フー・キルド・ニンジャスレイヤー? #2

翻訳チームによるサイバーパンクニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) 日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「貴様、キョートか」ニンジャスレイヤーは低く言った。二者は円を描くように動き、間合いを調節にかかる。ガンドーは答えた。「ああそうだ。お前さんが暴れてるッてな……被害者の依頼だよ。ありがたい事に出張費も出たぜ」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーが仕掛ける! 70

2012-12-07 15:30:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BLAM!繰り出されるニンジャスレイヤーのチョップにリボルバー発砲!ニンジャスレイヤーはチョップを振り上げながら身をそらし、回し蹴りに切り替える。「イヤーッ!」ディテクティヴは銃撃反動で回転し、肘打ちを繰り出す!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはチョップで受ける! 71

2012-12-07 15:47:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「目的は何だ、え?」ディテクティヴが睨む。ニンジャスレイヤーの目が不吉に光った。「亡きニンジャスレイヤーにかわり、俺が正義を執行する。俺はニンジャを殺す者だ。今は俺こそがニンジャスレイヤーだ」「正義だと?」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーの腕から炎が噴き出す!「グワーッ!?」72

2012-12-07 15:50:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

恐るべき炎熱がディテクティヴを怯ませる!一瞬の隙が命取りとなった!「死ね!」ニンジャスレイヤーが両掌をディテクティヴの胴体に叩きつけた。「イヤーッ!」「な……グワーッ!?」KABOOOM!両腕を伝って流れ込んだ紅蓮の炎が爆発!「グワーッ!」ディテクティヴが炎熱に呑まれる! 73

2012-12-07 15:52:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャスレイヤーだと?」ラオモト・チバは遮った。「今、ニンジャスレイヤーと言ったか!」少年らしからぬ貫禄ある怒声だ。丈高いプラチナブロンドの男はIRC通話を中断した。褐色の肌、ギリシア彫刻めいた非人間的な美貌の持ち主であり、灰色の瞳の奥で微細な稲妻が蠢いている。75

2012-12-07 16:22:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「どうなさいました。血相を変えて」銀糸を控えめに織り込んだカフスシャツとループタイ。アガメムノンは芝居がかった驚きの表情でチバを見る。「何だその余裕は!」覇王ラオモト・カンの忘れ形見は怒りにその顔を紅潮させ、歯噛みした。「ニンジャスレイヤーがどうしたッ!まさか……」 76

2012-12-07 16:35:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アガメムノンは微笑した「奴はザイバツ・シャドーギルドとのイクサ以来、その行方……」「くらましていたが現れた!そういう事ではないか!その会話!」「帝王たるもの、どっしりと構えておられよ」アガメムノンの瞳の中で稲妻が荒れた。チバの背後に控えるネヴァーモアが拳を固め、一歩前に出た。77

2012-12-07 16:43:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「帝王には帝王のイクサがあります、ラオモト=サン」アガメムノンは液晶UNIXモニタをリモート操作した。「確かに、このところアマクダリ・セクトのテリトリーに見え隠れする影、そろそろ捨て置けませぬ。それがニンジャスレイヤーであろうと、そうでなかろうと」「……」 78

2012-12-07 16:47:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

チバはクローム扇子を神経質に開閉しながら命じた「ならばすぐにその不届き者を捕捉し、ジゴクを見せるのだ。奴であればよし!でなくば、その紛らわしさ自体が万死に値する!今すぐ……」「そう、ニンジャを今すぐ手配する算段をしておったのですが……この会話を止め、再開してもよろしいかな?」79

2012-12-07 17:07:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……!」チバは扇子を床に投げつけ、激しく足音を鳴らして退出した。ネヴァーモアは扇子を拾い、顔を斜めに傾けて、アガメムノンを睨め上げながら身を起こすと、身を翻して主君の後を追った。 80

2012-12-07 19:01:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ゴフッ!……ヒュー、ゴフッ!」セイジは咳き込みながら、抉れた左肩にメディキット治療を施し、闇の中でアグラ・メディテーションを開始した。天井の「忍」「殺」の文字がUNIXマルチモニタのバックライトを受けて妖しく浮かび上がり、彼に超自然的な指針を示す。 82

