宇宙戦艦ヤマト2199×銀河英雄伝説(黒色槍騎兵艦隊対第6空間機甲師団編)

宇宙戦艦ヤマト2199と銀河英雄伝説の合体事故3。
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現場猫教授 @Dr_crowfake

「ふん、相手はドメルの子飼い、第6空間機甲師団か。相手にとって不足はない」ビッテンフェルトは旗艦「王虎」の艦橋で凶暴な笑みを浮かべた。

2012-12-30 02:31:02
現場猫教授 @Dr_crowfake

「黒色槍騎兵艦隊、全速前進! 奴らに我々の恐ろしさを思い知らせてやれ!」一方、第6空間機甲師団をあずかるハイデルンも同じ笑みを浮かべていた。「銀河帝国最強の機動部隊と一線を交えられるとは、これまで生きてきたかいがあったというものよ! 全速前進! 楔を穿て!」

2012-12-30 02:31:11
現場猫教授 @Dr_crowfake

黒色槍騎兵艦隊は1万を超える軍勢、対して第6空間機甲師団は数百隻にしか及ばない。しかし、これまでの戦いで、銀河帝国はガミラスの機動力とテクノロジーの優越、そしてガミラスは銀河帝国の物量をよく知っていた。ゆえに、互いの手を知り尽くした戦いとなった。

2012-12-30 02:32:53
現場猫教授 @Dr_crowfake

「敵はこしゃくにも側面に回りこんでこちらを分断するつもりだ。ヤン・ウェンリーにならい、側面を固めるのもいいが、ここはひとつ、機動戦を挑んでみようじゃないか」ビッテンフェルトはそううそぶく。

2012-12-30 02:34:06
現場猫教授 @Dr_crowfake

「ほう。敵はこちらに機動戦を挑んでくる気か。面白い。銀河帝国最強の黒色槍騎兵、どれほどの戦いができるか見せてもらおうか」ハイデルンも得たりと口元を歪めて笑う。

2012-12-30 02:35:03
現場猫教授 @Dr_crowfake

ここに銀河帝国最強の黒色槍騎兵艦隊と、ガミラス銀河方面軍最強の第6空間機甲師団の総力を上げた激突が発生した。広く散開し、包囲体制を取る黒色槍騎兵に対し、第6空間機甲師団は一点突破をはかる。目標はビッテンフェルトの旗艦「王虎」である。

2012-12-30 02:36:24
現場猫教授 @Dr_crowfake

「バーガー、先鋒は貴様に任せる」「了解しました、師団長どの!」ハイデルンは部下の中でも最も剽悍でなるバーガーに突破主軸を任せた。彼の率いる第7戦闘団は、黒色槍騎兵の集中砲撃をかわしながら敵旗艦へと浸透突破を図る。「たいらげろ!」バーガーの命令一下、数席の戦艦がまとめて光と化す。

2012-12-30 02:39:11
現場猫教授 @Dr_crowfake

「閣下、先鋒部隊、突破されつつあります」「ふん、だが奴らもこちらの火線の中に飛び込んできたのだ。撃ちまくれ! 勝利の女神はお前たちにパンツをちらつかせているぞ!」下品とも言えるビッテンフェルトの号令に従い、黒色槍騎兵は半包囲下においた第6空間機甲師団を集中砲撃する。

2012-12-30 02:41:05
現場猫教授 @Dr_crowfake

「師団長、わが直衛部隊、損耗率3割を超えました!」「かまわん、このまま錐をねじ込め! 奴らの船は脆い、突破さえしてしまえばどうにでもなるわ!」ハイデルンは合法に笑う。そしてバーガーはハイデルンの期待に応えつつあった。

2012-12-30 02:43:27
現場猫教授 @Dr_crowfake

「閣下、旗艦射程に敵艦艇! 直衛部隊突破されました!」その報告にもビッテンフェルトは動じない。「よし、かかったな。全空母、全ワルキューレ発艦せよ! こちらも機動戦力では負けてないと示してやれ!」号令とともに、旗艦周辺に集結されていた空母から次々とワルキューレが発艦する。

2012-12-30 02:45:48
現場猫教授 @Dr_crowfake

ワルキューレは小型の戦闘艇で、ガミラスの主力艦相手には多数で掛からねば対応できない反面、彼らの俊敏な機動性に追随・凌駕しうる能力を持つ。ゆえにビッテンフェルトは、これを集中、敵が突破を図ってきた際の予備となしていたのだ。

2012-12-30 02:47:14
現場猫教授 @Dr_crowfake

「敵小型艇多数接近!」「こざかしい! 撃ち落せ!」バーガーは対空砲火を指示。無数の対空ミサイルがガミラス艦より発射される。その火力は凄まじく、1編隊まるごと吹き飛ばされたワルキューレ編隊すらあったほどだ。しかし戦力の集中は効果を発揮し、多数のワルキューレがガミラス先鋒に取り付く。

