@kurotoracchi先生の文語教室

8月31日の夜の、@kurotoracchiさんを中心とした文語文法をめぐるやりとりをまとめてみました。 こうやって時系列で追って見ると、大変分かりやすいです。 僕なりにデコレーションしてみましたが、いかがでしょうか。
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くろとら @kurotoracchi

TLに文語の話題が…あ、あの、私、高校生に古典を教えるお仕事を生業としていますもので、もし文語文法ですとか古文漢文に関することでお役に立てることがありましたら…どうぞいつでもお気軽におたずね下さいね。わかる範囲でお答え致しますので…

2010-08-31 20:23:59
くろとら @kurotoracchi

こんなレベルのことで悩んでるんじゃない方もいっぱいいらっしゃりそうで冷汗三斗なんですが、少し文語文法についてつぶやいてみます。

2010-08-31 20:27:07
くろとら @kurotoracchi

まず、行の確認ですが、ア行はあいうえおヤ行はやいゆえよワ行はわゐうゑを、です。なので、たとえば「悔いる」の古語は「悔ゆ」なので、「悔いて」となるけど「悔ゐて」は間違い、とか…

2010-08-31 20:30:30
くろとら @kurotoracchi

助動詞に関して言えば、過去の助動詞には「き」「けり」がありますが、「き」が直接経験過去「けり」は間接伝聞過去を表します。あと、和歌中での「けり」は詠嘆で使われることも多く、そのときは過去の意味でないこともありますね。

2010-08-31 20:34:12
大石直孝 @kero_zo

@kurotoracchi 先生、「たり」「り」の使い分けが難しいです! 教えてください。

2010-08-31 20:42:49
くろとら @kurotoracchi

.@kero_zo お待たせしました、「たり」「り」の使い分けですね。まず一番大きな特徴は、接続の違いです。「たり」は連用形接続「り」は動詞の四段活用の已然形とサ行変格活用の未然形にしか接続しません。つまり(続

2010-08-31 21:11:16
くろとら @kurotoracchi

「する」の古語「す」の場合、活用変化が「・す・する・すれ・せよ」なので、「したり」「せり」意味的にはほぼ同意です。ただ、厳密には「たり」と「り」は語の成立背景が違うので、意味にも微妙な差があります。

2010-08-31 21:16:13
くろとら @kurotoracchi

あ、ちなみに、動詞の四段活用の見分け方打消の助動詞「ず」に接続するときに「ア段音」になる動詞です。たとえば、「思ふ」「ず」をつけると「思ず」となり、四段活用です。サ変動詞は「す」と「す」の尊敬語の「おはす」の2語しかないです。文語詩で「おはす」を使うことはまずないのでは

2010-08-31 21:40:57
くろとら @kurotoracchi

ところで完了の助動詞というのは「つ・ぬたり・り」四語があるのですが、使い分けは明確です。「つ・ぬ」はある作用が完了したことだけを示すのに対し、「たり・り」はその作用が完了後継続していることを示します。つまり、(続

2010-08-31 21:48:30
くろとら @kurotoracchi

「雪積もり」は「雪が積もった」事実だけを示し、「雪積もりたり」なら「雪が積もり、今も積もり続けている」という状態を示します。

2010-08-31 21:49:03
くろとら @kurotoracchi

だから文語歌で使うときも、「つ・ぬ」を使うとばしっと切り落としたり止める、という印象になり、「たり・り」には継続性があり余韻が残る。ということになると思います。

2010-08-31 21:50:29
くろとら @kurotoracchi

あ、なんか思い出す順に書いたりしてすみませんなのですが、完了の「たり」「り」語源がラ変動詞「あり」から発生しており、「たり」は厳密には「つ」+「あり」完了してその状態が持続している、ということを示し、「り」「サ変動詞の連用形・し」+「あり」「する」が持続している、です。

2010-08-31 21:55:16
石畑由紀子🦌歌集『エゾシカ/ジビエ』 @atelier_yi

@kurotoracchi ちなみにさっきいちごつみの際、結句をまさに「描きたり(連用形+たり)」と「描け(已然形+)」で迷って、厳密な差異がわからぬまま後者にしたのでした。たり=完了状態で持続り=「する」が持続、とのことなので、結果的に「描け」でよかったです。感謝です!

