Amazonレビューを踏まえた篠山せんせに対する書評

やってみました。
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記録まとめ

まとめ 篠山半太氏の個人情報漏えい疑惑に関するまとめのまとめ 殆どリンク集です。簡単な説明だけつけてまとめました。 32632 pv 168 10 users 6

以下本文

篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

http://t.co/DtbdYgGZ やっと、的を射たカスタマーレビューが出てきた。

2013-01-05 03:43:05
紅蓮の猫 @lotusredcat

せっかくだから突っ込んでみようか

2013-01-05 13:20:27

レビュー引用

作者と作品は分けて考えるべき, 2012/12/15
By 通勤バス
レビュー対象商品: 君が衛生兵で歩兵が俺で (スマッシュ文庫) (文庫)
ネタバレ注意。

作者である篠山半太氏([・・・])の身辺をめぐってゴタゴタがあるようだが、
本来作者と作品は明確に分けて論ずるべきである。

私見だが、本作で最も作者が訴えたかったのは「民主主義の価値」ではないかと思う。
憲法九条云々はガジェットに過ぎないではないだろうか。

その証拠に、改憲派と護憲派の「両論併記」にはあくまでも拘っている。
護憲派の出番が少ないのはストーリーテリング上の都合であると考える。
「皇帝のいない八月」という映画があるが、あの作品をもって「右翼映画」と見なす者がどれだけいるだろうか。
もし本当に本作が「右翼ラノベ」であるのなら、「護憲派」の立場を代弁する倉木一士を出す必然性は説明できない。
また最終的に「日本陸軍」として決起したメンバーは法の裁きを受けていることから、「法治主義と議会制民主主義」に対する賛美のメッセージを私は感じた。

また、ポリティカルフィクションとして見た場合、「いいところをついてきたな」というのが印象である。
本作の鍵になる「内閣総理大臣臨時代理」制度は、現行憲法下では三回しか発動された例がない。
その最初の例が、石橋湛山内閣時代の岸信介内閣総理大臣臨時代理である。
その際、作中でも示されているように、「内閣総理大臣臨時代理には組閣権も解散権もない」と内閣法制局から見解が出ている。
もしここが訂正されたら……という切り口で読むと、「斬新」の一言に尽きる。
篠山氏のtweetから引用する(12/12/27 21:07)。

 >元自衛官の防衛大臣→中谷元・森本敏 女性防衛大臣→小池百合子 防衛大臣が官房長官の次の臨時代理→高村正彦 34歳の国務大臣→小渕優子 実は、「繭川防衛大臣」の設定には全て「前例」があるのです。

相当に法政関係の史料を読み込んでいることが窺える。そうでなければ、本作は書けない。

色々と「誤解されがち」な本作。だが、一読の価値はあると考える。
「誰もやらなかった」作品であることを考慮し、五つ星。

レビューを踏まえた書評

紅蓮の猫 @lotusredcat

「本作で最も作者が訴えたかったのは「民主主義の価値」ではないかと思う。」 とあるが、この点から言えば、まず繭川首相がクーデターを起こし、それに人民党が武力行使で対抗した下りは否定される要因にならないだろうか。

2013-01-05 13:23:11
紅蓮の猫 @lotusredcat

このくだりは正直私も違和感を抱いたが、日本の現状を鑑みて、あれほど簡単にクーデターが起きるというのはあまりに過程を排除しすぎだと考えている。

2013-01-05 13:23:14
紅蓮の猫 @lotusredcat

クーデターが起きる過程から、クーデターが行われた後の動向を描くにあたって、民主主義的な様相を描いているとは思えなかった。あまりにも唐突にクーデターが始まり、そして唐突にクーデターが終わる。

2013-01-05 13:25:51
紅蓮の猫 @lotusredcat

それは、民主主義が要因ではあったのだけど、そこに民主主義の価値を見いだせるほど濃密には描かれていない。その意味では、「民主主義の価値」を表現したかったのだとすれば、クーデターの下りは評価を下げる要因だと考えられる。

2013-01-05 13:26:40
紅蓮の猫 @lotusredcat

「その証拠に、改憲派と護憲派の「両論併記」にはあくまでも拘っている。 護憲派の出番が少ないのはストーリーテリング上の都合であると考える。」とあるが、これについても疑問を抱く。民主主義とは、対立項がそれぞれの主張を交えるディベートのみに関わることではないからだ。

2013-01-05 13:30:38
紅蓮の猫 @lotusredcat

作中では、ディベートの内容を取り上げて演出はしているものの、観客の様子や、実際にディベートがどのように進んでいくかが描かれるシーンは少ない。「こういう意見があります。そしてこういう意見もあります。」というさわりのシーンしかないのである。

2013-01-05 13:31:59
紅蓮の猫 @lotusredcat

この部分だけを持って、「故に民主主義の価値を訴えているんだ」と言ったところで、そんなものはただのお飾り程度にしか機能しいない。この点はもっと別な意図や作用があったと考えるのが自然だと考えられる。

2013-01-05 13:34:59
紅蓮の猫 @lotusredcat

私は、この部分は分量や演出の薄さなどを考慮して、もっと「お飾りとしての議論」を演出したかったのではと思っている。だとすればクーデターの理由付けとしても補強されるし、作品全体の傾向として十分に説明がつく。

2013-01-05 13:36:15
紅蓮の猫 @lotusredcat

ディベートが途中で中断される演出というのも「重要でないもの」「民主主義の破壊」といった印象を抱かせる演出としてはむしろ適当なのだ。故にこの部分はむしろ、そういった向きで捉えるのが適当そうである。

2013-01-05 13:37:44
紅蓮の猫 @lotusredcat

「もし本当に本作が「右翼ラノベ」であるのなら、「護憲派」の立場を代弁する倉木一士を出す必然性は説明できない。」とあるが、これは簡単に説明可能である。何故なら、そういった思想を流布する常套手段として「対立する意見も取り上げ、その上で自らの正当性を訴える」というのが存在するからだ。

2013-01-05 13:39:32
紅蓮の猫 @lotusredcat

こういうのはもうやり尽くされた手法で、対立項にあたる意見を出しているから中立なんていうことはあり得ない。むしろそれがどう扱われているかが問題で、そういう意味では前述のディベートのくだりが重要になってくる。

2013-01-05 13:40:56
紅蓮の猫 @lotusredcat

ディベートでは、やり取りが途中で破壊されている。それを民主主義の崩壊/破壊という演出だと捉えるなら、そこに民主主義の価値は既に無く、その意味では右翼的な作品だと言うことは十分にできてしまう。

2013-01-05 13:43:25
紅蓮の猫 @lotusredcat

ただし、そこまで右翼的な印象を抱くわけでもなく、そう言った意味で右翼作品というのは的外れだとは思う。この作品が主張できていることは少ないので、そう言った意味で一義的にどちらにも偏らない作品とするのが適当ではないだろうか。

2013-01-05 13:44:08
紅蓮の猫 @lotusredcat

思想的な背景においても、その演出に置いても、さわりの部分しか表出していないというのが、この作品の特徴で(残りの部分はパロディ)そういう意味で読者は常に置いてけぼりである。

2013-01-05 13:45:23