銀のリナリア感想まとめ@きくさん

両片思いアンソロジー「銀のリナリア」( http://indigo.opal.ne.jp/anthology2/ )にいただきました、きくさんの感想をまとめさせていただきました。 アンソロジーの試し読みはこちら→ http://p.booklog.jp/book/54485
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@Colore_Maestra

【花の下、水なき空に⑦】だから、たとえ「ひとならぬもの」であるにせよ彼女の存在は、彼にとってはまぎれもない幸福であり、確かなぬくもりでもあったのかもしれません。また彼女にとっても、彼を受容することで、その果てない孤独がやわらいだらいいなあと感じました。#銀リナ感想

2013-02-10 22:02:37
@Colore_Maestra

【花の下、水なき空に⑧】細部まで作りこまれた世界観と、静やかだけれど深いところで交差する人物たちの思惑に、あれこれと想像をめぐらせては、うつくしい糸桜の花姿に在りし日の彼らの笑顔を彷彿といたしました。思い出を身の内にいだいて生きる、かなしい=愛しい桜だと、思います。#銀リナ感想

2013-02-10 22:06:35

「ふたり、嘘を」篠崎琴子さん

@Colore_Maestra

【ふたり、嘘を①】冒頭、歌うように紡がれる招きの詞に、まるで自分がサリエの立場になったかと錯覚するほどルイリのもとへ、ひいては作中へと誘われていきます。一人称による心情的な、それでいて要点を的確に拾ってゆく文章ゆえか、サリエを通して作中風景を実際に見ているようでした。#銀リナ感想

2013-02-11 20:23:11
@Colore_Maestra

【ふたり、嘘を②】いつ、どこで、何をしていても、彼女の「視界」からルイリの気配が絶えないのもそのせいでしょうか。声、ぬくもり、触れた布の感触にまで彼を知るさまは、彼女を陸へ繋ぎ止めるのは呪術やしきたりというより、彼という存在そのものなのだと思わせます。#銀リナ感想

2013-02-11 20:23:33
@Colore_Maestra

【ふたり、嘘を③】ふたりが互いについた嘘(隠し事)は、利己的なようでいて最終的には別の理由を伴っていたように思います。自らというよりは相手を守るため、そこから生じるほころび、複雑な思惑。包み隠すというよりむしろ、それによって想いの強さをあらわしているようです。#銀リナ感想

2013-02-11 20:23:48
@Colore_Maestra

【ふたり、嘘を④】もしそこに独善的な打算があるとしたら、私はルイリの、屈折して映るほどひたむきなサリエへ対する慕情に、そんな気配を感じました。またはふたりのあいだに立ちはだかる、「水魔」と「呪術師」という決定的・断絶的な壁がそうさせたのでしょうか。#銀リナ感想

2013-02-11 20:24:04
@Colore_Maestra

【ふたり、嘘を⑤】それは立場的な相違のみならず、同じ時を同じように生きられない、寄添い歩むことはできないという、異種の裏づけです。かつてサリエがルイリを拒んだ以上の、決して彼女に届くことのない隔たりを、ルイリは自身の成長をもって知っていたのかもしれません。#銀リナ感想

2013-02-11 20:24:20
@Colore_Maestra

【ふたり、嘘を⑥】そのせいか彼の「嘘(隠し事)」からは、サリエにはない切実さと狂気めいた純粋性がうかがえます。もしくは、青年らしい見目には不似合いで不自然ないとけなさ。神殺しとも呼ぶべき罪をおかしたのも、そうした性質ゆえではないか、と推してみたりです。#銀リナ感想

2013-02-11 20:24:34
@Colore_Maestra

【ふたり、嘘を⑦】限られた世界で限られたものを守ろうとするサリエの「嘘(隠し事)」が自閉的であるのにたいし、対外的なものを切り捨てていくようなルイリのそれ。水魔の側にある彼女と、外界に身を置く彼。各々の立ち位置が示すままに対照的なふたりでした。#銀リナ感想

2013-02-11 20:24:48
@Colore_Maestra

【ふたり、嘘を⑧】鈍痛のにじむ穏やかさでありながら、彼が彼女を見つめる眼差し、差し出す腕、ふれる手指のぬくもりに、どうしようもないほどのやさしさを常に感じました。サリエの視点から見るルイリ、そのルイリの見つめるサリエがとてもいとしい。#銀リナ感想

