落合洋司弁護士の過失犯の共同正犯についての解説

●明石歩道橋事故、元副署長に「免訴」判決 刑事責任問えず 2013/2/20 10:05 (2013/2/20 12:55更新) http://www.nikkei.com/article/DGXNASHC1901P_Q3A220C1000000/  2001年7月、兵庫県明石市の花火大会で11人が死亡するなどした歩道橋事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された元県警明石署副署長、榊和晄被告(66)の判決が20日、神戸地裁であった。奥田哲也裁判長は公訴時効が成立しているとして、有罪か無罪かを判断せずに裁判を打ち切る「免訴」の判決を言い渡した。  元副署長は検察が4度不起訴としたが、改正検察審査会法に基づき全国で初めて強制起訴された。検察官役の指定弁護士は禁錮3年6月を求刑していた。 続きを読む
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  • 過失犯の共同正犯について ――「共同性」の規定を中心に―― 金 子 博 立命館大学大学院法学研究科博士課程後期課程 2009 年 4 号(326号)
    http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/09-4/kaneko.pdf
  • 「明石歩道橋事故」と過失犯の共同正犯について
    松 宮 孝 明 立命館大学大学院法務研究科教授 立命館法学 2011 年 4 号(338号)
    http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/11-4/matsumiya.pdf
  • 「過失犯の共同正犯」の理論的基礎について
    ――大塚裕史教授の見解に寄せて―― 松 宮 孝 明 立命館大学大学院法務研究科教授 立命館法学 2011 年 5・6 号(339・340号)
    http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/11-56/matsumiya.pdf
    1 は じ め に
    本稿では,いわゆる「明石歩道橋事故」事件を素材として,先に検討した「過失犯の共同正犯」につき,その理論的基礎を検討する。とりわけ,「過失不作為による共同正犯」の成否を取り上げる。というのも,共同正犯の成否に関しては,結果に対して故意がないばかりでなく,結果を惹起する作為がない点で二重の消極性を持つ過失不作為の問題が,最も難しいものだからである。とりわけ,この問題については,「過失犯の共同正犯」を肯定する見解にあっても,その根拠を,未だに,行為者相互の心理的共同性に求めるものが多数であるだけに,問題は深刻である。
    本稿では,この問題を検討するに当たり,最近,過失犯の共同正犯に関して,これまでの否定説から肯定説に転じた大塚裕史教授の優れた著作を,主な検討の素材とする。というのも,教授の見解を検討することで,共同正犯の根拠を行為者相互の心理的共同性に求める見解の問題点が,明瞭になると考えるからである。
  • 過失犯の共同正犯 - Wikipedia
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E5%90%8C%E6%AD%A3%E7%8A%AF#.E9.81.8E.E5.A4.B1.E7.8A.AF.E3.81.AE.E5.85.B1.E5.90.8C.E6.AD.A3.E7.8A.AF
    過失犯の共同正犯が問題となる事例では、各人に過失犯の単独正犯が成立している場合が多いが、各人の行為と結果の間の因果関係が立証できない場合もあり、過失共同正犯が成立しないかが問題とされる。
    過失共同正犯の成否については、「共同実行の事実」の成否と「共同実行の意思」の成否が問題となる。
    「共同実行の事実」の成否には、過失犯に関する新旧過失論の立場が影響する。
    旧過失論の立場では、過失は責任段階での問題にすぎないから、構成要件段階での過失行為の共同は認めがたい。しかし、新過失論によれば、構成要件段階での過失の実行行為を観念できるから過失行為の共同も可能といえる。有力学説によれば、行為者に共同注意義務があるときは過失行為の共同が認められるとされる。
    「共同実行の意思」が過失犯で認められるかについて、
    従来、過失犯の共同正犯の成立は共同正犯の成立要件として意思の連絡を必要とするかの議論に帰結すると考えられてきた。犯罪共同説の立場からは、過失犯は無意識を本質とするから共同実行の意思が認められず、過失犯の共同正犯は成立しないとされた。一方伝統的な行為共同説の立場からは共同正犯の成立には意思の連絡は不必要であるから、過失犯の共同正犯の成立に問題はないとしてきた。
    他方、過失は一次的には無意識的はものであるが、二次的には一定の主観的心情・心理状態とあいまって発現するものであり、過失犯において心情・心理状態も重要な要素であり、これについては相手の行為を利用しあう意思ないし意識を認め得る として犯罪共同説・行為共同説にかかわらず共同実行の意思を認める説もある。
    結果的加重犯の共同正犯 [編集]
    例えば、甲と乙が傷害の意思で共同してAに傷害を与え死に至らせた場合に、両者に傷害致死罪の共同正犯が成立するかという問題である。
    結果的加重犯について、加重結果を帰責するには加重結果の過失が必要とする立場からは、上記の過失犯の共同正犯の議論が妥当する。一方で判例などのとるいわゆる故意犯説からは、基本犯についての共同実行の意思と事実があれば加重結果についても共同正犯が認められる。