怪談えほん『悪い本』の絵が制作された過程

宮部みゆき作『悪い本』の絵を描かれた吉田尚令さんが、制作過程についてツイートされていたのでまとめました。 『悪い本』についてはこちら↓ http://www.iwasakishoten.co.jp/products/4-265-07951-2.html
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吉田尚令 @hiruneweb

いろんな方が「悪い本」や怪談えほんについて沢山ツイートしてくださるのが嬉しい。なので制作過程について少し書いてみよ

2013-02-05 11:05:16
吉田尚令 @hiruneweb

「悪い本」は当初、主人公を登場させないで作りたいと考えていました。ブレアウィッチやクローバーフィールドみたいにハンディカムカメラ越しの主人公の視点で展開するような。絵本でそういうことができないかと思っていました。

2013-02-05 11:13:35
吉田尚令 @hiruneweb

主人公を描かないことで「あなた」はつまり読者である君のことだよという構成にしたいと思っていました。でも早々にそれは無理だとなりました。15場面しかない絵本ではそれが難しい。コマ数の多い漫画だったら可能だったのかもしれません。

2013-02-05 11:17:06
吉田尚令 @hiruneweb

女の子はのっぺらぼうでもよいかもしれない…と考えていました。表情を全く描かないことで、主人公の女の子が読者のアバターのような役割になるかもしれないと。制作中盤まで女の子の顔はずっとのっぺらぼうでした。

2013-02-05 11:20:16
吉田尚令 @hiruneweb

でものっぺらぼうだと読者側ではなくてアチラ側、怖がらせる側になる。お化けのようになりますと編集者さんから指摘されて、そうだなーっと。。表情をつけることにしました。

2013-02-05 11:23:14
吉田尚令 @hiruneweb

女の子の表情も当初、極力無表情に描いていたのですが、これまた上手くいかなかった。無表情だとちっとも怖くならなかったのです。これは漫才でいうボケとツッコミのような感覚で、ボケに対して相方がちゃんとリアクションをして笑いが起きるような。怖いのもそれに似ていて、

2013-02-05 11:31:28
吉田尚令 @hiruneweb

女の子がちゃんと怖い!っていう表情をしないと怖くならないのだなーとそのとき気がつきました。

2013-02-05 11:34:42
吉田尚令 @hiruneweb

そんな試行錯誤をしながら、でも当初あったハンディカムカメラのイメージだけはずっとあって、なので「悪い本」はハンディカムカメラの手ぶれな画面のイメージで描いていました。絵本の中では止まっていますが、頭の中では動いています。

2013-02-05 11:38:28
吉田尚令 @hiruneweb

「いるのいないの」は「悪い本」と違って完全に固定カメラ。間取り図まで描いて、部屋のどの位置にカメラを置くか、ものすごく練られている。ちょっと小津安二郎みたいやなー言うたら。町田さんがそうそう!みたいに言っていた。やっぱりそんなこと考えて描いてるんだなーと思った。

2013-02-05 11:48:26