「葬室からの励と責～イット・カムズ・レイド」 #5

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実際、何度かホワイトが魔術師側の依頼を受けて行動したことがあるのは良く知られていた。彼等がホワイトを敵と断じきれなかったのも無理はない。だが、ワイドリバーは敢えて聞いた。「何故ここにいる？」『ＵＡＲとかの使いで、お前たちを助けに来たと思ったので？』中性的男声が答えた。 49

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雰囲気から彼等の考えを推測しての答えだ。この声は口から出たものではない。空中に生じている合成音声だ。科学的に発生させたものに魔術で細工しているのだろう。年齢や性別を誤魔化すためだけではない。ソナーの原理で声が体に反響する具合から体格などを推測されることも避けているのだ。 50

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それに加え、先程の様に敵の注意を引きつけることも出来る。『お前ら状況読めよ…惨たらしく殺しに来た決まっているだろう。この放射性廃棄物の成りそこないを濾過した後になおも残り腐ったような汚物共が』ホワイトの放言かつ暴言！「……！！何だとっ！！？」リバーは当然激怒！やはり敵！ 51

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『お前らの下らん出来損ないのお遊戯会で何億人が…いやえーと百億人以上がこれから死ぬことになった…死んだ？と思っているんだ？』「何を言っている！？」世界人口は70億人。どうやって百億人以上も殺せというのか。知識としては知っていたが、予想以上に意味が分からないホワイトの言動だ。 52

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「我々の儀式は我らだけではない、世界にとっても大いなる益となるものだ！」それでもリバーが反論する。「儀式により蘇る『偉大なるＣ』の力により人類は老いや死と無縁となり、『奴ら』との戦いにも勝」『その戯言長い？』「」『お前は次に『戯言だと！？』と言う』「戯ご…ッ！」先読み！ 53

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『大体お前Ｃ！Ｃ！って何のことなの？』「貴様に言う必要は」『言いたくないの？それとも言えないの？♪上司に説明を聞くチャンスを逃してばっかりなの？♪』「…ッ！」図星！『偉大なるＣ』の詳細は上層部しか知らない。彼等はただその言葉を盲信していただけだ！ 54

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『ま・さ・かぁ？良く分からないものを上からの指示で、言われるままただ復活させようと？…いっや～まさかそんな訳はないよねぇ～？↑』また図星！『ああ、それはいいのいいの。でもさぁ～その良く分からんもんを知りもせずに受け売りだけで自慢げに語るとか正気を疑っちゃうよねぇｗｗ』 55

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「く…ホワイト！何の真似だ！何故我らを狙う！」どこまでも痛いところを突いてくるホワイトに対し、議論を捨て再度疑問をぶつける！『え、こんだけ言ったのにまだ説明が必要とかこりゃコトだ！…もしかしもう脳が腐っているというアピール？もう死体同然だから殺しても無駄だと言いたいので？』 56

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「…つまり、儀式の阻止に来たと？」怒りと殺意を押し殺した声で、それだけを何とか言う。『言わせんな恥ずかしい』「どこまでも…貴様…やれっ！」ワイドリバーが攻撃指示を出す。現状で動けるのは彼と眼前の自分の徒弟二人のみ！『さぁ！お前ら！無能リーダー様の命令だ！やれやれい！』 57

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両手で自分を指して、自分を殺せと煽り立てる。剣を構えシモンが先行！「ハァアアッ！」し、キャロンはコインを投擲！「ヒュッ！」『！』ホワイトはその場で右回転、コインを片手で全て掴み取り、その威力が活きているうちにシモンの腕、手、肘、などに投擲。「ウグァァァ！」シモンは絶叫！ 58

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その時には彼の眼前上方にいたホワイトは両足で彼の首を挟み、跳躍。ゴキィ…首の骨が折れる音。「シモン！」叫ぶキャロンの胴を「え？」行掛けに奪った剣で両断し、『うわ、ばっちぃ！』背後のストーン…いやロンに剣を投擲。動けぬ師弟を「づうっ！」庇い損ねたクインスの腹に刺さった。 59

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5人を完封したホワイトは両断したキャロンの上下半身を掴み、『ヒールユニオンアンリミテッド！』何らかの魔術を行使した！「ぁめろぉ！！」魔術師生命力で生きていたシモンが叫ぶ中、キャロンの傷口が塞がった。そこから手や髪、指、目、骨などが無闇に生える。 60

