日本では年間500本の映画が制作され、そしてほとんどが見られていない件について 東北ずん子小説
日本では年間500本の映画が制作され、そしてほとんどが見られていない件について 東北ずん子小説 http://t.co/AhtL7opCyG
2013-03-13 17:00:53――風の強い日のことでした。天下泰平の江戸城に、風雲急を告げる銅鑼の音が響きます。くしくも、その夜は満月。あるいは――その美しい光に人々が見惚れるのを狙って、窃盗を試みたのかもしれません。
2013-03-13 17:01:32……ふふっ。天下の江戸城も『寺子屋の坊主――他愛もない――』もんだったわね! http://t.co/jPfsR4sDRw
2013-03-13 17:01:53まるでネズミのようなすばしっこさで城下町を逃げる彼女の小脇には、高級な漆で塗り固められた一巻きの書簡が抱えられていました。開放すれば幕府を転覆させるという門外不出の書です。
2013-03-13 17:02:09ふん、この『純白の』めたんにかかれば、ちょっと江戸城に侵入して巻物を盗んでくるなんて芸当、ちょちょいのちょいってことよ! あとは小うるさい奉行共から逃げおおせれば、一生有り金には困らないわ! http://t.co/jxNJulAMKE
2013-03-13 17:02:18真っ白な衣装は自信の表れか。平屋と平屋の間を舞うように駆けるその華奢な少女の正体は、にわかに江戸の城下町を賑わせている大盗賊、『純白の』めたん、その人でした。
2013-03-13 17:02:28――予め逃走ルートを確保してあったのでしょう。追いすがる町奉行たちをみるみるうちに引き離しためたんは、するすると縫うように城下町を進み、約束の神社にまで逃げ込んで、一息つきます。
2013-03-13 17:02:36……ふう。ここまで来れば問題ないわね。あとはこの『ラプラスの箱――巻物――』を灯籠経由で投げ込んで、とっととずらかりましょう。これで明日からは布団で寝られる! こんなに嬉しいことは――。 http://t.co/mc3vGGdM16
2013-03-13 17:02:46突如聞こえてきた声に、めたんは慌てて周囲を見回しました。まさか自分の足についてくることができる人間がいるとは考えてもいなかったのでしょう。普段は夜であってもフクロウのように敏感な彼女の瞳が、神社の瓦葺きのてっぺんに立つその「影」に気がついたのは、しばらく経ったあとでした。
2013-03-13 17:03:15……ううっ!? 『血の色――真紅――』の着物、それに『涙の色――青――』の襟巻き――!? あ、貴方は……まさかッ!? http://t.co/HMMRxI35Hm
2013-03-13 17:03:33逆光に凛々しいその姿を見ためたんの声が、明らかにうろたえています。そんな少女を見て、屋上の「影」は困ったように笑みを浮かべると、肩をすくめて溜息をつきます。
2013-03-13 17:03:54なんや、参ったなあ……。あまり名が知られると、仕事がし辛くなるんやけど。……まっ、ええか! http://t.co/5di0fkQv6E
2013-03-13 17:04:02とても隠密集団とは思えない軽さで開き直ったしのびは、夜の帳の中にあってなお赤いその髪の毛をうっとおしそうに掻き上げると、右手の人差し指と親指を口の中に咥えて、ヒュウッ、と指笛を鳴らしました。
2013-03-13 17:04:12なに……? 何も起こらないじゃない! ……ふ、ふんっ! 「大都会」は「異能の超人集団」だと聞いていたが――こけおどしか! 貴方一人くらい、私の愛刀・「波ゐ怒」で……。 http://t.co/TgTkPPbIxo
2013-03-13 17:04:24ば、バカな!? その空間は、先刻まで『影法師――無人――』だったはずよ!? 貴方、いったいどこから……ッ!? http://t.co/YU7MRYXYNN
2013-03-13 17:04:54