ツイッター超短編小説2013年3月5日編集

ツイッターで超短編小説を書いてから、まとめておいたほうがいいのだろうと思ったので、定期的にまとめてみようと思います。
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@maomk68

@mojorum 鈍行列車 1 「電車に乗るのが好きです。もう恋してると言っていいぐらい」さわこはそう言って鈍行に乗る。車窓の風景よりも車内風景の方が鈍行は面白い。ヘッドフォンをしながらきゃりーぱみゅぱみゅを楽しそうに唄いながらさわこはスマートフォンでぷよぷよをしていた。

2013-03-03 22:26:42
@maomk68

@mojorum 鈍行列車 2 となりに座るおじさんは笑って眠ったふり。さわこが唄うファッションモンスターの息づかいにおじさんはぴくっと肩を震わせ、さも鈍行の揺れで起きたかのように目を開けスマートフォンを操作した。おじさんのツイートには目のやり場に困るとだけ書かれてあった。

2013-03-03 22:27:20
@maomk68

@mojorum 後ろ頭 僕は無口です。あまりご主人様にご飯を下さいとも言えないぐらいです。ご主人様はわたしの後ろ頭をよく激写しています。あんまり愛想がないのはいけないと思うので気配がするとキメのポーズで後ろ頭に品を作るようにしています。僕の後ろ頭はネットで見れます。

2013-03-03 22:20:08
@maomk68

路線バス 低震動のエンジン音が眠気を誘いいつしか眠り込んだ瞳は、次に目が覚めた時に感じる軽やかな虚脱感と共に、バスが着いた所を見るとそこは競馬場であった。バスを間違えたと瞳は気が付いた。競馬でもするかと瞳は決めて競馬場に入って行った。

2013-03-04 10:00:39
@maomk68

老紳士 スターフェリーを降りてバスを待っていると、前に並んでいた老紳士がいきなり後ろを向いて亨に「このバスはどこに行くのかね」と聞いてきた。「旺角では?」と亨が言うと黙って頷いて老紳士は来たバスに乗り、旺角より随分手前で慌ててバスを降りて行った。老紳士の前には婦人が立っていた。

2013-03-04 10:27:06
@maomk68

@klimtunococ 超短編 珈琲 歩はその男が今日も来るだろうと思ってクッキーを置いておいた。ドアが開き男が入ってきて珈琲と言うので珈琲を入れてクッキーを添えた。男は気付いているだろうかと思っていると、男は歩に笑顔でカードを手渡した。アドレスとありがとうの文字が読めた。

2013-03-05 11:36:21
@maomk68

珈琲 武志がいきつけにしているカフェには感じのいい若い娘の店員がいる。最近珈琲と注文するとその娘はそっとお菓子を添えて出してくれる。ふと周りをみると、その娘が珈琲を出すときにお菓子を誰にも添えていなかった。武志が珈琲を注文するとお菓子が必ずついていた。

2013-03-05 10:07:37
@maomk68

お茶 中身を詮索しようにもただ「日本産」とだけ書かれた500mlペットボトルのお茶を飲むとなると、59円で入手できる理由を考えてしまう。さわこはそう呟いた。そりゃあ放射性セシウム入っているよね。みきこがそう言って緑茶ペットボトルをぐいっと飲んだ。

2013-03-05 20:28:31
@maomk68

陣地 半畳の物置の中に宇宙がある。そういう空間を妻は陣地と呼ぶ。小物や雑貨でその宇宙を形作るというユニバースフォームをしていてその空間にあるきちんとした秩序を感じる。確かに陣地という名前がしっくりくる。清は妻と妻の陣地を眺めてご飯を食べている。

2013-03-05 20:39:04
@maomk68

悪口 言ってはいけないそれだけは。だめだからだめだよ。そう山本八重が言うと皆納得するのに、沢田順子がそう言うと「うるさいわい」となぜ言われるのかというと、その返答が悪口かどうか言った本人にも分かっていないから。

2013-03-05 23:46:33
@maomk68

東雲街道 由岐と博嗣は菜の花が咲き誇る池の端を唄いながら歩いていた。東雲街道という歌を由岐が作って二人で唄って歩いている。東雲街道はゆらり揺れてとんぼ返りする先に伸びている。二人は東雲街道を歩いている。

2013-03-05 21:07:42