えーんたー えーんたー みっしょーん

金剛つんどら氏のハートウォーミングなガルパンショートストーリー
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金剛つんどら @tundrache

えーんたー……えー……たーみっしょー……たいちょ……れんたい……しっかりしてくださ……れんたいちょ……れんたいちょうどの…… 「連隊長殿!」 はっ。俺は気絶していたのか。池田が霞む目を開けると、必死の形相の武部軍曹の顔が見える。 「何分昏倒した?」 「よかった……五分ほどです」

2012-12-04 19:42:28
金剛つんどら @tundrache

「敵は?」 池田は身体を支える軍曹の手を支えに、身を車長ハッチから乗り出す。荒涼とした山道に、いくつもの残骸と炎、煙が上がり、辺りは静寂に包まれていた。 「撃退しました。三両喰われましたが……」 「そうか。すぐ部隊を移動させるぞ。連隊は山道に沿った掩体壕に避退する」 「はっ」

2012-12-04 19:42:35
金剛つんどら @tundrache

1945年8月18日。終戦の知らせから二日後に突如占守島に上陸したソ連軍を撃滅すべく、池田率いる戦車第十一連隊は、黎明から連隊長車を先頭に四嶺山のソ連軍に突撃を行い、今ようやくその尖兵を撃退したところだった。移動する車内で、池田はようやく、気を失っていた間のことを思い出す。

2012-12-04 19:42:42
金剛つんどら @tundrache

「軍曹、夢をみたよ」 野戦構築した掩体壕の中に停めた九七式改の中で、池田はポツリポツリと話し始めた。 「夢……でありますか」 「うん、わしは女学生になっておってな。戦車道という、戦車を使った武道をするのだ」 軍曹は連隊長が錯乱したのではないか、と疑う表情をみせた。

2012-12-04 19:45:16
金剛つんどら @tundrache

「安心せい。夢の話だ。……それでな、その世界では、わしは軍神西住戦車長と同じ苗字で……いやいい。わかるまい。ただ……あんな未来が待っているなら、わしらは絶対にここを護らねばならんと思った」 池田は微笑んだ。 「さあ、ソ連軍を追い散らすぞ、軍曹! エンジン始動」 「はっ!」

2012-12-04 19:50:00
金剛つんどら @tundrache

池田はハッチから身を乗り出して、連隊各車への無線のスイッチをいれた。目の前に、再び攻勢を開始したソ連軍が迫る。 それは、幾度となくあの夢の中で、大事な友達に向けて言った台詞。 未来への、希望の掛け声。 「パンツァー・フォー!」 ガールズ&パンツァー 第十二話 END

2012-12-04 19:55:26