銀のリナリア感想まとめ@きくさん

両片思いアンソロジー「銀のリナリア」( http://indigo.opal.ne.jp/anthology2/ )にいただきました、きくさんの感想をまとめさせていただきました。 アンソロジーの試し読みはこちら→ http://p.booklog.jp/book/54485
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きくさん( @Colore_Maestra )にいただきました、両片思いアンソロジー「銀のリナリア」( http://indigo.opal.ne.jp/anthology2/ )の感想をまとめさせていただいています。

@Colore_Maestra

というわけで、今日から早速いってみます、#銀リナ感想 。 多少のネタバレご注意+TLテロを起こすこと請け合いですすみませんと今から土下座させていただきますm(_ _)m

2013-02-09 21:30:11

「捕魂の使途」立神勇樹さん

@Colore_Maestra

【捕魂の使途①】某方より「両片思いの王道」と伺っていたのですが、まさしく! 想いあっているのに通じ合えない、希夜姫と常夜の関係が切ない。というより、個人的には、過去に生きようとする彼と、未来を見つめる彼女の有様の違いが、ふたりを隔てさせるのかとも思いました。#銀リナ感想

2013-02-09 21:30:32
@Colore_Maestra

【捕魂の使途②】人物名や名称が印象的なお話でもありました。彼女の「よるをこいねがう」とは、「つねなる夜」の彼にかかっているのかしら、とか。夜を統べるもの。空蝉の妃。そこから連想する「抜殻」「いのち」。作中の文章以上の意味を、それらが含んでいるような気がいたします。#銀リナ感想

2013-02-09 21:30:50
@Colore_Maestra

【捕魂の使途③】古代日本風の世界観ともあいまって、そうした暗喩たちが(私のような妄想家にはとくに)ひときわ映えて見えました。「常闇の地である根堅州の国」が舞台であるのにもかかわらず、作中から感じたのは暗鬱とした闇⇔病み ではなく、五感に富んだぬくもりでした。#銀リナ感想

2013-02-09 21:31:08
@Colore_Maestra

【捕魂の使途④】これは一読者の妄言に過ぎないのですけど、これから先、たとえば彼が祈月姫に穏やかなやすらぎや癒しを感じ、平安の日々を送るようになったとしても、それは愛であって恋⇔乞い ではないんだろうな、と思ったりです。#銀リナ感想

2013-02-09 21:31:23
@Colore_Maestra

【捕魂の使途⑤】というより、単なる恋情ではくくりきれない、父母や家族といった絶対的な庇護者の切望、希求、不遇な生い立ちを強いられた彼のなかにいる小さな子供、塞がらない傷、そうした本能的な懇願がなくならない限り、彼にとって彼女は永遠に幸福の象徴であるのかもしれません。#銀リナ感想

2013-02-09 21:31:37
@Colore_Maestra

【捕魂の使途⑦】余談ですが、個人的に、希夜子姫の抑揚ある物言いがとても好きでした。自由でおおらかで奔放で、やわらかくて、あたたかい。全てを包みこみ受容するかのような祈月姫が母性的であるなら、彼女は出自の通り、古代の巫に通じる原初的な躍動を秘めているように感じました。#銀リナ感想

2013-02-09 21:31:59
@Colore_Maestra

【捕魂の使途⑧】人物それぞれの明るい未来を願う一方で、どういう形であれ、彼らがこの先もずっと繋がっていたらいいのに、と思ってしまう私がいます。叫ぶように想いをぶつけあう彼らに、初頁から出会えた幸福に浸らせていただきました。 #銀リナ感想

2013-02-09 21:33:28

「アオの後遺症」だもさん

@Colore_Maestra

【アオの後遺症①】「きみを運ぶ風となりますように」世界的に有名なデザイナー、ムラナ・ヨーコの布をキャンパスに息吹いたとりどりの「アオ」。この「アオ」とはblueなのかgreenなのか。一色に確定できない独特の彩色が、そのまま本作の世界観を形成している気が致します。#銀リナ感想

2013-02-10 20:38:01
@Colore_Maestra

【アオの後遺症②】作中の殆どがクロエのアトリエである狭いワンルーム、それもあまり快適とはいえそうにない環境、であるのにもかかわらず、閉塞感や気詰まりをおぼえなかったのは、あるいはそうした気質の少年のせいでしょうか。彼がまとう空気は静穏としているのに、とても自由です。#銀リナ感想

