Amazonレビューを踏まえた篠山せんせに対する書評

やってみました。
29
紅蓮の猫 @lotusredcat

「また最終的に「日本陸軍」として決起したメンバーは法の裁きを受けていることから、「法治主義と議会制民主主義」に対する賛美のメッセージを私は感じた。」とあるが、この部分関しては正直同意できない。

2013-01-05 13:46:53
紅蓮の猫 @lotusredcat

何故なら、既に前述でも言っているが、その決起に至るまでの過程があらかた排除されてしまっているからだ。繭川は動機の明示があるものの、唐突にクーデターを起こし、唐突に敗退し、そして唐突に死んでいく。これではそのような賛美を感じ取るのは不可能である。

2013-01-05 13:47:53
紅蓮の猫 @lotusredcat

もしこういった部分を強調したかったのであれば、そういった排除されていった過程や、思想的背景や、その思想について語る機会をもっと儲けるべきだった。繭川がやったことと言えば、クーデター後の演説(それも無根拠に賛美されている)と、音矢の特撮番組くらいなものである。

2013-01-05 13:49:40
紅蓮の猫 @lotusredcat

クーデターにしても、繭川が広告塔としてどのように支持されていったかが明示的でなく、民主主義の価値を考えるほど民衆が描かれていない。だから「ただの犯罪者が、結局はつかまって、あるいはただ死んでいく」と読者に捉えられているのではないだろうか。

2013-01-05 13:50:42
紅蓮の猫 @lotusredcat

「相当に法政関係の史料を読み込んでいることが窺える。そうでなければ、本作は書けない。」とあるが、この部分に関しては、私の見解としては、例え膨大な資料を読み込み調べていたのだとしても、それを活かせなかった作品と定義づける。

2013-01-05 13:52:31
紅蓮の猫 @lotusredcat

取材や資料と言うのは、あくまでも読者に意図したテーマを伝えるための補助にすぎない。その意味で、作品の内容に関わる数々の表現が、その資料や史科の表層を救っているに過ぎず、読者にそういったものの内容や意味や理解の追体験をさせることに失敗しているのだ。

2013-01-05 13:53:50
紅蓮の猫 @lotusredcat

故に、どんなに作者が知識に溢れ、資料を読み込んでいたのだとしても、この作品を賛美するだけの根拠にはならないし、この作品の内容のみで考えるなら、やはり主張できていることは少ないだろう、というのが私の見解である。

2013-01-05 13:55:04
紅蓮の猫 @lotusredcat

文章表現一般という意味で、篠山氏の作品を私は高く評価はしている。その上で、作品の構成は最低だと言わざるを得ない。どのような目的があったにしろ、あの構成から、何かを追体験したり、作中の登場人物の心情を理解できる読者というのは少ないのではないだろうか?

2013-01-05 13:57:02
紅蓮の猫 @lotusredcat

一部を切り取って共感や賛同することはできたとしても、全体を通してテーマを伝えられるほどの作品にはなっていない。端的に言ってパッチワーク作品である。という見解で書評を締めくくりたいと思います。

2013-01-05 14:55:35

おまけ

篠山せんせの反応

篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

http://t.co/uvjkC2Tb 拝読しました。丁寧なご指摘、心より感謝申し上げます。「350Pのラノベでポリティカルフィクション」という「挑戦」の結果が、「がでがで」でした。正直、出版までの過程において後悔余りある点が多々あります。

2013-01-05 17:33:53
まとめ 篠山せんせに対する書評からの、篠山せんせとの対話 元まとめはこちら Amazonレビューを踏まえた篠山せんせに対する書評 http://togetter.com/li/434328 4168 pv 18 2 users

おまけ2

通勤バスさんは他者のレビューにこのようなコメントも行っていたようです。(http://www.amazon.co.jp/review/R1V5953HR1U61C)より引用

尚、引用箇所のレビュー部分を強調してあります。

レビュー引用

ひどい煽り本, 2012/6/26
By みい
Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
レビュー対象商品: 君が衛生兵で歩兵が俺で (スマッシュ文庫) (文庫)


この作品は憲法九条の問題を背景に動いていく話である。

本作はフィクションであり、作中に登場する実力組織・官僚機構・政党・政治団体・人物・事件・法制などは実在のものとは一切関係ありません。

冒頭にそう書かれてはいるが体裁上書いたという感じで、憲法九条の歴史についても間違った解釈がされており残念である。

作品の中では憲法九条はアメリカから押しつけられたものであるとされているが、発案は当時内閣総理大臣だった幣原喜重郎だということは自明の事実である。(マッカーサーは1951年5月5日のアメリカ議会上院軍事外交合同委員会での証言、1962年12月10日の内閣憲法調査会の高柳賢三会長への書簡、1964年の自身の回想録の中で本条は幣原喜重郎の発案によるものであると語っている)

