ゼンズ短篇集　「紫陽花」

zenzen™（フルーツパーラー™） @zenzenzz

わたしは記憶を失った　 しかし　夏場の　 氷水に浸かった缶ジュースは割高だと言う事だけは 覚えている。　 　　　終　　 【ゼンゼンズズ短篇集　「紫陽花」より『記憶の0℃』】

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老いていくわたしを尻目に 食べ物はいつも　新鮮で瑞瑞しい 刺し身との年齢差は顕著だが 一方で　ソフトクリームとの年齢差も　気になるところだ 今日、私と食べ物との年齢差が　日に日にひらいていく事に 気がついてしまったのだ 【ゼンズ短篇集『紫陽花』より　「明日に還る」】

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それは記憶の奥に そして冷凍庫の奥にこびりついた異形 その存在を忘れていたことをも忘れ去られた存在 私はそれを体に収めようとしている　 【ゼンズ短篇集　紫陽花より～3月の死肉～】