メリカ妄想

メモ
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@m__mb

【妄想①】パチンと泡がはじけたような気がした。目があいた。いや、正確にはもとから開いていたのかもしれない。しかし目の前に広がっていた景色は突然に現れたようだった。あれ?とキョロキョロあたりを見回す。自分の身体と同じぐらいの黄金色の草がえんえんと続く草原。広大な土地に自分はいた。

2013-02-20 02:42:33
@m__mb

【妄想②】なんでこんな所にいるのだろうとは思わなかった。なんら違和感を覚えなかったのだ。ただ、突然始まった景色に過去を思い出そうとしても感覚以外に思い出せる事がなかった。どうやって自分がここに来たのか、今までどうやって生きてきたのか。ただただ、目の前の草原が自分に馴染むばかりで。

2013-02-20 02:47:44
@m__mb

【妄想③】とにかく自分は、突然景色が始まって以来、ずっと草原にいる。どういうわけやら同じような姿をした人がいて、その人たちは草原にいる自分にご飯を持ってきてくれた。ずいぶんと大きな者も入れば、自分と同じ位の大きさの者もいる。

2013-02-20 02:52:50
@m__mb

【妄想④】「ご飯、なんで」というと「あなたは土地の神様のようなものだから」と教えられた。どうやら自分はずっとここにいたらしい。分からないけど知っているような気がした。この人達の言う言葉も、身体に混じっている。だけれどその懐かしい人々は、逃げなければと去って行った。何から?

2013-02-20 02:54:43
@m__mb

【妄想⑤】草原、草原、草原。空ばかり。うろうろと歩いて、懐かしい人たちが教えてくれた物を食べる。あの人たちはご飯を食べていた。自分も食べなければ。草原と空とご飯。だいぶん、そうしていたのだと思う。

2013-02-20 02:57:41
@m__mb

【妄想⑥】それに飽きた頃、そうだ、ここから動こうと思いたった。あるこう。別の場所にいってみよう。怖いことがあったらまたここに戻ってくればいいのだ。懐かしい人々に会いたいと思ってしまった。そうだ、人を探すのだ。そうやって動きまわった昼と夜、ようやく人を見つけた。

2013-02-20 03:02:10
@m__mb

【妄想⑦】だけども、その人々は自分の記憶とは少し違った。懐かしい人々ではなかった。誰だろうと首をかしげる。どうやっても違和感が残り、話しかけようという気にはならなかった。だけども自分は、まだ人がいる場所をここしかしらない。人を探していたのだ。ようやく見つけたのだ。

2013-02-20 03:05:33
@m__mb

【妄想⑧】なにもないときは草原に戻り、人を見たくなった時はその場所まで動くことにした。そんな人を見るだけの毎日の中、突然、変な人が現れた。自分とは違うのに、同じのような気もする。懐かしい人たち程ではないが、親しい気もする。

2013-02-20 03:08:54
@m__mb

【妄想⑨】好奇心に歩み出した足は、びっくりしたようなその人の目に止まってしまったけれど。変な人は自分に気付くと驚いたように目を丸くし、「君・・・」とつぶやいた。なんだかその視線にびっくりして、前に踏みだしていた足は草原に引き返そうと後ずさってしまった。帰ろう、また来よう。

2013-02-20 03:11:45
@m__mb

【妄想⑩】何回かその変な人を見にいった。最初以外はもう寄ろうとしなかったけれど、その人はやっぱり自分に似ていた。きっと「変」じゃなくて「同じ」なんだ。良くわからないけど。でもそんな毎日を送っていたある日「同じ」がもう2人現れた。

2013-02-20 03:16:37
@m__mb

【妄想⑪】同じだった。同じだとおもった。「やっぱりそうだ、俺たちと同じ感じがする!ちっちぇ~!」どうやら「同じ」の一人も同じことを思ったようだった。分かるのかな?自分もそう思うよ。ちっちゃいのは、自分が思ったことじゃないけど。きっと君達が大きすぎるんだ。

2013-02-20 03:22:31
@m__mb

【妄想⑫】それからその人たちは、自分を取り囲んで「どこが似てる」「誰に似てる」と楽しそうに喋り出した。おかしいな、だって似ているも何も、同じなんだもの。自分とあなたたちは同じ、そうなんでしょう?下から見上げるその人たちに、自分の声が届いたかどうかは分からないのだけど。

2013-02-20 03:26:18
@m__mb

【妄想⑬】ずっと草原で一人だったから、「同じ」がたくさん自分と一緒にいてくれるのはとても楽しかった。すぐに皆帰っていくけれど、また来てくれた。あの人たちまた来ないかなって野兎に話しかけるのが日課になった。きっとまた来てくれる。

2013-02-20 03:29:43
@m__mb

【妄想⑭】待って待って、待つようになって、草むらの奥から声が聞こえた。グリーンの目をした人だ。「来てくれたんだね、うれしいよ」言葉が綺麗に喉から出てくる。懐かしい人たちと喋ってた時とは違う言葉だけど、すらすらと出てくるのはきっとこの人と話すためなのかも知れなかった。

2013-02-20 03:33:35
@m__mb

【妄想⑮】「逃げないのか?」意外そうに聞いてくるその人は面白いぐらいに戸惑っていたけれど、僕は、僕はもう分かったんだよ。その人に伝えるための言葉は「うん、大丈夫だぞ。最近だいぶ自分の事がわかったから」なんだか自分の喉に気持ち良く馴染んで。

2013-02-20 03:37:24
@m__mb

【妄想⑯】「今日からお前は俺の弟だ」その人が慌てて言い放ったその言葉がこんなに胸に響いたから、きっとそうなるんだって思った。「うん、じゃあおにいちゃんって呼ぶね」僕のお兄ちゃんの名前はイ ギリス、僕の名前は、ふふ、わかったよ。君の弟のアメリ カだ。 【妄想終了】

2013-02-20 03:46:24