ついったで上げたおはなし

Uの人 @mikan_daisuki6

ゆらりゆらりと電車に揺られる。帰路に着くのも面倒だった状況は駅に着いた途端一変した。「おかえり。」「え、何でここに？」「傘持ってないと思ったから。」持ってたか？と少し慌てた表情をする渋沢に、身体のだるさも吹っ飛んで笑ってしまった。そういうことを聞いてるんじゃないんだけど、いいや。

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成長期の中学生は部活後の空腹が耐え難い。本日も寄道の相談が行われていた。「マサキも行くだろ？」「悪ィ、今日はパス。」「なんだよ、何かあるのかよ？」「今日はケーキ作ろうと思って。」その容姿からは読めない単語に、尋ねた翼は拍子抜けな顔をした。「誕生日、だからな」

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頬を刺す北風が吹き抜ける。夏が長かったせいか12月でも街路樹が色づいていた。シゲの金髪と並べると鮮やかさが目に付く。「寒うてかなわんわぁ…」マフラーに顔を埋めると、半歩先を歩いていた彼女が振り返った。スカートがひらり、揺れる。『手、繋いでくれる？』そのまま言ってくれれば楽なのに。

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翼が満面の笑みを向ける。同時に勢いを帯びた季節風が舞い上がった。ふわふわと茶色の髪が太陽の陽射しにきらきらと輝きながら大きく揺れる。春の女神の様に麗しい笑顔。心臓が壊れる程の衝動がわたしを襲った。あまりの美しさに目を奪われていると再び衝動に襲われる。心臓が壊れる程のキスで。

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すとん、ぴとん、ざぁ、透き通る音がする。窓の外で聴こえる冷たい雨の音も布団の中では心地良かった。返事はないと分かっているのに放せない携帯電話。見透かす様にメールの着信が光った。『寝なよ』たった三文字の言葉に頬が緩んでしまい、思わず電話を手放す。止まない雨音が翼の残り香の様だった。

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「むり。無理無理無理無理無理。ほんと無理」考えたくない。でも脳裏を過る。最早生理現象だ。「起きてもないことを考え込むのは悪い癖だよな」そして自分もそうだけれど、と渋沢が付け足す。「でもそれだけ真摯に仕事に向かってるという意味だから、俺は嫌いじゃない」渡された緑茶に手が熱を帯びた。

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あと3センチ。体重が乗掛かる爪先も、必死に伸ばした指先も小刻みに震えていたが、背後から手を肩に置かれた。振り返る前に男の人の腕と赤みのある癖毛が視界に入る。CDを機械に入れた。自分がやりたかった事だ。一連の出来事に呆然とすると、長い指を備えた掌が私の頭を軽く触った。ぽんぽん、と。

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今畜生。誰だよこんな所に置いたのは。心の中で悪態を吐きつつ必死に指を伸ばす。爪先も限界だ。半分意地になっていると背後から肩に手を置かれた。振り向く間も無く癖毛が視界に入り、彼はプレイヤーにCDを入れた。呆然としていると椎名さんが私の頭をポンと触れる。「これ？かければいいんだろ？」

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外は溜め息さえ凍り付いて、冬枯れの街路樹に風が鳴いている。赤煉瓦の停車場で待てども彼にはもう届かない。知っている。でもせめてもう一度だけと望んでしまう。ただ貴方に会いたくて、恋しくて。ただ、翼に逢いたい。それだけ。身を刺す様な北風が胸を締め付ける。冷え切った頬に落ちたのは熱い雫。

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遥か西の都スペイン・マドリード。日本から飛行機で約10時間の距離。遠い。会いたい。翼好みの女の子が近くにいたらどうしよう。そんな嫉妬や不安の渦。どうも一人きりの日が長いと心がほつれてしまうらしい。だから、大きな穴が空く前にあなたの声でそっと包んで、壊れない様に針と糸て縫い付けて。

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泣き、笑い、好き。この先の未来には何が待っていて、どんな色に染まっているのだろう。甘酸っぱい柑橘色か、不安と愛しさが混ざり合う。一人で夢を何度見てその度に朝が来ても、全てを繋いで居て欲しい。隣で泣きじゃくりながら言う私を見て笑う翼。やっぱり私は君とずっとオレンジ色に染まりたい。

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『鐘をつくだけで煩悩が祓える根拠は何だ』シゲから連絡が回ってきたが、きっと彼は来ない。そう思っていた。だから茫然とした。「除夜の鐘の仕組みを知りたくてな」何だ普通だな、ブツブツ言う姿を見て「お誕生日おめでとう」小さく呟けば、それを拾ったかの様にこちらを見た彼の口の端が上がった。

