即興小説『忍殺風「羅生門」』(未完)

◆「クライム・ザ・ラショウ・ゲート」◆相変わらず執筆者はニュービーヘッズ◆若気の至り◆
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浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

◆忍殺風「羅生門」を突発的に書き始める◆実際即興◆

2013-03-12 00:35:19
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「クライム・ザ・ラショウ・ゲート」 #1

2013-03-12 00:35:35
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

重金属酸性雨が降りしきる夕暮れのキョートの街。スザク・スゴイヒロイストリートに佇むラショウ・ゲートの錆びた柱には、「バカ」「スゴイ」など悪罵を極めた言葉がペイントされている。その下で、ひとりのゲニン(訳注:下級ニンジャのこと)が雨宿りをしていた。 1

2013-03-12 00:38:43
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

他にもオイランやヤンクの数人は雨宿りをしていそうなものだが、今はこのゲニンの他には、ラショウ・ゲートの下には誰もいない。ただキリギリスが一匹、素知らぬ顔で柱の「バ」の字の上に止まっているばかりだ。 2

2013-03-12 00:43:30
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

何故かといえば、ここ数年、キョートの街はザイバツ・クランとソウカイヤの果てしない抗争により荒れ果て、マッポーめいた様相を呈していた。由緒正しきキョートのテンプルも次々と打ち壊され、顧みられることはない。朽ちかけたラショウ・ゲートもまた同様である。 3

2013-03-12 00:48:15
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

そうなると荒れ果てたラショウ・ゲートには粉末バリキをキメたレンゴウ・クランがたむろし、浮浪者が住み着く。さらにはゲートの上に哀れツジギリに遭った死体などが捨て置かれ、その光景はさながらツキジめいた有様であった。 4

2013-03-12 00:51:46
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

当然、そのようなところに陽の暮れてから近寄ろうとする者などいるはずがない。いるとすれば死人の肉をついばむカラスぐらいだが、太陽の沈む頃になるとその姿ももう見えなかった。 5

2013-03-12 00:56:29
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

陽が暮れてなお酸性雨の止む気配はない。ゲニンは舌打ちし、しかし雨が止んだところで自分に行き場などないことを思い出して、もう一度舌打ちした。 6

2013-03-12 01:02:57
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

ゲニンの名はスティーラーという。彼はソウカイヤに属する末端のニンジャであり、ザイバツとの抗争のためにネオサイタマからキョートに乗り込んできたのであった。だが彼が到着して間もなくザイバツとの抗争は一時休戦状態に入り、あえなく彼はクビキリに遭ったのである。ナムサン! 7

2013-03-12 01:07:47
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

スティーラーは途方に暮れていた。見知らぬキョートの街で、ソウカイヤからの仕事もなく、彼は明日のスシにも困る暮らしを続けねばならなかった。ニンジャの力を得てなお、飢えねばならぬとは! スティーラーは自嘲する。 8

2013-03-12 01:10:40
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

無論のこと、ニンジャの力をもってすればストリートを歩くサラリマンからの略奪などベイビー・サブミッションである。だが、ニンジャソウルに寄生されてなおスティーラーに残った一縷の良心が、ただの盗人に成り下がることを拒んでいたのだった。 9

2013-03-12 01:14:47
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

スティーラーはメンポの中で大きくクシャミした。日暮れと雨のためキョートの気温は急激に下がり、今はメンポの隙間から漏れる息も白くなるほどだ。このままじっとしていたのでは、飢死の前に凍死だ。ニンジャがセプクでもケジメでも、ましてイクサでもなく凍死とは! 10

2013-03-12 01:18:05
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

スティーラーは身を縮めながら周囲を見回した。一晩、雨風を凌げる場所を確保せねばならない。ニンジャでありながら浮浪者そのものの思考をしていることにまた自嘲しつつ、スティーラーは頭上を見上げた。 11

2013-03-12 01:21:06
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

ラショウ・ゲートは二階建ての門であり、二階部分は屋根も壁もある。ツキジめいた死体置き場と化しているそこだが、少なくとも酸性雨に晒されることはない。スティーラーはカタナの位置を確かめながら、その脚力によって瞬く間に門の柱を垂直に駆け上がった。タツジン! 12

2013-03-12 01:24:50
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

スティーラーが門の上に顔を出すと、はたしてそこはマッポーそのもののジゴクめいた光景が広がっていた。屋根の下には一面に死体が転がり、そのほとんどが腐敗して原形を留めていない。メンポをもっても防ぎきれない悪臭に、スティーラーは顔をしかめる。 13

2013-03-12 01:28:05
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

だが、次の瞬間、スティーラーは悪臭のことも忘れて目を見張った。死体の中に動く影があったのだ。咄嗟にスティーラーはカラテを構える。だが、よく見ればその影は彼に背を向け、死体のひとつにかがみ込んでいた。 14

2013-03-12 01:29:41
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

それは檜皮色のキモノを着た老婆であった。老婆はまだ新しい女の死体の髪を掴んでは、力任せに引き抜いていたのだ。コワイ! ブチブチッ、と音をたてて死体の髪が引き抜かれる様は、数多の修羅場をくぐり抜けてきたスティーラーにとっても実際戦慄であった。 15

2013-03-12 01:33:36
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

恐怖と好奇心とを覚えながら、スティーラーは老婆に歩み寄った。足音に気付き、振り返った老婆は突然現れたニンジャに驚愕し失禁!「アイエエエエエ!ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」「ドーモ、スティーラーです。貴様、何をしている」 16

2013-03-12 01:36:21
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

スティーラーがアイサツをすると、老婆は失禁しながらも反射的にオジギをした。「ドーモ、スティーラー=サン。サイジョウ・タエです」アイサツを返すが、老婆はスティーラーの問いには答えようとしない。彼を見つめ返す目には、怯えの裏に、強い意志の光があった。 17

2013-03-12 01:40:53
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

(((この老婆……まさか、ザイバツのニンジャか))) スティーラーはカラテを構え、老婆にハイキックを繰り出した! ナムサン! ニンジャによる常人には見えぬ速度のハイキックを受け生きていられる者はいない。そう、同じニンジャでなければ。 18

2013-03-12 01:42:48
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「イヤーッ!」だが、スティーラーのキックは空を切った。ブリッジでキックをかわした老婆は、そのままバク宙で死体の中に着地する。女の死体を挟んで、ゲニンと老婆は睨み合った。その対峙を見守るのは、ただ腐敗しきった死体の虚ろな眼窩だけである……。 19

2013-03-12 01:45:42
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

◆おそらく#2で終わる◆予定は実際未定◆待機せよ◆

2013-03-12 01:46:38