@home あらがって、あらがって、右腕を釘でいっぱいにしながら、足りないのだと叫び、発狂に近づいていく君 ひとつ、木天蓼を投げつけてやると途端大人しくなり黙りこんでしまった君の耳を針金で突いた おまえは誰かとたずねると、わからないと返す涙声
2013-01-30 02:33:18@home おまえの歯が僕の口を傷つけるだけの口吸い 不愉快だったあまり、後頭部の髪を引っ掴んで引き剥がす、おまえの、空洞まみれの面 下腹部から血を流しながら下品な声を上げている くそったれだ 全部くそったれだ 総てを呪いながら、後頭部を掴まれたまま項垂れた僕
2013-01-30 02:29:32@home 雪の中を横ざまに殴りつけられて、手も足もばらばらになって野垂れ死んだ 僕を破壊していった鉄の塊は、悔しそうな君を抱いたまま見えなくなった 白を溶かしていく僕の体液ばかりが広がって、でも明日には蒸発しているのだろうなあと思いながら、はいを選んだ
2013-01-30 02:24:34@home 顔のない貴方が言った、懺悔をほのめかす戯言 それの横を素通りしてしまった私にはもう拾えない 小さく、ほんとうに小さく舌打ちをした貴方はそれが私に聞こえていないと思ったのか、可哀想な戯言を拾い上げて、真っ赤な海に捨ててしまった
2013-01-28 01:05:08@home 血を流すだけの涙腺があまりにも哀れで 腐った臓物を抱えているその腕なんか今にも折れそうで 真っ黒な目をした君を、ずっと追い掛け回して、眺めているだけ もっと可哀想な君を見ていたくて
2013-01-25 14:45:52@home 僕が人差し指を少しだけ持ち上げると、君は首を傾げる 眼窩に合鍵を差し込んで、少し回してやると元の位置に戻ったその顔に浮かぶ嘲笑 メープルシロップにまみれた甘ったるい巻き毛が僕の手を離そうとしない 煩わしくなったので、フォークとナイフで丁寧に彼女を食べてしまった
2013-01-21 01:34:57@home 紅いカーテン越しに覗き見る世界は、思っていたほど広くはなくて、思っていたよりずっと生々しく美しかった 視界の端で捉えた汗ばんだ君の顔 少し意地悪をしすぎたかなと、カーテンを引いた
2013-01-16 03:32:55@home なぞった背骨のひとつひとつに、君の宝物だったがらくたを詰め込んで、蓋をして 掘ってあった穴に放り投げて、また蓋をする そこから生えてきたそれの世話をしてやって 言葉を話す様になった頃、それに僕の背中を這わせるのだ
2013-01-14 06:46:46@home おまえなど僕の肩からぶら下がる幹に挟まれ身動きの取れなくなったところで頭を割られて死んでしまえばよいのだ と、おれの唇を噛み千切っていった君
2013-01-13 04:07:01@home 縫い合わされた腹をじっと見つめていた彼女らは、視線をあげて見つめ合い不思議そうなかおをする 2本しか無い脚を揺すって、柘榴をかじった 口づけあう鼻先
2013-01-13 03:57:56@home 眩暈がする度口を押さえる 中から大事なものが出てきそうで恐ろしいのだ 背負った君の腕が滅茶苦茶に暴れまわって、僕の頬に引っ掻き傷をつくる そんな風に暴れるからと言って、背負いなおしてやる 腕だけの君
2013-01-13 03:50:48@home 明け方にアンブレラを振り回して水浸しになりながらはしゃぐ、水溜まりに映らないおまえ 夕日に向かって小石をなげつけ、もう帰ろうと僕に向かって吐き捨てるおまえ
2013-01-13 03:47:21@home 君の涙に貫かれて、穿たれた腹の穴を埋めるように 嗚咽を隠しもしない胸に、とん、と爪先を当ててやる でも僕の腹はもう閉じないだろう 君が泣き止まないから
2013-01-10 04:51:03@home 僕を捕まえて、鋭く口付けるのは君だけだ 伸ばした両腕は君を抱きしめる事なく、夕焼けに混ざりながら落ちてゆく 喉奥から厭な音を立てて、血肉を君の口に吐き出した 満足した様に目を細めた君は、そうしてやっと僕から離れていった 一言、ごちそうさまといって
2013-01-07 18:20:16@home 僕をお気に入りのお人形に見立てて、抱きしめたまま微動だにしない君が見ている夢 抱きつかれて少しずつ絞まってゆく僕の首なんてお構いなしで、君はその夢から出てこようとはしない
2013-01-04 19:45:48@home 地に伏した私は、背中を蹴破って骨をえぐり出している君が口遊む、暗澹たる曲を子守唄にして遊んでいた 昔に比べれば、上手くなったものだと思う 下手くそだった頃の君はどんなだったろうかと考えている間もなく、幕は閉じた
2013-01-03 19:26:08@home 浴槽の縁に座って僕を眺めている君の、その手に、握られている悪意をも一緒くたに掴んで 背中からお湯に沈んでいくその姿が消えるまで見ていた
2013-01-03 19:20:15@home ゆうべ君が僕と長いことキスをするだけの夢を見た、と、ぽそりと呟いたおまえの顔を見て 手に持ったカップの紅茶をぶちまけてやる まだ熱いだろうそれを浴びても微動だにしない 口端に滴った茶を舐めとって 砂糖入れすぎだってば とのたまうおまえ
2013-01-03 19:13:51@home 苦し紛れに呟いた遺言 相槌一つ打たずに耳を傾ける君 ガラスケースにおさめられた無垢な病室 落ちた花弁もそのままの花瓶 そのどれもが、ひどく僕を愉快にさせた
2013-01-03 19:02:02@home 透かして見た君の指先の鼓動 赤い、という印象しか残らなかったそれ 目を合わせているのに恐ろしくなって、口に含んだ 怪我をしていたからという嘘までついて
2013-01-03 15:14:16@home 昨日からずうっと僕を睨めつけるきみ 吐瀉物に顔を半分ほど埋めて、げえげえ言いながら、僕を見ている目だけは動かさない きみの目線に焼かれて僕の目は見えなくなった それほどまでに熱いものだった このまま焼いてくれたらいいのにと思って、僕も昨日からずうっとここに立っている
2013-01-03 06:03:19@home 何も知らないまま一つ一つ丁寧に、僕の棘を抜いてくれる君 抜いた棘が今度は君を傷つけるから 表情ひとつ変えない君のそれを、今度は俺が抜いてあげる そうやって痛みを交換しあう午後
2013-01-03 05:55:21@home カーテンを後ろ手に閉めて、暗くなった室内に抱かれながら僕に向けて微笑む彼女 その眼差し ああこれくらいの狂気が、僕にはちょうどいい
2013-01-02 16:16:38@home 熱病に奸された彼女の首に擦り寄ろうとする漆を優しく払いのける 態とずらした肩紐を見やって、この子は泣いているのかもしれないなと思った そして、泣かせているのは、僕なのだろうなと思った
2013-01-02 15:48:19