2010-08-31 22:10:40
くろとら @kurotoracchi

.@atelier_yi あ、そうですね、「描きあり」→「描け」、「描きてあり」→「描きたり」、の違いになりますね。どちらも存続を表すことにかわりはないのですが、前者のほうが、より行動・動作に主眼が置かれ、アクティブな印象になるようですね^^

2010-08-31 22:26:26
くろとら @kurotoracchi

あ、kero_zoさんのおっしゃってた「たり」「り」の使い分けって、きっとさっきのようなことに関してなのでは、と今さら思い至る(汗)>「描きあり」→「描け」、「描きてあり」→「描きたり」、の違い

2010-08-31 22:29:48
くろとら @kurotoracchi

ふむ、自分でもそこまで厳密に意識してなかったですが、考えてみたら徒然草などでも「雪のおもしろう降りたり朝」と「たり」の後には直接過去の助動詞「き」の連体形が置かれていて、一旦時間的なブランクがあり、「雪降れ」だと、今まさにもっさもっさ降ってる!的な感じが強い。おお。

2010-08-31 22:36:40
くろとら @kurotoracchi

わぁ。atelier_yiさんに指摘されて意識できましたー 勉強になるなう。 でも間違ってたらごめんなさい。。。 文法的には間違ってないので、あとは解釈なんですが、たぶん大丈夫だと思うです(汗

2010-08-31 22:39:27
くろとら @kurotoracchi

ではでは文語文法ツイートいったんココマデということで・・・ TLが受験勉強コーナーみたいになってそこはかとなく悲しい気持ちになった方、すみません(笑)

2010-08-31 22:45:07
くろとら @kurotoracchi

あっと、ひとつだけ追加。私の書き方がまずかったのですが、「たり」「り」ともに「完了(~た・てしまった)」「存続(~ている)」二つの意味があり、文脈によって解釈が違います。先ほど「雪降りたり」と「雪降れ」の話を持ち出しましたが、この場合は「存続」で「降っている」と訳します。

2010-08-31 23:02:19
くろとら @kurotoracchi

で、先の「描きたり」と「描け」の場合にはどちらも「完了」ですが、正確には「完了のときでも存続のニュアンスを持つ」という解釈になります、ということだったのです。「つ(意志を持って完了)」「ぬ(自然に完了)」「たり(完了させて存続)」「り(その瞬間の状態で存続)」ということですね。

2010-08-31 23:06:08
大石直孝 @kero_zo

@kurotoracchi ありがとうございます!まさしくそこの「感じ」をお尋ねしたかったのです>描け、描きたり。でもなかなか身にならないのです(涙)。ほんでもって、「り」の接続については「さみしいり」と覚えました。サ変の未然形四段の已然形ということで。

2010-09-01 00:51:52
くろとら @kurotoracchi

@kero_zo あ、よかったです^^ 「さみしいり」いい覚え方ですね^^私は生徒に「良いサミー」と教えてました(笑)

2010-09-01 00:54:53
大石直孝 @kero_zo

@kurotoracchi ああ、やはり覚え方は開発されているんですね>「り」w これから頼りに(勝手に)させていただきますので、よろしくよろしくお願いします!←太字で

2010-09-01 01:01:24
大石直孝 @kero_zo

@kurotoracchi 実際のところ、歌会などで、「ここは、たりだろ~」とか「だろ~」とか言いながら、なぜそうなのかを伝えるのが難しくって。まだ身についていないので、ぜひ、ぜひ、重ねてご教授をお願いしますっ←特太

2010-09-01 01:05:17