創作は教えられない。それぞれが勝手に習い、それぞれが勝手に学び、それぞれが勝手に作るものだからだ。だから。創作についての意見を述べたとしても、それはだれかのためではない。おのれのためでもないだろう。だとしたら。なんのために。もしかしたら、それについて知るために作るのかもしれない。
2013-01-01 09:46:56教えられないものを教えるとはどういうことだろうか。そもそも教えられるのだろうか。教えるためには教えるための教えがあるのではないか。もちろん、そんなものはぼくの手のうちにはない。空っぽだ。見せかけだ。だとしたらそれはだれの手のうちにあるのだろうか。だれにも手のうちようがないのか。
2013-01-01 09:50:13本能はどこかに向けて歩き出す。あるいは歩き出そうとする。その歩みを助けるための杖。それが技術というものではないか。歩くものを導くもの。それが杖。杖があるといい。本能がある。本能をなかったことにはできない。水はきっと上から下に落ちるだろう。それをだれにも変えることなどできない。
2013-01-01 09:54:22はじまらない。はじまらなければおわらない。おわらなければはじまらない。おわらなければおわらないし、はじまらなければはじまらない。はじまりがあった。おわりがあった。すべてははじまって、すべてはおわった。はじまるものはない。おわるものはない。はじめるものがあって、おえるものがある。
2013-01-01 09:58:33嘘は真から生まれる。真がなければ嘘もない。そこにあるのはただの虚空だ。そこにはなにもない。ありもしないものだけがある。ありもしないものをあるものに変えるということ。それが創作だ。嘘だ。創作がどういうものかなんて、だれに言えようか。言えないからこそ作るんじゃないだろうか。
2013-01-01 10:02:12それは名前。それは告白。それは創世。はじまりの一文があれば、それに次の文が連なる。そうして文は文を呼び、文が編まれていく。もちろん、それが売れるかどうかは知らない。そもそも、売るためには書かない。書くために売る。売ることは大事だ。とにかく。はじめの一文を呼んでいる。一文が来る。
2013-01-01 10:10:05ネタは種だ。種があるからこそ芽が出るし、花が咲く。花が枯れるからこそ種が落ちるし、根が伸びる。時間がかかる。一足飛びに花を刈ることなどできない。そのへんに生えている花を刈りたいのならそうすればいい。そうする人もいる。花を集めて束にして、街行く人に売り渡す。花は飾られ、枯れていく。
2013-01-01 10:16:53手紙が来た。封筒だ。封も切らずに机の上に置いておいた。いつの間にか封筒には埃が積もっていた。ある時、ふと気になって封筒を開けてみた。封筒のなかから手紙が出てきた。手紙を読む。思う。返す。これは返信だ。だれに届くあてのない。相手はもうどこにもいないのかもしれないのだから。それでも。
2013-01-01 10:23:36息の根を止めてはならない。甘く噛まなくてはならない。噛み噛みして、それから放す。食べものと同じだ。咀嚼してから、嚥下する。嚥下したものは消化され、分解され、吸収され、流される。流れがある。それに身を任せる。舟はいつかどこかにたどり着くだろう。ついていくことはできない。見送る。
2013-01-01 10:30:24おわらせることなどできない。だれにもできない。乗るか、降りるか。それとも運ぶか。それくらいのことしかできない。おわらない。続いていく。遠ざかっていく。それでも、宿るものがある。なくなるわけじゃない。残るものがある。消えるわけじゃない。想うものがある。おわるわけじゃない。忘れる。
2013-01-01 10:39:33偶像のように崇めるものがある。彼の膝下には火が燃えている。熱い。苦い。痛い。それを手に入れる。彼の目を盗んで。足を忍ばす。手を伸ばす。身を焦がす。火を持ち帰って、それを広める。そうしてはじまる。もっとも、だれかが持ち帰ってきた火にあたってぬくぬくしていてもいい。おなかすいた。
2013-01-01 10:46:35ひとりくらいダメなやつがいなきゃあならない。そうしなくてはみんなが前に進めない。ひとりだけどこかに行ってしまう。きっと、彼は戻ってこない。みんなのうち、だれかひとりが彼をさがそうとする。そうしなくてはいられなかったのだ。彼は迷子だ。迷子を送り届ける。きっと、ふたりは見つからない。
2013-01-01 10:55:21