自分のついのべリスト。その2。

瀬口 @an2a_09

今年も渡せないのかな。八方美人な私が会社で手作りチョコレートを配り回っているのは、もちろん渡したい上司や先輩達に恵まれているからなんだけど、一番の理由はこうすればあなたにも渡せると思ったからなんだけどな。冷蔵庫の扉をばたんと閉めて、床の上にぺたんと座り込む。 #twnovel

瀬口 @an2a_09

#twnovel 迷子の迷子の子猫ちゃんはとっても策士。泣いてばかりでお巡りさんを独り占め。あたし知ってる。あの子はお家が分からないんじゃなくて、お巡りさんと離れたくなくて泣いてるんだって。ずるい。いい子はいつも損をする。迷子にもなれないあたしの気持ちに気付いてよ、お巡りさん。

瀬口 @an2a_09

#twnovel 現代の錬金術師は感情を金に換えられるらしい。なんて素敵なシステム。愛情が目の前でお金に換わる。このお金は君だけのもの。君への愛が君を豊かにする。きっと君は喜んでくれる。僕はまた愛に満たされる。君の笑顔ために僕は愛を注ぎ続ける。例え君の愛を得られないとしても。

瀬口 @an2a_09

#twnvday #twnovel このごつごつとした黒い幹の奥には、あの幸せな淡い色がいっぱい詰まっている。厳しい冬を越え、気付かないくらい少しずつ、でも確実に。蕾は膨らみ続けてる。今は信じられないかもしれない。けれど、ねぇ、ほら。君の笑顔が花開く、春はもう、すぐそこ。

瀬口 @an2a_09

#twnovel あなたの知らない男性と、今日は食事に行きました。楽しい時間でありました。 食事をしている間じゅう、メールを待っておりました。哀しい時間でありました。 今宵は月のない夜で、いつにも増して寂しさ募り。 他の誰にも満たせない。ただそれだけを知りました。

瀬口 @an2a_09

#twnovel サクラサク。明るい未来を見据えた君になんてピッタリの言葉。夢に向かって突き進む君は僕にはとても眩しくて。歳の差だけじゃない大きな何かが隔ててる気がしてた。満開の桜並木。花びらが胸を掠る。あれから二年。僕の元にも桜の通知。待ってて。きっと追いついてみせるから。

瀬口 @an2a_09

自慢の黒髪、白い肌。裕福な家庭で蝶よ花よと育てられ、俗に言う「幸せな結婚」も出来た。望むものは全てあるはずなのに満たされない気分の夜は、私だけの秘密の部屋で母の遺した鏡を覗く。そして母のように尋ねるの。「鏡よ鏡、この世で一番幸せなのは、誰？」 #twnovel #twnvday

瀬口 @an2a_09

#twnovel #twnvday 子供が欲しかった。老いた母の為と言いながら本当は自分の寂しさをただ紛らしたいだけだった。どこかで種を仕入れる位なら、いっそ母のクローンがいい。酔った拍子にそんな話をしたら、彼は哀れみの目をくれた。きっと知ってたんだろう。私がどう産まれたのかも。

瀬口 @an2a_09

#twnovel この歳になっても母に甘えてる。掃除、洗濯、家事全般。ほら「ダメな子ほど可愛い」って言うからさ。「自分でしろ！」って時々怒られるけど、その分、母も好きに羽を伸ばしてる。今日も私の車で温泉三昧。「私がいなきゃダメだ」って適度に思わせるのが元気の秘訣、親孝行のコツね。

瀬口 @an2a_09

「」…。「ずっと＿」…。「ずっと好きでし＿」……。「ずっ＿」…。「好き＿」…。「好＿」…。「今日、会える？＿」……。「今日、＿」………。「」…………。 書いて消し、書いては消しを繰り返し。あなたへの想い届くはず無く。今日もパタンと閉じる携帯。 #twnvday #twnovel

瀬口 @an2a_09

#twnovel あの夏、二段ベッドから見える範囲が私の全てだった。眼下で遊ぶ子達は別世界の住人。友達は窓際の風鈴だけ。私が笑うと風鈴も笑う。涙した夜は慰めてくれる。秋、私を縛り付けていた病魔が去り、広い世界で友達も出来た。風鈴はひとり歌う。ちりんちりん。よかったね、よかったね。

瀬口 @an2a_09

#twnovel 私は羨ましがり屋。人を羨ましがるのが仕事です。そんな仕事があるのかって？今の世の中、自信の無い人は多いんです。誰かに「いいな、羨ましい」って言って欲しいんですよ。自信を取り戻した人達は、皆それなりの報酬を下さいます。私が羨ましい？あなたには素質がありそうですね。

瀬口 @an2a_09

「ドライブに連れてって」音信不通の君から突然のメール。但し、時間制限付きだと言う。惚れた弱みで車を出すと答えたら、指定された待ち合わせ場所は新しい病院だった。君を責めてた自分を呪う。そんな罪悪感はお構いなしで久々の外界を喜ぶ声。今はこの笑顔を守る。あと二時間。 #twnovel