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「嫌ああああ！！？」視界の端でそれを自覚したキャロンが絶叫する中、傷口の異様が飽和し、無傷の肉体も醜く変化を始める。これは異形再生！人体ではそう起こらぬそれを未必の故意で引き起こしたのだ！本人を含めた全員が絶句！その惨状を起こした本人は汚らしそうにしている。 61

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『下半身はいらんからくれてやるよ。彼氏』シモンのほうに蹴り飛ばして寄越す。麻痺した体では上手く受け止められず彼は直撃を受ける。「ぐぅ！！…おのれぇ！離せぇ！」キャロンのほうに必死に伸ばした手をホワイトが踏み折り、『ペインアクセル・アンリミテッド』術を掛けられた。 62

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「！！！！！ぅっぐあああああああああああ！？？？？？」数百倍に引き上げられた激痛に悶絶！同時に耐久力も上げられている為、死ねない！「あがあああああああああ！？？？」キャロンにも同じ責め苦が襲い掛かる。「やめろ！二人を離せ！」彼等の師ワイドリバーが叫ぶ！ 63

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彼はただ傍観していたのでは決して無い。先程から何度も魔力弾による攻撃の機会を窺っていたが、その度にキャロンを盾にされたり、殺すような素振りを見せられ、機会を逸していた。『ん、ああ良いよ？死体で良ければ』責め苦を続けながら髪を掴んで女の上半身を振り回す。 64

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のたのたとした動きでワイドリバーに迫る。「くっ！」彼は後ろに飛び退くとシャッターの方へ駆け、これを魔力拳で粉砕！一人で逃げようというのではない。一か八かの反攻の為だ！外は豪雨。これを操って戦える水使いの彼は有利！「覚悟しろ！ホワイト！」振り返ると徒弟達は死んでいた。 65

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「―――？」魔術師ワイドリバーの徒弟シモン・カレントとキャロン・フェイリィは死んでいた。『どうした戦わないのか？『一人で逃げようとした』と思われたまま弟子たちに死なれた水使い？』ホワイトの挑発。実際、彼の言う通り徒弟達には誤解されただろうか？分からない。分からなかった。 66

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拳を引き、ワイドリバーが向き直る。片手には身の丈以上の杖。『匣』と言う魔術師が持つ異空間から取り出したのだ。「貴様は…倒す！」叫び、外の雨を呼び込もうとする。彼は魔術名『wide river』が暗示する通りに、全力なら大河をも100ｍ以上に渡って龍の如く自在に動かせるのだ！ 67

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リバーがホワイトに杖の先端を向ける！彼の指揮に答えて、凶暴な殺戮破壊龍と化した大量の雨水が怒涛の如く流れ込んで来ない！「…何？」流れ込んで来ない！『どうした水使い？来いよ、杖なんか捨ててかかってこい！』リバーは敵に注意しつつも背後のシャッターを振り返る。 68

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穴は確かに開いている。歪だが直径40ｃｍ以上は確実にある。亀裂の広がりも直径1ｍ範囲を超えている。にも拘らず外から光すら入って来ていない。19時近いとはいえ街灯の光はあった筈だ。穴の向こうを注視すると、何故か壁があった。何故だ？外は立入禁止の柵があるだけの筈だ。 69

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（何故だ？…いや、ホワイトは今私のことを何と言った？水使い？私は水使いと奴に教えたか？状況からの推測、魔術名からの類推…それは可能だろうが…そのどちらでもないとしたら？)「貴様！まさか事前に我々のことを！？調べていたというのか！？」『勿論です…プロですから？』 70

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ホワイトは両手を上げ肩を竦めて見せる。仮面越しにも侮蔑の表情だと予想できる態度だ。治療中のクライムストーンとクインスも驚愕する。冷静に考えれば、この儀式の場を割り出してきた位である。こちらの情報を握っていてもおかしくは無い！『どうした？壁を破って水を呼んでみないので？』 71

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『無防備に？そのぅ…こっちに？背を？向けて！？』両腕を後ろに組んでホワイトが催促する。今にも口笛でも吹き出しそうな態度。ワイドリバーは状況を整理した。自分の徒弟は既に―。ストーンは未だ治療施術中だが、極限状況下で集中が乱れ捗っていない。ロンの意識レベルは定かではない。 72

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クインスは既に傷を概ね繋ぎ終えているが、戦闘を行うにはまだ……これだ！「ストーン！治療を代われ！クインス！お前とだ！」既に命の危機を脱した彼に治療役を代わらせ、ストーンに時間を稼がせる！その隙に魔力弾で突破し、水を呼ぶ！これしかない！「ストーン！少しで良い！時間を稼げ！」 73