「創作の手助け」

電撃文庫編集者三木さんの、「創作の手助け」
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三木一馬 @dengeki_miki

[長文続きます。本当に申し訳ありません]創作の手助けその1。転換のきっかけが欲しいときは、昔の名作、自分が好きだったものを観直すと良い! 自分が好きだったその理由が分かり、さらにまた違った角度からそれを好きになった理由が再認識できるため、自身の創作の手助けになるかもしれません。

2012-12-17 20:33:41
三木一馬 @dengeki_miki

「あ、俺、これが好きだってことは、本来こういうことをやりたかったんだな」という自己分析になり、そして指針の確認にもなります。僕の場合は、方向性に迷ったら過去の名作映画を観ます。たとえば『パルプ・フィクション』なら、殺し屋ジュールスに対する最初と最後の演出でした。

2012-12-17 20:33:47
三木一馬 @dengeki_miki

10年以上時を経て今観直すと、そこに別の発見がありまして、人を殺すときに聖書「エゼキエル書25章17節」を読み上げる殺し屋ジュールス。当時それが、「中二」っぽくて(当時はそんなフレーズありませんでしたが)カッコイイ!とただ単純に思っていました。

2012-12-17 20:33:53
三木一馬 @dengeki_miki

殺し屋なのに変なこだわりを持ってたり、突拍子もない「キャラクター」に惚れ込んだのでした。今観直すと、「そのフレーズが冷血で殺すときに相応しい台詞」と考えていたジュールスは、最後に、その聖書の一節を自分に置き換え、相手への鎮魂歌ではなく、自身の改心へと昇華させていたのです。

2012-12-17 20:33:58
三木一馬 @dengeki_miki

そうなるきっかけはチンピラのへたくそな銃撃が全て身体を逸れた結果からだったのですが、それはただファッションやキャラだてのためだけに付けられた「カッコイイ演出」ではなく、映画のテーマとも言える、一人の人間の精神成長をになう仕掛けになっておりました。

2012-12-17 20:34:05
三木一馬 @dengeki_miki

『前半のさりげない演出が、クライマックスで無茶苦茶大事な伏線になっている作品』というのはやはりシナリオ的に質が高く面白いと再認識でき、こういうストーリーは人の心を動かすんだな、とあらためて確信できたのでした。

2012-12-17 20:34:20
三木一馬 @dengeki_miki

皆様にも、好きな過去の名作というのがあると思いますので、創作に迷ったときは一度しっかり観直してみると良いかもしれません。 

2012-12-17 20:34:22
三木一馬 @dengeki_miki

創作の手助けその2。好きなことを書いてるだけでは、昨今の娯楽市場には太刀打ちできません。お金の奪い合いは通りこして、今は「時間の奪い合い」になっています。彼らに興味を持ってもらうため、宣伝担当や編集者も頑張りますが、創作者もちょっと気にしておくといいことがあります。

2012-12-17 20:34:27
三木一馬 @dengeki_miki

作家さんや作品には、よく褒め言葉として『個性がある』と言うことがあります。『個性がある』のはそういう物理的なものだけでなく、宣伝方法やプロジェクトの進め方にも人それぞれな『個性』が見え隠れします。『個性』の無い作品や宣伝方法では今の市場では埋もれてしまいます。

2012-12-17 20:34:33
三木一馬 @dengeki_miki

なぜなら個性が「売り」になったり、特徴として皆さんに覚えてもらえるアイコンになるからなのですが、『個性』があるのは送り手側だけだと皆様考えていませんか? そうではなく、受け手側、読者や視聴者、ユーザーさんにだって『個性』はあります。

2012-12-17 20:34:38
三木一馬 @dengeki_miki

読み手や視聴者だって最近は趣向の多様化によって本当に千差万別になっていて、マーケティング方法もネットやPOSが進歩してより一層調べる側にもその情報が分かるようになってきました。これからは、受け手側の『個性』も意識した作品作りをしていくと良いです。

2012-12-17 20:34:44
三木一馬 @dengeki_miki

たとえば、「想定する読者層とかはないんだけど、万人にまんべんなく好きになってもらえればいいな」「自分の好きな作品をみんなにも好きになってもらいたい」、こういう考えはアウトです。なぜなら受け手(読者)の『個性』を意識してない! 

