アイカツおじさんと幼女先輩3

感動のストーリーついに完結
宇宙
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サイバー @cyber_jun
『アイカツおじさんと幼女先輩3』《1/36》
サイバー @cyber_jun
この出会いに意味はあったのか。  アイカツおじさんと少女先輩の出会いは必要か。不要か。  彼はその答えを知っていた。  この大型スーパーは特別だった。もう訪れる事はないと思っていた。  それでもアイカツおじさんは足を前へ。前へ。大切なことを伝えるために。大切な人へ。《2/36》
サイバー @cyber_jun
アイカツ!ゾーンで拍手がわき起こる。幼女先輩方とその親御さん、そして遠巻きのアキカツおじさん達。  皆の視線は3人組のアイカツおじさんに注がれていた。 「全国一位!全国一位!」  コールに真ん中のアイカツおじさんが手を挙げる。それに反応するようにさらに大きな喝采が。《3/36》
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「おいおい、やめてくれよ。僕はただのアイカツおじさんだよ」  さらに黄色い声が上がる。 「僕は伝説でも先輩でもない。ただのアイカツおじさんなんだ」《4/36》
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幼女達がアイカツおじさんに集まった。トレードしてください、ましてやサインしてください。写真撮影にも快く応じる。人気者は髪をかき上げた。 「それじゃアイカツプレイしようかな」  彼が台に向かうとき、幼女にぶつかる。手に持っていたカードが散らばり、その身を床に崩す。《5/36》
サイバー @cyber_jun
彼は踏んだ。落ちたカードを踏んだ。そのカードを確認した。ノーマルカード。トレードの材料にもならない。クズカード。それを笑った。下品な笑みで。  幼女は涙を目に溜めた。相手は全国一位。泣いてはならない。逆らうな。堪える。堪えろ。それが礼儀と空気であろう。それが世界だ。《6/36》
サイバー @cyber_jun
「おい、あやまりな!」  声を上げたのは幼女先輩だった。幼女同輩の肩に手を置き、優しく笑う。幼女同輩は顔見知りだった。気が弱く誰かがプレイしていると並ぶことも出来ない。だからいつも幼女先輩が一緒に並んであげるのだ。自分がプレイすることがなくとも。《7/36》
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「あやまりな! ぶつかったこととカードを踏んだことにあやまりな!」 「ああ?」  アイカツおじさんは幼女先輩を睨み返した。3人の大人が幼女先輩の前に立つ。囲まれる。 「なんだよお前。ああっ!?」《8/36》
サイバー @cyber_jun
大きな声に幼女先輩は恐怖を感じた。その時に気付いてしまう、自分がただの幼女であることを。  こわい。こわい。  それでも幼女先輩は振り絞った。知っているから。光を、アイカツを、全てを救う彼を。 「あいつはそんなこと言わない!」《9/36》
サイバー @cyber_jun
「はあ? 意味わかんないんだけど?」  アイカツおじさん達が笑う。 「私のアイカツおじさんは、そんなにいじわるじゃない」  歯を食いしばって、それでも泣いてたまるかと。睨み付けて。それしかできなくて。 「はぁ? ばっかじゃねーの!?」《10/36》
サイバー @cyber_jun
心の余裕はどれだけあるというのか。耐えられない苦しい悔しい。溢れる思いはどうしたらいいのか。これから私は大声で泣きわめいてママにゲンコツされるのだろうか。  それでも負けたくない。このクソ野郎にだけは負けたくない。  誰か助けて。助けて!助けて!誰か!助けて!《11/36》
サイバー @cyber_jun
「久しぶりだね」  幼女先輩の頭に優しく手が置かれた。 「あんた」  知っているだろうか。君は知っているだろうか。  このアイカツおじさんと幼女先輩を。君たちは知っているだろうか。知らない人もいるだろう。なら知ればいい。 「遅いんだよ、あんたは」《12/36》
