Fiascoプレイレポ「TVの向こうの友達」(2013/2/2)

ういきょう @uikyo_u

⑤ー8　視界に飛び込んできたのは、地下室の天井まで埋め付くさんとばかりに積み上げられた、黒いネズミの縫いぐるみの山だった。その手前には、捧げ物の類だろうか、まだ新しい、血塗れの鶏の死体。　縫いぐるみの目が、一斉にレベッカを見た。　「「「「「「ﾊﾊｯ」」」」」

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⑤ー9その後のレベッカの記憶は、途切れ途切れになっている。ただ、気力を振り絞って手に持っていた縫いぐるみを地下室へと投げ込み、扉を閉めた事は確かだった。きっちり再封印できたかまでは、自信がなかったが。

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⑥－1さて、時間を少し巻き戻して、レベッカが縫いぐるみを封印しようと地下室へ向かった頃。ケビンが学校から帰ってきたのだ。

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⑥ー2帰ってきたケビンと鉢合わせしたジョン。しかし、これは逆にチャンスではないかと踏んだジョンは、ケビンを説得しようと試みる。ジョン「僕と友達にならないか？」ケビン「お兄さんと？」自分の得意分野がオカルトなのを生かして、ケビンに露骨なアッピルを試みるジョン。

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⑥ー3ジョン「君は”特別なともだち”がいるんだろう？でもその”ともだち”は、時に生け贄を求めてきたり、相手そのものを傷つけたりするんだ」ケビン「……ミッキーは、そんなんじゃないもん」なまじ図星な所があるだけに、素直になれずに拗ねてしまうケビン。　第一幕はここでおしまい。

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⑦ー1「古い家」で起こっている数々の禍々しい出来事を嗅ぎ付けたのか、修羅場真っ盛りの「古い家」に神父が現れる。糸目で落ち着いた印象のある神父、名はクラウス。

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⑦－1（余談）最初は「アンデルセン神父でいいんじゃねえですか」とか云ってたんですが、あんまりな感じになりそうだったので、糸目のそこはかとなく怪しい雰囲気を醸し出す神父（ＣＶ：石田彰）になっていただきました。名前はあの……嘘屋スキーのみなさんにはお馴染みというか…ごめん。

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⑦ー2一方、ジョンの言葉に拗ねてしまい自分の部屋へと戻ったケビン。ＴＶの中のミッキーと向かい合って話をしていると、ミッキーが「レベッカも、ぼくと きみの仲を邪魔しようとしているんだ」と、ケビンをそそのかす。ケビンにとって一番怖いのは、”ともだち”を無くすことなのだ。

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⑦ー3レベッカは、少なくとも”ともだち”じゃないし、お母さんでもない。ケビンは、レベッカをミッキーにあげることを了承してしまう。その時、階段をどたどたと上がってくる音がして、ケビンの部屋のドアが開け放たれる。大人達がやってきたのだ。ケビンはびくりと肩を竦ませ、ＴＶの電源を消す。

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⑦－4神父クラウスは説明もそこそこに、ケビンの除霊をしようとする。糸目は僅かに開眼し、その目の光は一度こうと決めたら揺らがない類の、確固たるものを宿している。二人の間にレベッカが割って入った。

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⑦ー5レベッカ「荒っぽいことは止めてください！」レベッカがクラウス神父に告げると、ケビンがふと泣き出して、ミッキーにレベッカを捧げると約束してしまった事を泣きながら詫びるのであった。

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8ー1ケビンを除霊するのではなく、原因を突き止めようという話になり、クラウス神父が「古い家」の中をうろつき回る。神父が発見したのは、地下室へと続く扉の前であった。レベッカはあの時再封印しきれておらず、南京錠が扉の下に転がっている。

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⑧ー2話すしかないと決めたレベッカは、クラウス神父に自分の知っていることを語る。ここが事故物件である事、それを知った上で借りた事。……そして、レベッカ自身があの地下室で見た物を。

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⑨ー1レベッカとクラウスがなんとか地下室への扉を再封印したその時、ドアの向こうからミッキーの声が。「…ケビン。ぼくだよ。ここを開けてよ」

ivnin @ivnin

「ﾊﾊｯぼくだよ。この扉を開けてよ！」「ミッキー、ミッキーなの？」「そうだよ。この扉を開けてよ！」「あのおじさんは、なんで悲鳴を上げたの？」「・・・・・・・（沈黙）」

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⑨ー2ケビン「ミッキー？ミッキーなの？」ミッキー「そうだよ、この扉を開けてよ！」「……」沈黙が落ち、ケビンが恐る恐る口を開いた。「……あのおじさんは、なんであんな悲鳴をあげたの？」「……」答えはない。先刻のものよりも余程重い、粘ついたタールの底にいるかのような、沈黙。

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⑨ー3ミッキー「ケビン、あのおじさんはね。地下室の箪笥に足の小指をぶつけたんだよ。大人のくせに大げさだよね」その場の思いつきにしても、随分と幼稚な答えだった。そして、そんなミッキーの言葉を信じるものは居なかった。彼の”ともだち”でさえも。

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⑨ー3（余談）ここのミッキーは私がＲＰしました。すまんかった。すまんかった（2回目）。しかしミッキーの正体を鑑みると正解だった気がせんでもねーな。

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⑨ー4ケビン「……そんなの嘘だ。ミッキーの嘘つき！」目に涙を浮かべながら、ケビンが声を張り上げる。「…ミッキーなんか、大嫌いだ！」決定的な決裂の言葉。「……」扉の向こうの気配が一気に膨れあがるのが、その場に居る全員に判った。まもなく、この扉は扉としての役目を終えるだろう。

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⑩ー1どがん！　扉に衝撃が襲いかかる。これ以上は持ちこたえられない。逃げるべきだった。しかし、どこへ逃げれば驚異を遠ざけられるというのか？

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⑩ー2「ぼくの部屋だ！」ケビンが叫ぶ。「ぼくの部屋にはＴＶがあるんだ。そこへ入ろう！」しかし、今や怪物と化した”ともだち”も、ＴＶの中に入れた筈――レベッカが懸念を示すと、クラウス神父が言う。「この怪異は、原因と向かい合わない限り治まることはないでしょう。ならば、行くべきです」

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⑩ー3　「ケェビィイイン」　膨らんで迫ってくる背後の気配をひしひしと感じながら、三人は二階への階段を駆け上がった。二階へたどり着き、ケビンの部屋へ半ば体当たりするようにして入る――あった。砂嵐のノイズを写してぼんやりと光る、ＴＶだ。

ういきょう @uikyo_u

⑩ー4「ここに入るんだ！早く！」ケビンが叫んで、三人は水面に飛び込むようにＴＶ画面の向こうへと吸い込まれた。そのはずだ。だが、「ＴＶの中」に、レベッカはいなかった。

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⑩ー5　見れば、レベッカは部屋の床に半ば倒れ込んでいた。足がもつれて転んだのだろうか。「レベッカ！」ケビンが叫んだのと、部屋のドアがみしりと音を立てて大きく歪んだのはほぼ同時であった。