山本七平botまとめ/【高齢化社会を生きる道】/社会の”精神的”老齢化を防ぐには/~西欧の模倣ではなく、「ロボット化」で高齢化社会に対応せよ~

山本七平著『「常識」の研究』/高齢化社会を生きる道/200頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

①【高齢化社会を生きる道】高齢化社会は、遠慮なく近づきつつある。現在の日本は生産人口7人で老人1人を養っている40年後には、2.5人で1人を養うことになる。<『「常識」の研究』

2012-12-19 09:57:41
山本七平bot @yamamoto7hei

②また、お隣りの中国では「子供一人政策」を強引に推し進めているが、これが40年後にどのような社会を現出するか、だれにも予測できないという。 それはおそらく、恐るべき低生産性の中で、その時の日本と同じような状態を現出するかも知れないのである。

2012-12-19 10:28:01
山本七平bot @yamamoto7hei

③未来には、予測可能な面と予測不可能な面がある。 予測不可能な面で対策を誤ることは必ずしも怠慢とはいえまいが、予測可能な面で対策を立てないことは、明らかに怠慢である。

2012-12-19 10:57:41
山本七平bot @yamamoto7hei

④さらに一国の人口において、65歳以上が15%を越えると急に経済その他の成長がとまり、社会は活気を失うという。 とすると、そうなってから対策を立てようと思ってもそれは無理であり、今のうちから、将来のこの問題にいかに対処するか考えておかねばならないであろう。

2012-12-19 11:28:00
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤更に問題なのは日本はこの高齢化現象へと進む速度が異常に早い事である…。これは産制や中絶に社会が拒否反応をもたない事にもよるが、フランスが150年、スウェーデンが100年かかっている事が、日本では恐らく30年ぐらいで進行し、急速に国連の定義する高齢化社会に入ってしまう事である。

2012-12-19 11:57:41
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥一体これに対して、どういう対策があり得るのであろうか。 イギリス型福祉もスウェーデン型福祉も実際には失敗であったと言われる。 65歳でその人を「非生産的人間」と規定して社会保障でその生活を保証することは、やがて不可能になってくる。

2012-12-19 12:28:02
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦さらにそれは、決して、そのようにして保証されている老人に「幸福感」を持たせず、いわば高い社会的コストを負担しながら「幸福」を保証していないことも、否定できないのである。

2012-12-19 12:57:42
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧まさに「人の生きるは、パンのみによるに非ず」であり、社会から「不要」と見られつつ「生かされている」ことは、肉体はそれに耐え得ても精神が耐え得ないことは否定できない。

2012-12-19 13:28:03
山本七平bot @yamamoto7hei

⑨それがいかにその人を精神的に老化させ、「廃人」同様の状態に追い込むかは、既にさまざまな点で証明されている。 以上のような面から見れば、高齢化社会に対応する方法は一つしかないであろう。 それは一言でいえば「高齢化に対応したロポット化」である。

2012-12-19 13:57:43
山本七平bot @yamamoto7hei

⑩というのは、吉田寿三郎氏の『高齢化社会』によると、年とともに肉体は確かに衰えるが、精神力は60歳がピークであり、それから徐々に下降するとはいえ70歳で約45歳、80歳でも約27歳にほぼ等しく、決して急激に下降していないのである。

2012-12-19 14:28:02
山本七平bot @yamamoto7hei

⑪ただし条件がある。 それは本人が絶えず努力し、絶えず頭を使っていることで、それをやめれば急速に衰え、俗にいう「ぼける」という状態になるという。 一方、体力の方は58歳ぐらいから急激に衰え80歳になるとゼロに近くなる。

2012-12-19 14:57:41
山本七平bot @yamamoto7hei

⑫そこで、頭脳だけを使い、いわゆる「肉体労働」なるものは細かい点までロボットに行わせる。 さらに、高齢者は外気の変化に非常に弱いので、寒暑からあらゆる方法で身を守る設備が必要となる。

2012-12-19 15:27:55
山本七平bot @yamamoto7hei

⑬これらは、現代の日本の技術では決して出来ないことではない。 そしてこれらさえ完備すれば、65歳以上の老人も立派に働けて決して社会の負担にならず、逆に、生産に寄与しうるのである。

2012-12-19 15:57:41
山本七平bot @yamamoto7hei

⑭日本は、今まで西欧先進国の模倣によって工業化社会を形成してきた。 そのため、福祉といえばこれまたすぐ短絡的に西欧模倣となり、すぐ、施設の拡充、西欧型福祉の充実、先進国に追いつけの発想になる。

2012-12-19 16:28:05
山本七平bot @yamamoto7hei

⑮しかし、前記の吉田氏も指摘されているように、西欧の行き方は明らかに失敗しており、それは老人の廃人化と若者への高負担という二重の苦を社会に強いているのである。 われわれはこの道の跡をそのままたどるべきでないし、その必要もない。

2012-12-19 16:57:40
山本七平bot @yamamoto7hei

⑯さらに考えるべきことは、高齢化社会への適切な対策は、そのまま若者社会への適切な対策になりうるということである。

2012-12-19 17:28:00
山本七平bot @yamamoto7hei

⑰というのは、2.5人で1人を養うといった状態は、若者にとって耐えられぬことであり、その高負担が累進課税的な負担となれば、すべての者が「やる気」を失ってしまい、これは逆に、若者の「精神的老齢化」をも生み出してしまうからである。

2012-12-19 17:57:40
山本七平bot @yamamoto7hei

⑱このほかにも、家庭、社会一般、その他にさまざまの「高齢化社会問題」があるであろう。 しかし個々の現象に対症療法的に対応するよりも、技術化社会は技術化社会のように、まずその生産の基本から手をつけるべきであろう。

2012-12-19 18:27:57