まあ、著者が予備自衛官の人間であることからはじめからあまり期待はしていなかったが、やはり偏った歴史と価値観を教育されているという感想であった。

とはいえ文章自体は退屈せずスラスラ読めるので評価は星☆☆とさせて頂きます。

最後に

この作品をこれから購入し読む人には、フィクションであることをしっかり意識して読んで頂きたい。

そしてこういった問題を考えるときに、歴史をしっかり学び表面上の言葉に煽られないようにして賢く生きていってもらいたい。

駄文失礼しました。


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このトピックの全投稿5件中1件から5件までを表示
最初の投稿: 2012/06/28 17:32:45:JST
karambit5648さんのコメント:


作者がツイッターであなたのレビューについて罵詈雑言を呟いてましたよ。
私も、「営業妨害で訴える」と脅されました。
作者本人も委任状書くとか行ってるし。
その程度の人間なのでしょうね。


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24人中20人が「この投稿が参考になった」と投票しています。この投稿は参考になりましたか?
投稿日: 2012/08/25 7:49:44:JST
投稿者により編集済み(最終編集日時:2012/08/25 8:36:35:JST)

通勤バスさんのレビューに対するコメント

通勤バスさんのコメント:
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作中の法制や歴史が現実のものと異なるのは、繭川小隊が現場の判断で反撃できなかったこと、部隊行動に防衛事務官が随行していたことなどから明白です。
実際、篠山氏自身も芦田修正などを根拠に、「現行憲法は日米合同で起草し、帝国議会によって改正されたもの」という見解をtwitterにて明記しています。
曰わく、「最低限、いわゆる『芦田修正』を知っていれば、現行憲法の立法者意思が必ずしも『個別的自衛権を執行する実力組織の保有』を否定するものではないことは明らか」と。
フィクションに対してそこまで目くじらを立てるのは読み方としてどうかと。


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前の投稿への返答(返答日時: 2012/08/25 8:04:03:JST )
投稿者により編集済み(最終編集日時:2012/08/25 11:15:46:JST)
通勤バスさんのコメント:
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ロッゾ氏(twitter.com/lozzo5648)自身が予備自衛官でありながら、「偏った歴史と価値観を教育されている」という文言に何も感じないのは如何なものか。
現職から元自まで、自衛隊関係者に対する非礼以外の何者でもない。
こういった言説を世間では「非常識」と言うのではないか。
また、一般公募予備自衛官からしか予備自衛官に任用できない旨のロッゾ氏の投稿は自衛隊法の内容に反しており、偽計業務妨害罪(非親告罪)の構成要件を充足する。刑事罰が科されても文句は言えない。
委任状の件に関しても、社会経験があれば珍しいものでないことは分かるはず。
「その程度の人間」というマイナスの価値判断を公然と述べるのは侮辱罪(親告罪)。


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前の投稿への返答(返答日時: 2012/08/26 7:15:37:JST )
通勤バスさんのコメント:
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>ロッゾ氏

以前のtwitterでの「在日アイヌ人」なる発言に対する説明を求めます。


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投稿日: 2012/08/31 6:25:12:JST
通勤バスさんのコメント:
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第一に、それはマッカーサーの「証言」に過ぎず、物証がありません。幣原の「関与」があったことが「通説」であることは認めます。ですが憲法全体の骨子をGHQが作成したのも事実であり、その前提に立てばハーグ陸戦協定との整合性がとれず(日米ともに当時批准)、制定時には無効であった可能性があります。

ChapterU Renunciation of War
Article [ War as a sovereign right of the nation is abolished.The threat or use of force is forever renounced as a means for settling disputes with any other nation. No army,navy,air force,or other war potential will ever be authorized and no rights of belligerency will ever be conferred upon the State.
――昭和21年2月13日にGHQが内閣に示した憲法案(いわゆるGHQ草案)の現行九条該当部。

第二に、上記の通り、いわゆるGHQ草案(マッカーサー草案)では個別的自衛権すら否定される書き方がなされています。現行憲法九条とは内容が違います。その時点で「日本の意思」は入っています。いわゆる「芦田修正」です。芦田の真意は未だに謎とされていますが、幣原のみによって九条を語るのは憲法史に対する無知との誹りを免れません。


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