【「災後日本」に必要な視野の歴史的な転換・続2】

宗教学者 島薗進氏の このテーマでの連続ツイート第3弾になります。今回は「学の閉塞」について。
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島薗進 @Shimazono

0【「災後日本」に必要な視野の歴史的な転換・続2】「災後」r論はさまざまだが、『中外日報』http://t.co/KNpZjPIg は宗教や精神文化、生き方の根に関わる価値観という観点。それを受け、続1は80年代論。http://t.co/brCqcVpf 続2は「学の閉塞」論。

2013-01-08 09:21:03
島薗進 @Shimazono

1【「災後日本」に必要な視野の歴史的な転換・続2】通産省主導の国策民営で電力会社を甘やかし安易に原発を増やし続けてきたことは、電力の自由化が遅れらせ、安全対策の手抜きを常態化し、「原子力ムラ」を育て御用学者を量産し、メディアを「虜」にし、電気料金を高め国民にツケを回してきた。

2013-01-08 09:21:37
島薗進 @Shimazono

2【「災後日本」に必要な視野の歴史的な転換・続2】原発災害で国が脅かされる元は80年代に本格化する国策民営体制。当時、エズラ・ヴォーゲルのようにそれを称賛する「日本人論」者が内外にあふれた。エネルギー危機のトラウマと原子力による国力増強という夢の誇大宣伝がインプットされた。

2013-01-08 09:21:51
島薗進 @Shimazono

2【「災後日本」に必要な視野の歴史的な転換・続2】以後、諸分野で規制緩和と自由化が進むが電力=原子力分野はそのらち外に置かれ、経済成長のために民主主義的なチェックがきかない領域として温存。このようなシステムが3.11で崩壊の道へ。政官財学報の抵抗動機は根強いが余命は短い。

2013-01-08 09:22:35
島薗進 @Shimazono

3【「災後日本」に必要な視野の歴史的な転換・続2】80年代後半以降、チェルノブイリ事故の影響もありヨーロッパが脱原発の歩みを始めるが、日本は逆にアメリカの原発メーカーら世界の原発推進に乗せられることになった。チェルノブイリへの日本の支援は、アメリカ財界やIAEAに

2013-01-08 09:22:52
島薗進 @Shimazono

4【「災後日本」に必要な視野の歴史的な転換・続2】乗せられ笹川医療財団がスポンサーとなった。そして放射線健康影響分野では、重松逸造、長瀧重信らが世界の原発ムラをむしろ引っ張る役割を担うことになる。同じ時期に電力中央研究所は低線量放射線の健康への悪影響は少ないという研究を旗振り。

2013-01-08 09:24:37
島薗進 @Shimazono

5【「災後日本」に必要な視野の歴史的な転換・続2】アメリカもそれなりにヨーロッパの影響も受け国内に批判勢力が増していくが、日本では「国策民営」体制が花盛り。放射線健康影響を例にとると、電中研、放医研はひたすら原発推進に都合がよい「科学研究」に力を入れる。国がそれを後押し。

2013-01-08 09:25:13
島薗進 @Shimazono

6【「災後日本」に必要な視野の歴史的な転換・続2】だが、その背後には通産省が業界を丸抱えして応援する「ジャパン・アズ・ナンバーワン」的な体制があった。原子力工学の学問的自律性はきわめて危ういものになり、電力会社から大学教授に転職するような例が常態化。放射線健康影響学も閉鎖業界化。

2013-01-08 09:25:33
島薗進 @Shimazono

7【「災後日本」に必要な視野の歴史的な転換・続2】1970年代まではUNSCEARに出る塚本憲甫(放射線医学、がん医学)、田島英三(物理学)のような学者は広い学界に十分通用する経歴をもっていた。しかし、90年代になると原発ムラのコスト低減に奉仕しようとする研究を行う研究者が増大。

2013-01-08 09:25:48
島薗進 @Shimazono

8【「災後日本」に必要な視野の歴史的な転換・続2】このあたりの経緯は「日本の放射線影響・防護専門家がICRP以上の安全論に傾いてきた経緯」で調べてきことた。 http://t.co/PY8Wn4UQ 日本型「国策民営」の影響を受けた原子力・放射線ムラが御用学者を育てた。

2013-01-08 09:26:01
島薗進 @Shimazono

9【「災後日本」に必要な視野の歴史的な転換・続2】だが、原子力・放射線ムラだけの話ではない。リスク論、リスク・コミュニケーション論へと被害住民の立場より、政府・財界側から「安全・安心」を説く論者が文系理系のさまざまな分野から登場してくる。これは新しいタイプの「御用」学的傾向。

2013-01-08 09:26:18
島薗進 @Shimazono

10【「災後日本」に必要な視野の歴史的な転換・続2】80年代以降、レーガン、サッチャー的な市場経済至上主義が波及するとともに、大学等での研究は1)業績主義の強化による狭い専門への集中の強化、2)外部資金の獲得により資金源への依存といった傾向がましてくる。諸分野の研究者知っての通り

2013-01-08 09:27:31
島薗進 @Shimazono

11【「災後日本」に必要な視野の歴史的な転換・続2】こうした傾向が原子力・放射線ムラの強化に資する経緯は「放射線のリスク・コミュニケーションと合意形成はなぜうまくいかないのか?」http://t.co/PY8Wn4UQ 参。「災後日本」はこうした「学の閉塞」の彼方にあるはず(続)

2013-01-08 09:28:14