2012-12-17 20:34:53
三木一馬 @dengeki_miki

読者にもいろ~んな人たちが、超たくさん存在してます。みんなにピンポイントで突き刺さるような作品なんてつくれるわけない! 送り手が『個性』を意識するように、受け手も「好きなものを読みたい」という『個性』を持っています。

2012-12-17 20:35:04
三木一馬 @dengeki_miki

彼らのその趣向を想像しつつ、自分の個性と相性が良さそうな読者をまずは想定してみましょう。その数は多そうですか? もし自分ならどんな展開にしてくれるとより一層好きになりそうですか? ヘタにユーザーさんを『無個性』な感じに認識してしまうのは危険です。

2012-12-17 20:35:12
三木一馬 @dengeki_miki

向こう側にも趣向の『個性』をもった人がいることを忘れないようにしましょう。そして、そこに送り続けるその内容が面白ければ、周りにいるユーザーさんたちにも伝播していきますから、まずはその根幹の部分にこだわってみると良いです!

2012-12-17 20:35:29
三木一馬 @dengeki_miki

創作の手助けその3。皆さんは当然電撃小説大賞に向けてバリバリ書いてますよね! お疲れ様です!! 今回は初心者向けですが、一冊書き上げられない人へのアドバイスです。執筆過程で、どうしても先に進まずタイピングが途中で止まってしまったときの気分転換方法です。

2012-12-17 20:35:34
三木一馬 @dengeki_miki

しかも執筆しながらの気分転換する方法です。たとえば止まってしまった長編原稿があるとします。止まる原因はいろいろあるでしょうが、それは忘れて、ここはひとつおそらく書き始めたきっかけであったであろう、「自分が一番書きたいシーン」を、前後無視して先に書いてしまいましょう。

2012-12-17 20:35:51
三木一馬 @dengeki_miki

それが本当に書きたかったことなのだから、きっと書けるはず。次に、ラストシーンを書きましょう。ここも前のくだりは忘れて、「ああ、こういう物語で終わらせたかったんだよな」というイメージで。

2012-12-17 20:36:05
三木一馬 @dengeki_miki

おぼろげかもしれませんが、最後のオチくらいは自分で決めてますよね、もちろん細部(たどり着いた経緯とか)は書けないのでそこも無視です。次に、その書きたかったシーンとラストシーンの合間に入る、節目となる出来事を箇条書きにして埋めていきましょう。

2012-12-17 20:36:10
三木一馬 @dengeki_miki

これで骨組みをつくっておいて、次はその書きたかったシーンと、いま止まっているシーンの「間の話」を強引にくっつけましょう。くりかえしですがいまは強引だと思ってもOKです。とにかく先に進む。同じようにラストシーンともくっつけて

2012-12-17 20:36:21
三木一馬 @dengeki_miki

……というふうにして、一度最後まで書き上げることを目指しましょう。質は低いかもしれません。作品も面白くないかもしれません。しかし、達成感を得られます。この頼もしい感覚は、必ずあなたを「良い気持ち」にします! 

2012-12-17 20:36:37
三木一馬 @dengeki_miki

だって、最後まで書けたと言うことは、誰かに読んでもらえるということなのです。最後まで書ききったときのあの「達成感」を味わいたいと中毒になってしまえば、二冊目を書き上げることもさして難しいことではなくなるはずなので、まずはこれを試してみると良いのではと思います!

2012-12-17 20:36:42
乙野四方字 @yo_mo_G

@dengeki_miki 自分の場合、最後の最後のシーンだけはどんなに書きたくても書かずにとっておきます。そうすると「早く最後が書きたいいいいい!!」となって、書けなかった所を書くためのパワーになってくれます。

2012-12-17 21:00:01
三木一馬 @dengeki_miki

なるほど! プロのモチベーション維持のお手本ですな! RT @yo_mo_G 自分の場合、最後の最後のシーンだけはどんなに書きたくても書かずにとっておきます。そうすると「早く最後が書きたいいいいい!!」となって、書けなかった所を書くためのパワーになってくれます。

2012-12-18 04:32:29