2012-12-07 19:08:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはニンジャを殺し続け、ソウカイヤを滅ぼし、ネオサイタマを炎によって浄化した。その過程で、セイジは命を救われた。家族を失った彼には父の莫大な遺産が転がり込んだ。彼はヴィジランテ活動を開始した。いずれニンジャスレイヤーに認められるその日を夢みて。 83

2012-12-07 19:11:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「やりましたね、ニンジャスレイヤー=サン」モニタにリアルタイムIRC通信のアラートが光る。ハッカーの一人、ナブケだ。セイジは呼吸を整えた。「……辛勝だ。これでは失敗と変わらない。もっとカラテが必要だ」「でも、実際勝ち続きじゃないですか」「確かにな。だが、まだまだやれる」 84

2012-12-07 19:16:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これなら実際、昔のニンジャスレイヤーよりも上では?」ナブケが賞賛した。「すごいペースですよ」「やめろ!」セイジは声を荒げた。「ニンジャスレイヤーを侮辱するな。彼無くして私は無い」「アッハイ、すみません」セイジは息を吐く。そうは言っても、彼の口元には会心めいた笑みが浮かぶ。 85

2012-12-07 19:20:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャスレイヤーは多分貴方の活躍を見ているんじゃないですか?」ナブケが言った「もし生きているのなら」「さあな」セイジは目を閉じた。実際生きているなら見ている筈だ。「してやったりですよ、ここ最近のニンジャ殺しは。大漁だ」とナブケ。「『初代』も嫉妬してるんじゃないですか?」86

2012-12-07 19:30:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「やめろ!侮辱は許さんぞ」セイジが言った。「アッハイ、すみません」だがセイジの口元には会心めいた笑みが浮かんでいる。「俺はニンジャスレイヤーそのものなのだ。彼の、そして私の、至らぬ部分を矯正し、鍛錬し、より完璧に。ニンジャスレイヤー概念を強化し、自らニンジャスレイヤーとなる」87

2012-12-07 19:46:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

当初は装束と鉄パイプ、違法拳銃で開始した、セイジのヴィジランテ活動。ニンジャスレイヤーに認められたい。追いつきたい。……だが、やがて熱意は失望に変わりかけた。ニンジャスレイヤーは現れなかった。どこにもいなかった。ニンジャスレイヤーは失われた。ニンジャスレイヤーの死。 88

2012-12-07 19:55:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーの死!それを認めた時、彼は、己の内に宿り、力を与えてくれる存在を自覚した。その瞬間から、彼は腕に炎を宿すすべを自らのものとした。違法ハッカー道場のニンジャを焼き殺し、劣悪な労働環境下でタイピングを強いられていたナブケ達を協力者として得た。カネ!そしてテック!89

2012-12-07 20:02:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ソウカイヤ壊滅後もなおネオサイタマに蠢く非道ニンジャ達。そんな状況下にニンジャスレイヤーが現れぬなら、自らがニンジャスレイヤーとなればよい。彼はハッカーを駆使して、ネオサイタマにおけるニンジャ事件の断片を拾い集め、ニンジャスレイヤーの歩みを、可能な限り浮き彫りにした。90

2012-12-07 20:08:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

誰よりもニンジャスレイヤーを深く理解し、確かな力の執行手段を持つ。それが自分だ。セイジはそのように確信している。ニンジャスレイヤーはこんな時どう考える?どう動く?それを常に自問自答するのがコツだ。己の内なるニンジャスレイヤーが、常に最適解をくれる。セイジにはそれができる。 91

2012-12-07 20:21:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ピコココ、アラート音が鳴り、ハッカーの一人、カツラがログインした。三者は互いにojigiコマンドを送り合う。「幾つかアクティブ・ニンジャ情報があります」とカツラ。「どのへんからチャレンジしますか?」モニタのネオサイタマ地図のグリッドに数個のマーカーが突き立った。 92

2012-12-07 20:30:22
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