【竹の子書房】玉手箱 →黒蜥蜴← 怪集【タイトル&目次連携企画】

「タイトルと目次が同じなのに、内容はまったく違う本があったらおもしろいよね」 という思いつき。 【黒蜥蜴(くろとかげ)】というタイトル、目次は全て同じ、このお題で、方やBL、方やガチ怪談という2冊セット本を企画。 続きを読む
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須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 玉手箱(恐怖箱との連携企画)「黒蜥蜴 19 僕の小さな霊魂が(6)」です #tknk

2010-11-25 16:42:24
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p そして亮輔は、異国で秋月が出会ったコーヒー色の肌の少年兵士を思った。熱風が煌めく砂に紋を刻む景観も。あの少年兵士はその鮮やかな光景のただ中で秋月とともに三年を過ごしたのだ。少し前の亮輔と同じように、繰り返す朝と昼と夜にうんざりしながら。ただ自らの疵だけを見つめて……。

2010-11-25 16:42:46
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 玉手箱(恐怖箱との連携企画)「黒蜥蜴 19 僕の小さな霊魂が(7)」です #tknk

2010-11-25 16:43:09
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 「ほかも見る? もう、あんまり時間ないけど」そう声をかけたら、秋月ははっと我に返ったような表情になった。秋月もまた、過去の疵を振り返っていたのかもしれない。「店、行くのか?」「このままサボってるとクビ切られるよ」「それなら、あのピアス小僧はとっくにいなくなってるだろ」

2010-11-25 16:43:37
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 玉手箱(恐怖箱との連携企画)「黒蜥蜴 19 僕の小さな霊魂が(8)」です #tknk

2010-11-25 16:44:10
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 「店長は義也が何やっても放り出せないんじゃないかな。義也のサボりは確信犯だよ。あいつ、甘やかされてるって実感したがってる」「あの小僧の話になると急に兄貴面だな」それがさもおかしいという口調だった。「義也もきっとそう思ってるよ。亮輔は俺が面倒みてやらなきゃとかなんとか」

2010-11-25 16:44:34
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 玉手箱(恐怖箱との連携企画)「黒蜥蜴 19 僕の小さな霊魂が(9)」です #tknk

2010-11-25 16:44:55
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p “兄貴面”なんて言われたのが気恥ずかしい。亮輔はこれまでそんな男臭い評価をされたことはなかった。「おまえとあの小僧が二年も一緒に暮らしてるなんて未だに信じられないな。異種格闘技戦って感じだ」秋月はそう言って、また笑った。つられて亮輔も笑う。「意味分かんないよ、それ」

2010-11-25 16:45:24
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 玉手箱(恐怖箱との連携企画)「黒蜥蜴 19 僕の小さな霊魂が(10)」です #tknk

2010-11-25 16:45:47
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 「仕事が終わるころ、迎えに行く」秋月のその言葉に、ふと顔を上げた。じっと見つめている秋月の視線に気づく。「今夜はもっとゆっくりおまえを抱きたいから」このまなざしに見守られていたから、冥い幻影の森に飲み込まれることなくここにとどまっていられたのだ。亮輔はそう覚っていた。

2010-11-25 16:46:10
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 以上です。残りあと1本。がんばるぞー(^^)/オー。といういわけでトゥギャってきます。[自動販売機]^^)/では

2010-11-25 16:47:02
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p いよいよ最終話! 玉手箱(恐怖箱との連携企画)「黒蜥蜴 20 黒蜥蜴」10本投下いたします #tknk

2010-11-26 15:31:07
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 玉手箱(恐怖箱との連携企画)「黒蜥蜴 20 黒蜥蜴(1)」です #tknk

2010-11-26 15:31:23
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 「あれ……亮ちゃん。もういいの?」ネクタイを締めながらホールに出てきた義也が、亮輔を見つけて言った。亮輔は開店間際に慌てて店に駆け込んだが、義也は三十分以上遅刻して悠々のご到着だ。(亮輔は、もう帰ってこない)そう思っていたのは脇田だけでないと、義也の表情が語っている。

2010-11-26 15:31:40
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 玉手箱(恐怖箱との連携企画)「黒蜥蜴 20 黒蜥蜴(2)」です #tknk

2010-11-26 15:32:04
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 「うん。いろいろ迷惑かけて、ごめん」「まあ、いいって。気にすんなよ」義也と亮輔が交わす会話に耳をそばだてて、脇田がカウンターの隅でふと顔を上げる。やれやれと溜息がもれた。「おまえは少し時計を気にしろ、義也。グラス、磨いておけよ」だが脇田は小言めかしてそう言っただけだ。

2010-11-26 15:32:22
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 玉手箱(恐怖箱との連携企画)「黒蜥蜴 20 黒蜥蜴(3)」です #tknk

2010-11-26 15:32:39
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 亮輔が店に来たとき、開店の準備はすでにすっかり整えられていた。定規で測ったように等間隔に並べられたグラスにも、汚れなど見つけ出すことはできない。義也は少し肩をすくめたが、何も言わなかった。おとなしくグラスを拭き始める。フロアには、もう常連客がぽつぽつ集まり始めていた。

2010-11-26 15:33:04
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 玉手箱(恐怖箱との連携企画)「黒蜥蜴 20 黒蜥蜴(4)」です #tknk

2010-11-26 15:33:28
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p いつも通りの『t_bot』の日常。常連客はスポーツや政治の話で牽制しあっていたかと思うと唐突な身の上相談に真剣に耳を傾ける。店を出れば接点など何もない者同士。そのせいだろう。常連たちの会話はめまぐるしく、どこか刹那的だ。亮輔は酒を作りながら彼らを眺めるのが好きだった。

2010-11-26 15:34:16
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 玉手箱(恐怖箱との連携企画)「黒蜥蜴 20 黒蜥蜴(5)」です #tknk

2010-11-26 15:34:38
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 「なあ、亮ちゃん、今夜どうだ?」カウンター越しにそう声をかけられて、亮輔は手にしていたマドラーを取り落としそうになった。ぽちゃ……っ、と体の奥で水がこぼれ落ちるあの馴染み深い音を聞いていた。肌にじわりと冷たい汗が浮いた。少し離れてツマミを作る義也の視線が刺さりそうだ。

2010-11-26 15:34:56
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 玉手箱(恐怖箱との連携企画)「黒蜥蜴 20 黒蜥蜴(6)」です #tknk

2010-11-26 15:35:12
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 相手は何度か寝たことのある常連客だった。亮輔はその男の苗字しか知らない。「すみません。俺……恋人できたから」その言葉をたどたどしく喉の奥から絞り出す。「そっか。じゃ無理には誘えないな」男はあっさりとそう言って、笑った。どうせひと月と保たずに終わる。そう思っている顔だ。

2010-11-26 15:35:42
須藤安寿/水冷式妄想機械 @anjusuto

@ts_p 玉手箱(恐怖箱との連携企画)「黒蜥蜴 20 黒蜥蜴(7)」です #tknk

2010-11-26 15:35:57
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