『エヴァQ』にみる「アニメ」と「特撮」の終焉

@row87400822さんの論に共感したのでまとめてみました。
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row_m @row87400822

お正月も終わってそろそろ通常モードに。飲みやら掃除やらでさほど読書進まず。待ち時間出来た時に新宿で「エヴァQ」をもう一度見直す。やっぱ初見と印象変わんなかったし、もうネタバレもいいと思うので、これ以降のツイートは「エヴァQ」についての再考。

2013-01-05 18:28:34
row_m @row87400822

まず「エヴァQ」の頭にジブリの鈴木Pが「巨神兵東京に現る」をカップリングして来たのは象徴的だ。実際は別の意味だったのかもしれないが、僕には「巨神兵」に代表される「特撮」も、「エヴァ」に代表される「アニメ」も、終わりの時を迎えようとしているのだ言っているように思えた。

2013-01-05 18:32:15
row_m @row87400822

「巨神兵」は「特撮博物館」で見て以来3度目だが、その印象は変わらない。「ノスタルジア」だ。デル・トロ監督の「パシフィック・リム」の予告編を見ればわかるように、時代は変わった。「特撮」は既に「CG」に置き換えられている。だから「巨神兵」は最後の宴、葬儀に他ならない。

2013-01-05 18:35:20
row_m @row87400822

「パシフィック・リム」に関してはWikipediaを見る事。http://t.co/7D84qMYWパシフィック・リム_(映画) また実際の予告は以下。 http://t.co/H0l8c26C

2013-01-05 18:40:22
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row_m @row87400822

庵野監督が「特撮」オタクである事はよく知られている。ゼネラルプロダクツ時代の「帰って来たウルトラマン」では素面をさらしてウルトラマンを演じる程に。ただ、日本の「特撮」は事実上、70年代には既に黄昏を迎えていた。「特撮」が「SFX」に置き換わっていく時代だ。

2013-01-05 18:44:23
row_m @row87400822

そして00年代に入り、「SFX」は「CG」が主流となった。僕自身の感覚で言えば「指輪物語」を劇場で観た時に、もう「特撮」は死んでいる。もちろん「CG」は万能ではない。製作者のイマジネーションが全てを決めると言っていい。(その意味で日本のCGにはこれが不足している)

2013-01-05 18:47:29
row_m @row87400822

「イマジネーション」と書いたが、実は「アニメ」でもこれが非常に重要なのは論を俟たない。「非現実的光景」を実際の「映像」として画面に定着していく技術、これがイマジネーションだ。特に日本のアニメにおいては、ここがストロングポイントとなった。

2013-01-05 18:52:01
row_m @row87400822

なぜか? 日本は「貧しい」国だったからだ。映画製作においてはアメリカ=ハリウッドの映画製作予算の10分の1にも満たない予算で観客に「驚き」を与えねばならない。「実写」では不可能なイマジネーションの奔流。それが結果的に、日本の「アニメ」の特徴の一つとなった。

2013-01-05 18:55:48
row_m @row87400822

「エヴァQ」の冒頭6分間はその意味でイマジネーションの奔流だ。誰も観た事がない映像の快楽がそこにある。そして、庵野監督はゼネラルプロダクツ時代から、映像演出に関しては稀代の冴えを見せて来た。その結晶が「エヴァ」だとも言える。

2013-01-05 18:58:54
row_m @row87400822

そして「エヴァQ」は結果的にはそれ以外、何もない。お話はもはや自覚的に「放棄」しているものだと僕は見た。だから、かつての「エヴァ」の熱狂を支えた一員である東浩紀らからは辛辣な言葉を投げかけられている。

2013-01-05 19:01:41
row_m @row87400822

作品の中にメッセージはなく、作品の表面にメッセージがあるからだ。旧「エヴァ」放送時では庵野監督の中に「天才の鬱屈」があり、それがそのまま主人公に歪な形で投影された。その意味で旧「エヴァ」は全てがメッセージだったと言って良い。

2013-01-05 19:04:30
row_m @row87400822

つまり「究極の映像」を作れる「僕」と、それを「評価」してくれない「社会」というテーゼがそこに生まれていた。これは作品そのものが出来が良くないと成立しない命題だが、実際に素晴らしい映像がTVスケールとはいいながらも、そこには提示されていた。そこに観客は乗った。

2013-01-05 19:07:41
row_m @row87400822

だが、旧「エヴァ」で評価を受けたがゆえに、既に現段階ではテーゼは成り立たない。黙っていても「評価」してくれるのだから。当然、そこに現出するのは「究極の映像」だけだ。語るべきテーゼ(主題)がないからお話もない。乗れない観客が多いのは当然である。

2013-01-05 19:12:01
row_m @row87400822

このように「エヴァQ」自体は歪な映画だが、それでも二度見して思ったのはやはり凄まじい映像、イマジネーションであるということだ。ただ、ここで話は元に戻る。最初に「巨神兵」の話をしたのは、この「究極の映像」ももはや「特撮」と同じなのだな、ということだ。

2013-01-05 19:15:22
row_m @row87400822

「エヴァ」を作ったのは正しくは庵野監督だけではない。設定の山下いくと他、数々の作画スタッフの力でこの映像は作られている。ただTV放送から15年以上を経て、その年齢は皆もう40代を越え、50代の人間も少なくない。もはや現役でいることが難しい年齢に達しつつある。

2013-01-05 19:21:11
row_m @row87400822

「特撮博物館」で見た「巨神兵」メイキング映像を見ると、スタッフの高齢化がはっきりわかる。40代の樋口監督がまだ若い方だ。その意味でも「特撮」は棺に入っている。そして、「アニメ」もそうなりつつある。

2013-01-05 19:25:17
row_m @row87400822

「巨神兵」の劇中の台詞で「逃げろ」が連呼されたのは、誰に対してのメッセージなのか。また、同様に「世界を創るのに一週間かかったのなら、壊すのにも相応の時間がかかるだろう」とも語られているのは、どういう意味なのか。

2013-01-05 19:28:29
row_m @row87400822

「特撮」が鬼籍に入り、今また「アニメ」もゆるやかに滅びつつある、ということを制作側が自覚的に考えているならば、答は明らかだろう。メッセージを送られたのはアニメ業界に憧れる若者に向けてのものだ。

2013-01-05 19:32:49
row_m @row87400822

いや、もっと広範に「アニメ」をあらかじめ用意されていた「御馳走」として感じている層や、「クールジャパン」の代表とさえずる人々にも向けられているのだろう。80年代末からの「ジブリ」ブランド化に始まる「アニメ」黄金時代の幕引きを本人たちがここで語っているのだ。

2013-01-05 19:36:55
row_m @row87400822

先に述べたように、「エヴァ」しかり「ナウシカ」しかりで、特撮を源流に持つアニメ的「イマジネーション」の時代は終わりを告げようとしている。これからやって来るのは「イマジネーション」を必要としない作品なのかもしれない。

2013-01-05 19:44:03
row_m @row87400822

そして「エヴァQ」はその墓碑銘として刻まれるのだろう。「実写では到達出来ないイマジネーションを求めた映像作品、ここに眠る」と。あとはよしなに。

2013-01-05 19:46:13