劉度
@arther456
大通りから少し離れた薄暗い道路だ。倒れている人影は見当たらない。少し遠くを見渡そうと一歩足を踏み出すと、体がグラリと傾いた。「え?」驚いて足元を見ると、無かった。自分の左足が。「え?」20
2013-01-07 01:37:24
劉度
@arther456
もう一度顔を上げると、一瞬前まではいなかったはずの人影が、巨大な包丁を振りかざして立っていた。「え、アバッ……」三度目の驚きの声を上げると同時、運転手の喉は包丁によって切り裂かれていた。それを見るのは、トラックに轢かれたはずのトートマウスの濁った瞳のみ。21
2013-01-07 01:41:01
劉度
@arther456
その視線が、ネオン輝く大通りに注がれ。そしてスモッグに覆われた空を見上げ。「……アバー」鎌を拾い上げたトートマウスは、フラフラとエンガワ・ストリートの路地裏の闇へと潜っていった。22
2013-01-07 01:42:47