- a_nightbreed
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「バーガーの奴、相変わらず調子がいい」ドメルの背後で、ハイデルンがそう首を振った。「しかしあのテロンの義勇部隊、どう思われますか?」そのようにドメルに問う。「練度も戦意も高い。かつてはゲシュテムドライブすら保有していなかった連中とは思えんほど、な」ドメルは応える。
2012-12-31 21:14:04「あれほどの連中なら、一度敵として戦ってみたかったもんですな」ハイデルンは大笑する。それにつられてドメルも微笑んだところに、古代守からの通信が入った。「コダイ大佐であります」「ご苦労だった。貴官にはいつも苦労を強いるな」「いえ、これも任務ですから」古代は莞爾として微笑む。
2012-12-31 21:16:40「貴官とテロンの活躍には、敬意を抱いている。すでにセレステラ宣伝相からも報告が行っているだろうが、私からも帝都バレラスに貴官らの勇戦を報告し、何らかの褒章が与えられるよう、努力してみよう」ドメルの言葉に古代は最敬礼した。「ありがたきお言葉、感謝いたします。ザー・ヴェルク!」
2012-12-31 21:19:09通信は切れた。ドメルは指揮杖を弄びながら考えた。彼らは剽悍で、恐れを知らぬ。そして、ガミラス人同様に名誉を重んずる。ならば、それを最大限汲み取り、持ち上げてやるのが将としての努めだ。しかし、もし彼らとの接触が戦いになっていれば、どうなっただろう……ドメルはそのように想像するのだ。
2012-12-31 21:21:43彼らがもしガミロンに匹敵する科学技術を備えていれば……彼らがもし我々に帰順しなければ……彼らがもし、自らの滅亡を甘んずることなく総力で抵抗していたならば……。そこまで想像し、ドメルは首を振った。それは全て可能性の問題でしかない。テロンはガミラスの有力属州、剽悍な尖兵。それでいい。
2012-12-31 21:23:15そこから先は、空想科学小説の作者にでも任せておけばいい。ドメルにはなさねばならぬことはいくらでもあった。そして古代たちテロンにも。ドメルは命じた。「戦力再編成後、ボラーを追撃するぞ!」
2012-12-31 21:24:45そのころ、古代守も艦橋で物思いにふけっていた。地球はガミラスと友好的に接し、その支配下に置かれ、その戦争の尖兵とされたとはいえ、敵対した他の知的種族よりは優遇されている。しかしそれもドメルという理解ある将の庇護に拠るところが大きい。
2012-12-31 21:27:17@ninomae_fumi そして「コスモウォーリアー零」とのクロスオーバーを! なんでもないです!
2012-12-31 21:28:18地球はその不安定な立場を脱すべく何か努力すべきではないのか。いや、そもそもガミラスとの接触時点でそうすべきではなかったのではないかとすら思えるのだ。「司令」古馴染みの副長が声をかけてきた。「戦力再編成後、追撃に迎えとの命令です」「わかった」古代は脳裏によぎった妄想を振りすてた。
2012-12-31 21:28:34そうだ。我々は十分幸福なのだ。未熟な文明しか持っていなかった地球が、遥かに先進的かつ巨大な文明と接しながら、ある程度の独自性を認められ、矜持と能力を尊重されていることは、ひとつの奇跡なのだと……。
2012-12-31 21:30:20@a_nightbreed 「テロンの空間騎兵隊は我らが見論からは想像もつかない野蛮さと勇気を兼ね備えているが、いざ戦いが終わると大変秩序正しく振る舞う。その矜持を損ねるようなことさえしなければ、大変理想的な兵士だ」とか評価されちゃうわけですね……。
2012-12-31 21:35:05「ヤマト21992次創作「もし地球がガミラスの支配を受け入れていたなら(戦場編)」」をトゥギャりました。 http://t.co/fj98KqhV
2012-12-31 21:41:38ちなみに、地球がガミラスの支配を受け入れていたなら、国際連合宇宙軍は「テロン戦闘団」に改変されガミラス式装備に一新され、なおかつ親衛隊に「義勇テロン戦闘団」が編成され、地球自体は「テロン属州」としてガミラス人の属州総督のもと限定的な自治を与えられていたと思う(妄想
2012-12-31 21:44:02@ninomae_fumi 非常に興味深いIF物で面白かったです。 逆にオリジナルの先入観を除いて、「2199」の世界で考えた場合、ガミラスに降伏した場合の地球の未来と云う物は、絶滅のリスクを冒してまで回避しなくてはならない程、ヒドいものだったのか?…と云う疑念が生まれますね。
2012-12-31 21:44:56ガミラスの無能な総督とテロン自治州運営についてもめながらあの手この手で自主性を確立していこうとする藤堂長官、そこに「テロンはイスカンダル主義の精髄にして尖兵である」と好意的に介入するミーゼラ・セレステラ宣伝相というお話もちょっと考えたりしました。
2012-12-31 21:46:04@Leak_Mynote オリジナルだと絶滅を余儀なくされてるんですけど、2199世界観だと服従もないとはいえない、とは思えましたね。しかしながら、民主連合国家故に、軍事独裁国家の属州化には強い抵抗があったでしょうから、戦争は歴史の必然であったような気がします。
2012-12-31 21:47:52@ninomae_fumi 属州よりは、ここはガミラスっぽく大管区とかいかがでしょう?大管区指導者とか
2012-12-31 21:48:33@ninomae_fumi ヤマトの前提を考えて見ると云うのは面白いアプローチですね。地球が反ガミラスで固まったのは恐らく、最初に遊星爆弾による無差別攻撃があったせいかと思われます。一方、イスカンダルからの支援が受けられず、ワープ無しの移民計画を実施した場合の、より絶望的なIFも
2012-12-31 21:54:54@Leak_Mynote 2199だと、ワースト・コンタクト後、遊星爆弾によるガミラスフォーミング計画が発動したという設定ですので、これが回避されていた場合、国連内部でガミラスの要求を飲むか飲まないかの議論があって内戦状態になって各個撃破されたりしたかもしれませんね。
2012-12-31 21:56:54@Leak_Mynote あと、2199では移民計画ネタも仕込まれているんで、これからどうなるか、楽しみです。ワープ無しだと、どこに逃げてもガミラスに捕捉されるんで移民は絶望的だったと思われますが……。
2012-12-31 21:58:07@ninomae_fumi ガミラスとしては、いきなりガミラスフォーミングを始めず、ワンクッション置いて降伏勧告だけで国連内部をバラバラにした方が後々楽だったと云うのは結果論になりますね。 他の被占領惑星も同じ戦法だったのか、ワープ技術を持っているレベルの惑星には対応が違ったのか
2012-12-31 22:03:12@Leak_Mynote ワーストコンタクト後の対応は2199の最新巻を見てみないとわからないんですが、ガミラスがある程度の文明レベルを持っている連中を選別して2等ガミラス人にしているという記述はどこかでありましたね……Wikipediaだったかな……。
2012-12-31 22:05:19