐

2012-12-31 11:49:44

【41】ねぐらと決めたマンションの階段を適当に登り鍵が開いている部屋を見つけて侵入した。その部屋は全く荒れておらず誰かが今にも帰ってきそうで、まるで自分が空き巣にでもなったような気分だ。まあ実際似たようなものだ。ちょっと探すと戸棚に多少の食糧を見つけ貰うことにした。 #浬玖ZS弐

2013-01-02 11:23:29

【42】その日目星を付けた家屋内にじっと立つ。肌が粟立ってどうも落ち着かない。突然すぐ後ろのクロゼットから気配を感じ、飛びすさると同時に勢い良く開いた扉からゾンビが現れ組み付いてくる。揉み合いつつなんとか右手で刀を抜き放ち、狙い定める余裕もなくざっくりと斬りつけた。 #浬玖ZS弐

2013-01-03 11:45:41

【43.1】音を立ててすぐそばの家屋が崩れ、土煙の向こうから何か巨大な物が突進してくる。咄嗟に身を低くして躱したのち信じられない思いでそれを見やった。ゾンビ化したヒグマだ。そんな奴がそうそう徘徊しているとも思えないしひと月ほど前に遭遇したのと同じ奴かもしれない。 #浬玖ZS弐

2013-01-07 03:45:09

【43.2】――大凡同じ方向に歩き続けたんだからここからはだいぶ距離があるはずだ。こんなところで再会するとは。まったく嬉しくないし寧ろヤバい。まさか追ってきたのか。俺が何をした。途中に金網があったはずだがどうやったんだ。ああ、こいつなら楽にぶち破れるかもしれんな。 #浬玖ZS弐

2013-01-07 03:45:17

【43.3】一瞬で考えが巡る一方で体は勝手に刀を抜く。あの頃の角材よりはマシだがそれでも勝てる気はしない。今の体力では逃げ切るのも無理だ。――そうだ、思い出せ。何の為にこんな所を彷徨っている。どうせ死ぬのならばと歩き出した筈だ。ここで戦って果てるのなら本望だろう。 #浬玖ZS弐

2013-01-07 03:45:27

【43.4】かなり頑張って数度の攻撃を避けたのちどうにか少しばかり距離を取って刀を両手で持った。覚悟は決めた。少し前までガキどもを道連れに死なせぬよう多少気を付けていたのだがそれが今まで振り切れてなかったようだ。真正面から迫る敵の首筋に狙いを定めてぶつかっていった。 #浬玖ZS弐

2013-01-07 04:06:34