リレー小説ログ2

文章遊びアカウントのリレー小説ログです
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今回はらずさんと一緒にやらせていただきました!
ありがとうございました〜


らず@過去の遺物 @razzmoon

1 科学で解明できない存在などこの世にはいないと信じていた俺だが、「これは信じるしかない」と思う瞬間に立ち会ってしまった。そして神がいるなら本気で助けて欲しいと思った。なんで俺の部屋に……長い髪の血まみれ幽霊が座り込んでるんだー! @T_C_Z

2013-01-14 21:14:58
黄色いT長(文章遊び用) @T_C_Z

2 玄関で凍り付いたままの俺の口からようやく出てきたのは「ど、どうも……あの、入っても、いいです?」という間抜けな挨拶。いいです?も何も、ここは俺の家である。「………」やっぱりというか、返事は無い。「返事なし……と。ですよね〜……」沈黙が怖くて俺は喋り続けた。 @dokuraz

2013-01-14 21:22:21
らず@過去の遺物 @razzmoon

3 「な、なんでですかねー? 俺、霊感とか、そういうのないし、今まで幽霊にお目にかかったことはなくって」髪で顔が隠れた幽霊は、やはり黙っている。靴を脱ぎ終わった俺は思い切って、マンションの廊下に足を踏み入れた。しかし、リビングに入ろうとしてもドアの前には幽霊がいる。 @T_C_Z

2013-01-14 21:28:11
黄色いT長(文章遊び用) @T_C_Z

4 「え〜とちょっとあの、通らないと、あの、いいですか?」俺は片手のひらを拝むように立てて幽霊の横を通り抜けようとした。だが幽霊はまるで俺を通すまいとするかのように身体を傾けて来たのだ!「えええ!?」な、なんで!?壁と幽霊の間に挟まれ身動きを封じられる! @dokuraz

2013-01-14 21:35:09
らず@過去の遺物 @razzmoon

5 「あの、ホントなんなんすか!?」俺はついにブチギレた。「さっきから人んちに上がり込んで、挨拶もなくて、そんで俺に寒い廊下でずっとこうしてろって言うんすか? 幽霊とは言えちょっと常識なさすぎじゃないですか!?」まくし立てたあと、しまったと思った。怒らせただろうか。 @T_C_Z

2013-01-14 21:40:12
黄色いT長(文章遊び用) @T_C_Z

6 すると、殆ど髪に隠れた幽霊の顔から僅かに覗く血まみれの口元が、動いた。「……た」「え?」俺は幽霊の肩と壁の間に挟まった姿勢のまま聞き返す。「何だって?」瞬間、肩越しにカッとこちらを向く幽霊!「人がいたァアア!」幽霊は号泣しながら俺に抱きついてきた。 @dokuraz

2013-01-14 21:45:12
らず@過去の遺物 @razzmoon

7 「ぎゃあああ!」腰を抜かす俺。幽霊はよく言われるように透けて体を通り抜けたりせず、俺をひしと抱きしめた。「寂しかったぁああ! 寂しすぎて死ぬかと思ったぁああ! 死んでるけど!」幽霊はわんわん泣きながら俺の胸に顔をうずめてくる。冷たい。すっげえ冷たい! @T_C_Z

2013-01-14 21:55:31
黄色いT長(文章遊び用) @T_C_Z

8 体温が一気に奪われ、俺の体はガタガタ震え出す。「ご、ごめんなさい」幽霊は顔を離した。だが俺の服を掴む腕はそのままだ。「勝手に上がり込んで淋しかったも何も…」ため息をつく俺に幽霊は意外な事を言った。「ここあなたの家なの!?この恐ろしい巨大迷路が!?」「は?」 @dokuraz

2013-01-14 22:03:40
らず@過去の遺物 @razzmoon

9 「だって同じようなドアのあるところばっかりで! 開くのはここしかないし!」「は?」「やっと開いたと思ったら誰もいないし、寒くて暗くて怖くて……!」状況を整理すると、幽霊はマンションの部屋を片端から当たったが、鍵が開いているのは俺の部屋だけだったようだ。 @T_C_Z

2013-01-14 22:07:55
黄色いT長(文章遊び用) @T_C_Z

10 「ここしかあかなかったの?」尋ねると、幽霊は血の涙を流しながらこくこく頷いた。「このマンション、ヘンですよ、部屋はいっぱいあるのに、あなた以外に人が住んでる様子がない、」「は?そんなわけが…」俺は外へ飛び出し、絶句した。廊下にドアが無限に並んでいる…。 @dokuraz

2013-01-14 22:18:30
らず@過去の遺物 @razzmoon

11 俺が帰ってきたときは普通のマンションだったのに、ど、どうしてこうなった……。意味がわからないがとりあえず部屋を間違えている可能性を考えリビングに駆け込む。いや、いつも通りの俺の部屋だ。ガラステーブルの上のノートパソコンを起動してみると、ネットに無事つながった。 @T_C_Z

2013-01-14 22:22:09
黄色いT長(文章遊び用) @T_C_Z

12 「ふ、普通のマンションならドアをすり抜けることができるはずですよ…」幽霊が背後から涙混じりの声を出す。「いや幽霊にとっての普通の話されてもわかんないけど…」じゃあどんな"普通"だったのか?俺はこのマンションの記憶を掘り起こそうとした。だが「思い出せない」 @dokuraz

