ツイッター超短編小説2013年3月11日編集

徒然なるまま日暮らし心に映るよしなしごとをそこはかとなく書きつくればあやしうこそものぐるおしけれ 徒然草 吉田(卜部)兼好
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@maomk68

鈍行列車 5 仙台発青森行という鈍行があった頃、博嗣は友人と一緒にそれに乗ったことがある。4時間車内というのはいろいろあるが、三沢でやませに遭遇した夏だった。ここも日本かと博嗣は思った。

2013-03-11 18:24:31
@maomk68

海原 ゆきは海を見に来ていた。嘘のように凪の海がある時世界のどこかで大きな津波となる。日本人は海の子どもたちである。ゆきにそう言ったのはゆきの父だった。ゆきも娘と海を見ていた。春の海だった。

2013-03-11 18:14:51
@maomk68

煙 まくとか嫌がられるとか随分な扱いをしてくれるものじゃが、昔、富士山から月に向かって登っていったこともあるんじゃよ。煙がそう言ってたばこを喫んで笑った。

2013-03-11 18:29:48
@maomk68

山並 聳え立つ金剛山を見るのが沢口の日常であった。さほど高い山ではないのだが、金剛山はダイヤモンドのような印象がある。金剛石といえばダイヤモンドのことである。黄砂で見えないこともあるが、今日はよく見えている。沢口はふっと肩の力を抜いて伸びをした。

2013-03-11 18:20:58
@maomk68

失意 ままならないものだよと言いながらご飯を食べ風呂に入り働き口もありつれあいもいて子どももいる。家もある。それでも幸せでないなら自分の人生の責任から逃げた証拠。老人になってすべて失ったら手に出来ることなのかもしれないよと悪魔が血の契約書を携えてくる。契約してしまった人もいる。

2013-03-11 23:33:51
@maomk68

東雲街道 由岐と博嗣が黙って歩いている。14時46分に池の端で立ち止まって静かに目を閉じて頭を垂れた後二人は東雲街道を唄いながら歩いていった。

2013-03-11 18:32:37