瀬口 @an2a_09

支配者と言うのは自ら望んでなるものではない。気品ある彼女は知っていた。支配欲を剥き出しにするまでもない。真の支配者とは相手に「支配されたい」と思わせるものなのだ。 #twnovel エス氏は今日も望んで彼女に尽くす。彼女は時々その柔らかな身体を触らせ、満足げに声を出す。「にゃあ」

瀬口 @an2a_09

ノックの音がした。遠慮がちにドアを開き、こちらを覗く少女。私は笑顔で手招きし、彼女にとっては異国の菓子を分け合った。親に怒られた時、友達を呼んだ時。彼女はいつもやって来た。時は過ぎ、もうノックの音はしない。開けっ放しのドアの向こうから今日も笑顔が飛び込んでくる。 #twnovel

瀬口 @an2a_09

ロゼッタ・ストーンを目にした考古学者達もこんな気分だったのだろうか？三種の文字を見比べて何を意味しているのか必死に読み解く。音節文字、外来語を表す表記、一文字だけでも意味を成すもの。好奇心は何にも勝る。絶対にニッポンのマンガを原作で楽しむのだ！ #twnovel #twnvday

瀬口 @an2a_09

丘の上で銀河鉄道を待つ少年。老人は尋ねた。「お前も機械の身体が欲しいのか？」夜空を見上げ、少年は答える。「そんな馬鹿な事は願わないよ」「ならば何を求める？」悲しげな目に星が映る。「僕は機械の心が欲しい。限りある命を自分で壊してしまわないように」 #twnovel #twnvday

瀬口 @an2a_09

どきどきどき。鼓動はちっともおさまらず、胸がきゅーんと苦しくなる。このままじゃ、息苦しくて死にそうだ。勇気を出して特効薬を貰いに行こう。あの人ならきっと動悸を抑えてくれる。この苦しみから救ってくれる。もう二度と、ときめいたりしないよう、冷たい言葉で刺してくれる。 #twnovel

瀬口 @an2a_09

#twnovel 眠り姫は目覚めていた。静かな城に違和感を覚えつつ、口うるさい躾係も、勉強熱心な教育係の姿も傍に無いのはむしろ幸運だと思っていた。今日はやけに眠たい。もう少しだけなら叱られはしないだろう。そうして自ら眠りに戻った。同じ事をもう千年も繰り返してるとは夢にも思わずに。

瀬口 @an2a_09

ざくざくざく。前髪を切っていく。視界が少し明るくなる。切り過ぎた？鏡をじっと見つめてみる。まだ大丈夫。ハサミを動かす。ほんの数ミリの、私と世界を隔てる大きな壁。壁を越えると決めたんだ。ざくざくざく。新しい世界は昨日より広くて明るい。ほんのちょっとだけど、きっと。 #twnovel

瀬口 @an2a_09

年が明けたので、うさぎは月に帰ります。お月さまへはいつもの様に龍が運んでくれています。道すがら、うさぎは龍に語ります。この一年、世界がどんなだったのか。うさぎの涙を思いながら、龍はこの地に戻ります。その姿は流星となって、人々に新たな希望をもたらすのです。 #twnovel

瀬口 @an2a_09

やれ「ナンバーワンよりオンリーワン」だとか「個性が何より大事」だなんて言っておいて、実際にはこの扱いか？！目の前の現実に悪態をつく。試験に落ちたものの僻みと思われても結構。俺達はゴミじゃない！ #twnovel #twnvday 今、地元で一番の人気商品はそんな規格外の野菜たち。

瀬口 @an2a_09

綺麗な本を手に入れた。色鮮やかな装丁にしっとりと馴染む手触り。中身を開くと真っ白で、本は私に語りかけてくる。「私を自由に染めて下さい。あなた自身の手で。」それは希望に満ちた言葉。だけど余計に汚すのが怖くなって。臆病な私は今日も未来を描けない。ただ白い日々の中で。 #twnovel

瀬口 @an2a_09

温めたミルクにスプーンで涙の元をひとたらし、ふたたらし。くるくるとかき混ぜふわっと香る甘い匂いにうっとりと頬を染める。ふぅふぅと息を吹きかけ口に含む。香りとは裏腹に口に広がる強い苦味。苦味は思い出を溶かして涙にする。涙の元は笑顔の元。流しきったら、後味は甘くて。 #twnovel

瀬口 @an2a_09

昔々、物語は私の奥底まで深くえぐってその内容を刻み付けた。幻想的な世界、古き良き時代、まだ見ぬ未来。時に滅ぶ世界を、時には普通の日常を、父母の愛や師の尊さを語った。知らぬ間に心が固くなったのか。HDDには新しい物語も保存した筈なのに、思い出すのは昔の物語ばかり。 #twnovel