2013-01-14 22:28:39
らず@過去の遺物 @razzmoon

13 「それに、あなたもおかしいです。生きてる人間なら触れないはずです」幽霊の言葉を無視し俺はパソコンを覗き込む。ネットで助けを……「マジかよ」ブックマークに入っているサイトはすべて、俺の記憶にないものだった。というか、俺は普段どんなサイトを見ていた? わからない。 @T_C_Z

2013-01-14 22:35:29
黄色いT長(文章遊び用) @T_C_Z

14 「え、エロサイト…エロサイトだ!俺の年齢の人間のオスなら絶対見てる、見てないはずない、」うわごとのように呟きながらPCを漁る俺の顔を、「あなた、本当に人間ですか?」幽霊は血まみれの洞穴のような両目でじっと見つめてきた。「人間ですよ!」俺は思わず声を荒げた。@dokuraz

2013-01-14 22:42:57
らず@過去の遺物 @razzmoon

15 「人間じゃなかったらなんだって言うんですか!」「ご、ごめんなさい、もしかしたら私と同じかなーなんて」「冗談はやめてくださいよ……あ、エロサイト! これそうじゃないですかね?」 ……はぐらかそうと適当にクリックしたサイト。それはオカルトサイトだった。 @T_C_Z

2013-01-14 22:51:49
黄色いT長(文章遊び用) @T_C_Z

16 窓に映る巨大な老婆の顔、滝から無数に伸びる腕、そんな心霊写真が次々にPC画面に映し出される…「こ、怖い!!ウワアアアアアーーッ!」幽霊は目から真っ赤な血を噴き出して泣き叫んだ。血しぶきが部屋中に飛び散る!「ちょ、泣かないの!掃除が大変なんだから!」 @dokuraz

2013-01-14 23:02:41
らず@過去の遺物 @razzmoon

17 「あ、この記事……」俺が指さしたのは、「マンションの幽霊」という記事だった。要約すると、取り壊されたマンションそのものが怨霊と化し人を招き入れて閉じ込めてしまうというものだった。「ま、眉唾ものですね……」幽霊が言う。俺は突っ込みたいのをぐっとこらえた。 @T_C_Z

2013-01-14 23:07:19
黄色いT長(文章遊び用) @T_C_Z

18 「仮に、これがその怨霊マンションだとして」俺は床に零れた幽霊の血を布で拭き取りながら考えた。「俺を閉じ込めるってのは、ともかく。あなた、何なんです?なんで幽霊なのにこんな事になっちゃってるんですか」「しりませんよぉ、わ、わたしこないだ死んだばっかりで、」 @dokuraz

2013-01-14 23:15:03
らず@過去の遺物 @razzmoon

19 とにかくマンションから出る方法はないか。俺はコメントを見た。『彼女と閉じ込められて彼女以外の記憶をなくしたんだが、諦めて二人で楽しく生活してたら出られた。多分住人が楽しく暮らすのがマンションの鎮魂になったんじゃないか』見ると隣で幽霊が頬を赤らめている。何すか? @T_C_Z

2013-01-14 23:24:15
黄色いT長(文章遊び用) @T_C_Z

20 「いや、何すか!なんでちょっとくっついてきてんすか」悪いけど俺は目から血を噴き出す女はタイプではないのだ。「何って鎮魂ですよぉ、鎮魂」幽霊はまたも両目から滝のように出血。「やめて怖い!怖いし部屋が汚れ…」床に広がる血染みに同期し、俺の上着も赤く染まった! @dokuraz

2013-01-14 23:34:40
らず@過去の遺物 @razzmoon

21 「ちょ、待って!」構わず唇を重ねてくる幽霊。き、キスしちまった!嫌すぎる! と、突然血の染みが消えて、暗そうではあるが顔立ちの整った女性の顔が前髪から覗いた。「私、あの外見でも構わず愛してくれる人の口づけで元に戻れる呪いのかかった幽霊で」「ちょっと待て」 @T_C_Z

2013-01-14 23:43:33
黄色いT長(文章遊び用) @T_C_Z

22 「ちょ、待って、あんた、」そうだ知ってる、この女は、「あんた俺の部屋に住んでた…いや、俺の部屋っていうか、部屋が俺っていうか、」違う、この部屋はもともとこの女の部屋だ。そして俺は、部屋そのもの…部屋の精とでも言うべきものだ。気付いた瞬間身体が透き通る。 @dokuraz

2013-01-14 23:55:55
らず@過去の遺物 @razzmoon

23 「どうしたんですか? 透き通ってますよ」「見ればわかる……つまり、俺が」「私と同じ幽霊? やっぱりあなたが私の王子様だったんですね!」だめだこの女。何も理解してないどころか勝手に妄想を開始しだした。「この部屋が二人の愛の城になるんですね!ロマンチック!」 @T_C_Z

2013-01-15 00:02:27
黄色いT長(文章遊び用) @T_C_Z

24 「愛の城っていうか城そのものが俺っていうか、あ〜何て説明したらいいんですかね、…あんた、二番目に俺に住んでた子でしょ?割と早死にしちゃった、競馬好きの」「…!」「死んだ筈のあんたがいるってことは、ああもしかして、このマンション、取り壊されたのか…」 @dokuraz

2013-01-15 00:15:20