サイバー @cyber_jun
明るく輝く幼女先輩の笑顔に、照れくさそうにアイカツおじさんは頭をかく。そして笑みは一瞬に消えて、目の前の現役全国一位のアイカツおじさんに向かった。 「君たちはアイカツおじさんであるべきではない」《13/36》
サイバー @cyber_jun
「じゃあ、何だよ! あれか? あれだよ、闇のアイカツおじさんってやつ? 聞いたことある?」  そう言って笑い声を上げる。真剣に向き合うアイカツおじさんをあざ笑った。しかし、アイカツおじさんは動じない。悲しい表情でこう諭すのだ。《14/36》
サイバー @cyber_jun
「君もアイカツの闇を見たのかい? 辛いよね。苦しいよね」  理解不能だった。全国一位のアイカツおじさんは、目の前のアイカツおじさんに不気味さを感じた。 「なら見せてあげるよ。アイカツの闇を」  アイカツおじさんは筐体へ歩く。ギャラリー達は道を開け、静かに見守った。《15/36》
サイバー @cyber_jun
手に握るのは百円玉2枚。慣れた手つきで操作を進めていく。  画面を見た全国一位のアイカツおじさんは大きな声を上げた。 「バカな! 最高難易度をひとりふたりプレイだとっ!?」  さらに取り巻きが腰を抜かしてへたり込む。《16/36》
サイバー @cyber_jun
「それだけじゃない。あれは膝を地面につけない空気椅子スタイルっ! こいつは、神かっ!?」  曲が始まりアイカツおじさんは完璧にプレイする。一切のミスも、リズムの狂いもない。  全国一位のアイカツおじさんの顔から血の気が引いていく。《17/36》
サイバー @cyber_jun
周りが静まる中、泣きそうな声で叫ぶ幼女先輩。一斉に注目を集める。 「やめろ! あんたの、あんたの脚は限界じゃないか! もういい、もういいから!」  アイカツおじさんの脚は震えていた。《18/36》
サイバー @cyber_jun
空気椅子スタイルになんのメリットもない。闇へ、さらなる闇へと身を投じた結果であり、封印されたはずでもあった。  それでもプレイを止めないアイカツおじさん。  その時だった。 「がんばれ」《19/36》
サイバー @cyber_jun
小さな声がした。精一杯に絞り出した小さな声。 「がんばれ、がんばれ」  声の主はカードを踏まれた幼女先輩の幼女同輩だった。応援の声は幼女先輩方に広がっていく。 「がんばれ! がんばれ!」  やがて大きな歓声へ。《20/36》
サイバー @cyber_jun
それでも不安そうに歯を食いしばっている幼女先輩。止めたい。彼は肉体的にも精神的にも自分を追い詰めすぎている。このままでは二度とアイカツをプレイできない身体になってしまうかも知れない。 (大丈夫。大丈夫だよ)  声が聞こえた気がした。《21/36》
サイバー @cyber_jun
そして目の前のアイカツおじさんは、振り向いて親指を立てた。だが曲は続いている。 「嘘だろ、ノールックで片手打ち。化け物だ。こいつ、化け物だぁ」  全国一位のアイカツおじさんはついに失禁した。目の焦点も合わず、口を開けて惚けている。  戦いは終わった。《22/36》
サイバー @cyber_jun
幼女先輩に肩を借り、アイカツおじさんは全国一位のアイカツおじさんの前に立った。 「僕は神でも化け物でもない。ただのアイカツおじさんだよ」  完全に戦意を喪失している全国一位のアイカツおじさんは、取り巻きに引きずられて去っていった。《23/36》
サイバー @cyber_jun
「あの様子じゃ、もうこのシマに来られないかもね」  小さくため息をつく幼女先輩に、アイカツおじさんは少し厳しい表情になった。 「わかってるよ。あたしはお漏らしを笑ったりしない。恥ずかしい事じゃない。また来たら、今度は。一緒に遊べたらいいな!」《24/36》
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