2013-02-10 20:38:18
@Colore_Maestra

【アオの後遺症③】だから、クロエがはじめて彼の作品と出会った際、「後遺症」となるほどの畏れをいだいのは、彼のなかに息づく風、描かれ、具象となったそれに、文字通りこころを攫われたのではないか、とも思いました。落ちたのでも奪われたのでもなく、さらわれてしまった。#銀リナ感想

2013-02-10 20:38:33
@Colore_Maestra

【アオの後遺症⑤】見方を変えるならば、クロエがパトロン的存在としてシクラを庇護し、思い入れた理由というのは、長年 希求していたであろう「自分の色」絵描きであるクロエにとってそれはアイデンティティーにも等しいそれを、シクラが持っていたからではないか、とも感じたりです。#銀リナ感想

2013-02-10 20:38:52
@Colore_Maestra

【アオの後遺症⑥】だからふたりから感じるのは、恋人でも師弟でもなく、同じ目線を共有する双子のような近しさでした。あるいはシクラがその才能をもって、クロエを自らの世界観に取り込んでしまったのか。それにしたところでこのシンクロの高さは、奇跡さながらに思いました。#銀リナ感想

2013-02-10 20:39:03
@Colore_Maestra

【アオの後遺症⑦】近未来的な舞台背景の秀逸さ、その設定を読み手にすんなりと吸い込ませ、招き入れてしまう書き手さまの文章力に、終始 魅了されました。繊細でつかみどころのない天才肌の彼と、さっぱりとしていながら洞察力・観察眼に長けた彼女が、とても心地よかった。#銀リナ感想

2013-02-10 20:39:23
@Colore_Maestra

【アオの後遺症⑧】一つの作品で始まり、しめくくられる本作の最後、私にはそれがある種の約束の形にも見えました。そうして彼女はまた、彼を、彼の描く「アオ」を追いかけていくのでしょうか。それとも運ばれていくのでしょうか。辿り着いたその先に彼の姿があったらいいなあと思いつつ。#銀リナ感想

2013-02-10 20:45:00

「花の下、水なき空に」深海いわしさん

@Colore_Maestra

【花の下、水なき空に①】「あんたは本質的に孤独な人だ」作中の三怜副長の言です。誰よりも翡翠さんに近しい立場でありながら、やはり彼も翡翠さんの孤独に寄添うことはできなかったのでしょうか。実際、彼の翡翠さんに対するそれは、憧憬や尊敬というより崇拝めいて映りました。#銀リナ感想

2013-02-10 22:01:02
@Colore_Maestra

【花の下、水なき空に②】圧倒的な才覚と能力をもちながら、けれど翡翠さんが野心のままに頂点へのぼりつめることができなかったのは、その聡明さがなせる自らの孤独を痛感していたからもしれません。人間味=感情的というよりは、彼の人としての弱さはひどく理性的に感じました。#銀リナ感想

2013-02-10 22:01:15
@Colore_Maestra

【花の下、水なき空に③】国や同志を強く深く愛していながら、けれど彼自身の救いはその中に見出されることがなかった、というのが、とてもかなしいです。かなしくて、寂しい。人の身でありながら、彼はどちらかといえば幾年もの時を生きる桜の君と同じにおいがします。#銀リナ感想

2013-02-10 22:01:31
@Colore_Maestra

【花の下、水なき空に④】「ひとならぬものが、ひとを愛するなど」愚かと桜の君は言うけれど、結局のところ彼の孤独を正しく理解できたのは、「ひとならぬもの」である彼女だったのではないかと思いました。それは愛とも、同情とも、共感ともいえる、まるで同志のような。#銀リナ感想

2013-02-10 22:01:47
@Colore_Maestra

【花の下、水なき空に⑤】本体をあらわすがごとく、終始 笑み⇔咲み をベースに形作られる桜の君の表情が印象的でした。彼女から笑みのたえないうちは、糸桜が枯れることもないような気がいたします。彼が彼女に焦がれたのは、或いはその不変だったのでしょうか。#銀リナ感想

2013-02-10 22:02:04
@Colore_Maestra

【花の下、水なき空に⑥】「この期に及んで、受け入れられたかったなんて」翡翠さんの今際の言葉は、自らの異質を厭うた叫びのように聞えます。一方で彼の孤独は、周囲が彼を認めなかったからというより、彼が周囲に馴染みきれなかったところに起因するのではないでしょうか。#銀リナ感想

2013-02-10 22:02:21