怪談えほん『悪い本』の絵が制作された過程
「悪い本」は当初、主人公を登場させないで作りたいと考えていました。ブレアウィッチやクローバーフィールドみたいにハンディカムカメラ越しの主人公の視点で展開するような。絵本でそういうことができないかと思っていました。
2013-02-05 11:13:35主人公を描かないことで「あなた」はつまり読者である君のことだよという構成にしたいと思っていました。でも早々にそれは無理だとなりました。15場面しかない絵本ではそれが難しい。コマ数の多い漫画だったら可能だったのかもしれません。
2013-02-05 11:17:06女の子はのっぺらぼうでもよいかもしれない…と考えていました。表情を全く描かないことで、主人公の女の子が読者のアバターのような役割になるかもしれないと。制作中盤まで女の子の顔はずっとのっぺらぼうでした。
2013-02-05 11:20:16でものっぺらぼうだと読者側ではなくてアチラ側、怖がらせる側になる。お化けのようになりますと編集者さんから指摘されて、そうだなーっと。。表情をつけることにしました。
2013-02-05 11:23:14女の子の表情も当初、極力無表情に描いていたのですが、これまた上手くいかなかった。無表情だとちっとも怖くならなかったのです。これは漫才でいうボケとツッコミのような感覚で、ボケに対して相方がちゃんとリアクションをして笑いが起きるような。怖いのもそれに似ていて、
2013-02-05 11:31:28そんな試行錯誤をしながら、でも当初あったハンディカムカメラのイメージだけはずっとあって、なので「悪い本」はハンディカムカメラの手ぶれな画面のイメージで描いていました。絵本の中では止まっていますが、頭の中では動いています。
2013-02-05 11:38:28「いるのいないの」は「悪い本」と違って完全に固定カメラ。間取り図まで描いて、部屋のどの位置にカメラを置くか、ものすごく練られている。ちょっと小津安二郎みたいやなー言うたら。町田さんがそうそう!みたいに言っていた。やっぱりそんなこと考えて描いてるんだなーと思った。
2013-02-05 11:48:26