三つ単語を指定されて短い話を書く

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@_MgHoLiC_

「私たちが死んだ後のことだけが心配で」年老いた母は、泣いて喚く娘をなだめながら何度も頭を下げた。彼女の障害の原因は、いまだにはっきりしていないという。「いえ、僕で宜しければいつでも彼女の面倒を見ますよ」。そう言いながら、俺は彼女の言葉にならない言葉を聞いていた。

2012-12-25 23:46:27
@_MgHoLiC_

無意味な言葉は彼女の母の白髪交じりの頭を見ながら扉を閉めるまで俺を蝕み続けていた。鉄製の無感動な扉が視界一杯に広がると、俺はたまらずにそこから目を背けた。靴箱の上に乗っていた伝票が目に留まる。そこに書かれた俺のサインも矢張り、俺には文字に見えることはなかった。

2012-12-25 23:48:38