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朝、まず黒髪の彼を探す。授業中、ついつい目で姿を追う。休み時間は楽しそうな彼につられて頬が緩む。友達におかずを頼み込む、昼休み。放課後の部活は一番の真剣な瞳を見れる。けれど、全て私に向けたものではない。神様、どうすれば手に入りますか？彼を慕う心が溢れんばかりに、桜の木々が揺れた。

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「お前ってホント馬鹿だなぁ」小馬鹿にした物言いで私の髪をくしゃくしゃと撫で回す。何すんのよ、抵抗を示すが、チーズケーキをお姉様に食べられた事が原因で先程まで機嫌の悪かった竜也があまりにニコニコしているから、こっちまでするりと気が抜けた。「シュークリーム奢ってやるよ」「ラッキー！」

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【ほいっする！ 水野】まいちゃんから「ツンデレ水野くん」とのお題を頂きました～！有難うヽ(●^▽^●)ノ 私が普段からツンデレキャラを意識していないせいか普通の話になってしまって済みません(=_=；) @mai_26999

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余ったレアチーズケーキに頭を抱えていたら、練習に励んでいる彼の姿。雨脚が強くなっても彼が帰る気配はない。その光景をずっと眺めていると、血相を変えた竜也が駆けてきた。「いつまでいるんだ！早く帰れよ！」ああ、気付いてくれてたんだ。「バイト先のケーキ余ってるの。食べる？」「……食べる」

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喧嘩の原因は些細なことだった。「私のドーナッツ食べたでしょう！？」「そっちこそ俺のチーズケーキ食べただろ！」次元が低過ぎて謝る気にもならない。溜息を吐くと、玄関の戸が開く音がした。戻ってきた竜也が突き出したその手には、某有名洋菓子店の白い箱。「べ、別にお前の為じゃないからな…！」

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次のテストには彼女の留年が掛かっているらしい。問題集を数分見ただけで既に不安そうな表情を見せた。その内に顔が真っ青になり、カーディガンの袖で顔を覆い始める。「小林君、もう、無理。全然分からない…」か細い声に慌ててタオルを鞄から取り出す。「あとでプリン奢ってあげるから頑張ろ。ね？」

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彼女が耳元を通り越して壁にドンと手を置いた。勢いでヘッドフォンがずれる。「アンタ私に一回でも好きって言ったことある！？」「いや、ちょっと、急に言われても…」「私は！サッカーをやってる亮が好きなの！何か文句ある！？」いや…ありません…、そう答えた自分も彼女も真っ赤だろう。そんな冬。

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【ほいっする！ 三上】がっつり下書き削ったら文章がわけ分からんことになったよ！駅のホームで彼女さんに壁ドンされる三上くんが書きたかった。

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「何で泣いてるのー？」誠二の前で泣き喚くのは可愛い返事も出来ない私。それでも真剣な眼差しで私の顔を覗き込む。「言わなきゃ分からないよー。言いなさい」強めの語尾に頼りたい。けれど、出たのは再び可愛くない台詞。「うるさいバカ。何でもないって言ってるじゃん」「！？」素直に甘えるもんか。

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中学の卒業式、見知らぬ子に告白された。断わった。新緑溢れる頃、中等部の制服を着ていた彼女。年下だった。落葉舞い散る美しい時期、気兼ねなく話す様になった。吐息も凍る雪の日、コンビニの餡饅を半分渡した。小さく笑った。桜が零れ落ちる春、まだ慣れない制服で来た。笑顔が見たい、そう思った。

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【ほいっする！ 三上】『第二ボタンください！』男として告白されたのは嬉しいけど顔も知らない女の子だったので断わったら、高等部にも顔を出す様になって、その内に顔とか性格とかどんどん知って行くようになって、最終的に三上さんが彼女に惹かれれば良いなと思ったけど文字数 @c_hrono

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「頭良いし、格好いいし、イケメンだし、理不尽な言動も美しいし、サッカーが上手なのに悩むし」「……で、このノロケ話はいつまで続くん？」「いやだってナオキが翼の格好良いところを教えろって言うから」「ふーん、で？」ぎゃあ！！！背後の気配に全く気づかず、思わず反応がシンクロしてしまった。

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【ほいっする！椎名】まいちゃんが求めていたのはこういうものじゃないって、うん、知ってる_(:3」∠)_ 『お題:私的格好良い翼さん』@mai_26999