戦後レジームと「戦前レジーム」

今の日本の停滞は戦後レジームに原因があると言われているが、戦後日本への影響力はむしろ「戦前レジーム」の方が遙かに強い。そのことをまとめてみた。
経済 戦前レジーム 財閥 1940年体制 株価のからくり 戦後レジーム
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shinshinohara @ShinShinohara
「戦後レジームからの脱却」は昨今、人口に膾炙している。戦後レジームという言葉が何を意味するかははっきりしないところがあるが、戦後左翼が影響を与えた思想信条を否定する点、それらが教育などに悪影響を与えたとする点は明確なようである。そして、日本の低迷は戦後レジームにある、としている。
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戦後の左翼が与えた影響に功罪があるのはもちろんだが、戦後レジーム以上に「戦前レジーム」の影響力が大きいことは、まだ多くの人々に十分認識されていないかもしれない。現在の日本が針路を失った漂流船のようになっているのは、「戦前レジーム」がガタガタになってきたことに大きな原因がある。
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戦後の日本の形は戦後に決まったと考えている人は多いようである。GHQに憲法を押しつけられ、軍隊をもてなくなり、云々。これらは戦後に決まったことであり、戦後体制が戦後に決まったのは当然のことのように思える。だが、戦後の体制は、戦前の体制に範を取ったものである。
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ここでいう「戦前レジーム」は、野口悠紀雄氏の言葉を借りれば「1940年体制」になる。1940年の戦時体制が、実は戦後の日本のロールモデルとなり、復興の推進力となったのである。バブル崩壊時に語られた護送船団方式や英語にもなった「ケイレツ(系列)」は、1940年体制を元にしている。
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1940年体制とはどういったものか。第二次世界大戦を遂行すべく、あらゆる企業が大政翼賛会のようなピラミッド型の組織に編成され、戦争に協力するよう迫った。実は、戦時中はこれらの組織はうまく機能しなかった。明治以来、独立独歩でやってきた企業家は、上意下達の組織を嫌ったのだ。
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そして、敗戦。日本は焼け野原になった。GHQにより財閥が解体されるなど、日本のシステムはいったんズタズタに崩壊した。だが、ソ連の影響を恐れたアメリカは日本企業の再編を許容するようになる。このとき、ロールモデルになったのが、何年間か慣れ親しんだ大政翼賛会的な上意下達システムだった。
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戦後復興を成し遂げるためには、何らかの方法で組織運営しなければならない。ほとんどの成人男子が軍隊を経験し、その組織運営に慣れ親しんでいたため、1940年に構想された戦時体制が、企業を再編する上でも大変参考になった。この結果、戦後のシステムの多くが戦時体制を参考にして再編された。
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戦後の日本のシステムが、戦時体制をモデルとして再構築された様子は、奥村宏著「株価のからくり」「三菱」などに詳しい。旧財閥系の銀行が中心となり、株の持ち合いを通じて上意下達のピラミッド型の組織に編成した。このシステムが戦後復興を果たす上で、役割を果たすことになった。
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「戦前レジーム」をモデルとして再構築された戦後日本のシステムであったが、目標は軍国主義から「日本の復興・再生」にシフトした。欧米の優れた技術をマネし、安価な値段で世界に売りまくる。アメリカがソ連を警戒して日本のやり口を許容したこともあり、「戦前レジーム」は極めて有効に機能した。
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ところがソ連崩壊とバブル崩壊で、「戦前レジーム」は役割を終えることになる。ソ連が崩壊したことで、アメリカは日本が自動車や半導体を売りまくることを許容する理由がなくなった。バブル経済とその崩壊で、日本は海外の技術をマネする時代を終えてしまった。「戦前レジーム」の寿命が来たのだ。
shinshinohara @ShinShinohara
「戦後レジームの脱却」という言葉が批判しているものには、むしろ「戦前レジーム」に起因しているものが多い。たとえば小学校6年制も、戦前の国民学校に起因する。日本企業の硬直性も、むしろ戦前レジームに範を取ったシステムの老朽化に起因するところが大きい。日本はまだ、戦争を引きずっている。
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「戦後レジームの脱却」を実現できたとして、その結果が「戦前レジームへの回帰」だとすると、それはかえって日本のシステムの若返りというより、老朽化促進を促すことになるだろう。日本の病原は戦後レジームではなく戦前レジームにあるのではないか。冷静な判断が求められる。

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