『楽しそうに ひざまくら。』

チカ @chica1219

①「ねーねー」私に向かって呼びかけてきた彼氏を、私は横目で一瞥する。「…何」「俺、眠いかもー」そう言って瞼を擦る彼氏。だけど、それは完全なる演技だ。聡い私はわかっているんだ。何を企んでいるかはわからないけど、でも、今のこいつの『眠い』は100％噓だ…！

チカ @chica1219

②「あっそ。じゃあ寝れば」冷たく返して、私は読んでいた雑誌に視線を戻す。「んー、わかった」奴はそう返事をしたと思ったら、「…って、ちょっと！」「ん？」「なんで私のほうに来るわけ…！」床でゴロゴロしてたんだから、そこで寝るかと思ったのに…！そう思って声を上げれば、奴は満面の笑みで。

チカ @chica1219

③「何言ってんの。寝るって言ったら膝枕！」「………」なんだろう、この笑顔、無駄に腹立たしいんですけど。「…どっかで頭打った？」「ぜーんぜん」「打ったこと自体忘れてんのかな。あんたバカだし」「何それ、俺のこと褒めすぎ」「ごめん、どう解釈したらそうなるわけ」

チカ @chica1219

④言い合っているうちにも、奴は私のところまでやって来る。あっという間に距離を縮めて、ソファに座って、それから体を横に倒した。「…なんで逃げんの」奴の膝枕作戦から逃れるべく、彼氏と距離を空けて座り直した私。に、ものすごい批判の眼差しを向けてくる。

チカ @chica1219

⑤だけどここで折れるわけにはいかないんだよ私だって！「だって膝枕とか恥ずい！」「恥ずくない！」「それはあんたの考えでしょ！」だって膝枕って、要するに太腿に頭乗せるんじゃん。私の太腿が超肉だらけなのバレるじゃん！無理！無理ムリ！絶対無理！

チカ @chica1219

⑥だけど、私が拒否しまくる態度が、彼氏の意地に火をつけたらしい。「俺は眠い！」「勝手に寝とけ！」「膝枕！」「しないってば！…って、来んなあああ！！」不意打ちでダイブされたら私も身動きが取れず。悲しいことに膝枕状態な展開。何これまじで辛すぎる。ていうか私の太腿まじで太い。辛い。

チカ @chica1219

⑦女子としてかなり切ない事態に、心の中での涙の量やばい。半端ない。そんな私の心情なんか知らずに、膝枕を楽しむ彼氏。「やっぱ膝枕いいねえ」「おっさんか」「いい感じに柔らかくて気持ちいー」「………」そ、そんなに言うなら寝かせてやらんこともない。顔を背けたら、彼氏は吹き出した。【完？】