2012-12-30 02:49:22
現場猫教授 @Dr_crowfake

「こちらも艦載機を出せ! バーガーの突撃を援護しろ! 本艦も前に出る!」ハイデルンはバーガーの苦戦を見て取り、錐をさらに鋭くする覚悟を決めた。「ほう、お得意の機動力で逃げださんとは、奴らめやる気だな」ビッテンフェルトは楽しそうに笑う。「この「王虎」を沈めれるものなら沈めてみろ!」

2012-12-30 02:51:17
現場猫教授 @Dr_crowfake

すでに黒色槍騎兵の中央線列は半ば分断されているが、第6空間機甲師団の損害も大きい。そして双方ともに、敵将の首を取ることを目的としていた。混戦と化した戦場で、互いに決定的な一撃を与える好機を狙いながら互いの喉元に食らいついた状況にあった。

2012-12-30 02:53:35
現場猫教授 @Dr_crowfake

「奴の狙いは俺の首だ。なら差し出してやる。代償は奴の命だがな!」ビッテンフェルトは不敵に笑うと、第6空間機甲師団の背後を塞ぎ、完全な包囲下に置き、甚大な損害を与えた。しかし一方で、ハイデルンはビッテンフェルトの旗艦「王虎」を射程に捉えていたのだ。

2012-12-30 02:55:47
現場猫教授 @Dr_crowfake

「敵旗艦、捉えました!」どちらの旗艦のオペレータが先に叫んだのかはわからない。しかしビッテンフェルトとハイデルンはほぼ同時に叫んでいた。「目標敵旗艦、撃てえ!」ビームが交錯する。そして次の瞬間、両者ともに被弾していた。

2012-12-30 02:57:13
現場猫教授 @Dr_crowfake

「メインエンジン着弾! 応急作業急げ!」「王虎」の艦橋では、機関部にダメージを受けた艦の応急作業命令を艦長が出していた。一方、ハイデルンの乗艦は、その重厚な装甲で被害を抑えていたが、ハイデルン自身は、これ以上の集中射撃を受ければ持ちこたえられないと判断を下していた。

2012-12-30 02:59:29
現場猫教授 @Dr_crowfake

「このまま肉薄戦闘で敵旗艦を沈めたかったが、やむを得んな。バーガー! 生きとるか!?」「はっ、師団長こそご無事で何よりです」相当の損害を食らっているにもかかわらず、バーガーは威勢がいい。「このまま航過戦で一撃加えて、敵中突破後、ゲシュテムドライブで脱出する、いいな!」「了解!」

2012-12-30 03:02:06
現場猫教授 @Dr_crowfake

「ふむ……俺の艦隊を突破して後ろに逃げようとは、随分肝の太い指揮官だ。お前ら! 黒色槍騎兵の通行税は高いと教育してやれ!」「はっ!」中央突破を図る第6空間機甲師団の残余兵力に対し、全方向からの射撃が飛び交う。

2012-12-30 03:04:57
現場猫教授 @Dr_crowfake

しかしバーガーとハイデルンは機動力を存分に生かし、時に同士討ちすら誘いながら黒色槍騎兵艦隊の中央突破をやり遂げたのだ。メインエンジンを損傷し煙を吹く「王虎」の横を、ひときわ大きなガミラス艦が航過していく。その艦橋にいた人物と、ビッテンフェルトは目があったような気がした。

2012-12-30 03:06:31
現場猫教授 @Dr_crowfake

「糞ったれめが。だが褒めてやるぞ、俺の攻撃をやり過ごせたのは、宇宙にただひとり、ヤン・ウェンリーだけだったんだからな。お前はその二人目だ」ビッテンフェルトはその人影に向けて笑う。そしてハイデルンも「王虎」を隻眼で見つめ「帝国最強とは、最も胆力のある将のことか」と感嘆していた。

2012-12-30 03:09:08
現場猫教授 @Dr_crowfake

「閣下、追撃いたしますか」オイゲン参謀長がビッテンフェルトに問うた。「無駄だ。奴らの足は早い。すぐにワープで逃げ出すだろう。それより艦隊の再編成と傷病者の救助に当たれ」「はっ」過ぎ去っていくガミラス艦を見つめながら、ビッテンフェルトは呟いた。「手の内は見た、次はやらせん」

2012-12-30 03:10:57
現場猫教授 @Dr_crowfake

そして一方、第6空間機甲師団もゲシュタムドライブで戦域を離脱後、再編成と傷病者の救助にあたっていた。「戦力の半数近くを削られ、しかも敵将の首は取れなんだか。ドメル閣下にどのように申し訳するやら」ぼやくハイデルンにバーガーは云う。「次こそは、敵将の首をとって凱旋いたしましょう」

2012-12-30 03:12:51
現場猫教授 @Dr_crowfake

「バーガー!」ハイデルンは怒鳴る。「今回の戦いは際どかったぞ。次はもっときばれ」「はっ!」しゃちほこばって敬礼を返すバーガーを見て、ハイデルンは「そうだ、ワシらはまだ学ぶべきことがある。ワシらは学ぶ機会を得たのだからな」と再戦の念に萌えるのだった。

2012-12-30 03:14:57