2013-02-11 20:25:06

「タエナバ」立田さん

@Colore_Maestra

【タエナバ①】「玉の緒」=いのち に かかる本作のタイトル。作者さまが由来と挙げられた和歌を、学生時代「究極の恋のうた」と教わったのを思い出しました。「命がけ」ではなく「たえるならたえてしまえ」と投げ遣り感さえ漂う解釈は、破滅的な恋を自嘲してさえ見えます。#銀リナ感想

2013-02-11 22:04:27
@Colore_Maestra

【タエナバ②】実際「糧」である主人がいなければ従者の彼は生きることができないし、最強とうたわれる彼の存在あってようやく、彼女はどうにか「女王」としての体裁を保ってもきました。けれど彼らの依存性は、そうした現実問題以上のものを孕んでいるようにも解釈できます。#銀リナ感想

2013-02-11 22:04:45
@Colore_Maestra

【タエナバ③】食 というのは、生物としてとても本能的な行為です。生殖・愛憎・殺戮、いずれ本能と直結する衝動でありながら、生存の危機を脅かすという点において食に勝るものはない。それを媒介として繋がる主人と臣の関係が、何とも興味深くもあります。#銀リナ感想

2013-02-11 22:05:02
@Colore_Maestra

【タエナバ④】互いを唯一とし、そのように生きて果てる彼らについて言及するのは、それこそ愚かで無粋なことと憚られるのですが。あえて踏み込むとすれば、食という、生存本能に直結する繋がりであった彼らにとってはそれこそが、生の証そのものだったのではないかと思います。#銀リナ感想

2013-02-11 22:05:18
@Colore_Maestra

【タエナバ⑤】証というよりは、実感でしょうか。自らの生に対する実感。そこから派生する悲喜さまざまな感情。それも単に他者を通じて得る充足や感慨というよりは、「糧」と「捕食者」という特異な、生命共同体であるがゆえにつきまとうシンプルで直接的な感覚です。#銀リナ感想

2013-02-11 22:05:37
@Colore_Maestra

【タエナバ⑥】時間を遡っていくような構成のせいか、そうした彼らのありかたゆえか、作中からはたえず閉塞的で閉鎖的な、息詰まるほどのむなしさでした。答=結末は明確で、修復も後戻りもできないのに、作者さまの圧倒的な筆致は残酷なまでに容赦なく読み手を作中へと追い立てていく。#銀リナ感想

2013-02-11 22:05:57
@Colore_Maestra

【タエナバ⑦】そうして行き着いた最後、ひかりの糸を手繰るような彼の追想がひどくあざやかで、あまりにも救いようのない、だからこそ凄絶として映えるそのうつくしさに、泣きたいような気持ちになりました。はじめから、彼らは他者の理解など必要としていなかった。#銀リナ感想

2013-02-11 22:06:16
@Colore_Maestra

【タエナバ⑧】私が悲しいと感じたのは、もしかしたら、読み手という立場でありながら作中の彼らに拒まれているような疎外感を、直感的に感知していたからかもしれません。SFという特殊な世界観でひとつのアイデンティティーを描ききった作者さまに喝采! #銀リナ感想

2013-02-11 22:06:33

「密の紡ぎ」藍間真珠さん

@Colore_Maestra

【密の紡ぎ①】アーデルとイーデルの重なる日。皮肉なもので、というべきなのでしょうか。あれほど厭世的で自棄的になっていたユヅイヤが、それでも生きようと、生きなければならないと、文字通り懸命になったその場所が、まさか異界だったとは。#銀リナ感想

2013-02-16 19:12:43
@Colore_Maestra

【密の紡ぎ②】逆にいうなら、かつての彼であったなら、ここまで必死に「帰ろう」としたでしょうか。むしろ、帰る という意識すらいだかなかったかもしれない。仮定は予測でしかないけれど、だからやっぱり、彼を心身ともに「回復」させたのは彼女だったのだろうな、と思いました。#銀リナ感想

2013-02-16 19:13:08
@Colore_Maestra

【密の紡ぎ③】同時に、そんな彼女へ、彼は限りなく甘えていたのではないだろうか、とも考えてみたりです。全てを失った彼に全てを与え、未来へ導こうとした彼女。彼が彼女を疎ましく感じたのは、彼女に対してというより、彼女に甘えるしかない自分への苛立ちだったのかもしれません。#銀リナ感想

2013-02-16 19:15:37
@Colore_Maestra

【密の紡ぎ④】或いは、彼は単に彼女を理解しなかった、顧みなかったのではなく、そうするだけの余裕がなかっただけのようにも見えます。当時の彼はもしかしたら、癒しや慰めより厳しい叱責や苦労をこそ必要としていたのではないでしょうか。こころの痛みを忘れるために。#銀リナ感想

2013-02-16 19:15:51