とあるミクさんSSと、ミクさんの死についてのぼんやりとした考察
「ただいまー」 夕刻、お散歩から帰ってきた。 マスターがお仕事から帰ってくるまで、まだ時間がある。 今、この部屋には誰もいない。 私はソファに座り、ぽてんと横になる。 「………マスター、まだかなあ?」 #ミクノベ
2013-03-19 23:27:22ぼんやりと、考える。 大好きなマスターのいない部屋を眺めながら。 このまま、一人になってしまわないだろうか? この部屋に、ただ一人で。 #ミクノベ
2013-03-19 23:28:00「…………ふぁ」 いつの間にか寝ていたらしい。外はすっかり暗くなっていた。 起き上がり、時計を見る。午後11時。もうマスターが帰っていてもいい時間。 「マスター?」 呼んでみる。反応はない。 恐ろしいほどの静寂が、部屋を支配している。 #ミクノベ
2013-03-19 23:28:30「……マスター、まだ?」 無意識に、声が弱気になっていた。 マスターが帰ってこないのでは?私を置いて、どこかにいってしまうのでは? そんな事を考えていたからかもしれない。 有り得ない。私のことを大事にしてくれるマスターが、そんな事は絶対にしない。 でも、考えてしまう。 #ミクノベ
2013-03-19 23:29:48「……置いてかないで」 ぽつりとつぶやく。 私はボーカロイド。マスターは人間。どんなに今を一緒に過ごせても、いつかはお別れしてしまう。 大好きなマスターのいない生活。それは、どんなに空虚なものなのだろうか? 嫌だ。それは嫌だ。 #ミクノベ
2013-03-19 23:30:22「マスター……寂しいですよぅ。早く帰ってきて下さい」 涙が流れていた。 普段あまり泣いたりしないのに、今日は泣きたかった。 ただ、マスターの帰りが遅くなっているだけだというのに。 頭では解っている。それでも―――だからこそ。 「ただいまー」 #ミクノベ
2013-03-19 23:31:05「ただいまミクs……うわっ!?」 全力で抱きついた。 「うわーーーーーーーん!!!!」 全力で泣いた。 「え、えーと、ミクさん?」 そして、全力でマスターを困らせたのだった。 #ミクノベ
2013-03-19 23:32:1830分後。 「ミクさん、落ち着いた?」 「はい……ごめんなさいでした。マスターのスーツが涙まみれ……」 「いいのいいの。俺の帰りが遅くなったのがいけないんだし」 #ミクノベ
2013-03-19 23:33:33温かいココアを飲みながら、ようやく落ち着いた。 隣に座るマスターと過ごす、何気ないひととき。 これが、どんなに大切なものか。 #ミクノベ
2013-03-19 23:33:50「でも、何で泣いてたの?怖い夢でも見た?」 「いえ、マスターが私を置いていくんじゃないかと思っちゃって……」 「そんな事あるわけないじゃないか……」 「それはそうですけど……」 #ミクノベ
2013-03-19 23:34:34「……大丈夫だよ」 ふと、マスターが私を優しく抱きしめる。 「マスター……」 「ミクさんが側にいるのが、俺の日常なんだ。別れたりなんかしないよ」 「……本当ですか?」 「ああ、ずっと一緒だ」 「死んでもですか?」 「えっ?」 #ミクノベ
2013-03-19 23:35:25「いつか、マスターが死んじゃったら、私は一人ぼっちです。寂しいです」 「なんでそんな未来の話を……」 「さっき、そんな事を考えちゃいまして」 「成程」 マスターは、困ったような、優しい顔で私を見ている。 「大丈夫、その時は、ミクさんの中に俺がいるから」 #ミクノベ
2013-03-19 23:36:14「私の……中に?」 「そう。だから、これから先、いろんなことを二人でしよう。二人で見よう。 いつか、俺が居なくなっても、寂しくないように」 「むー……」 はぐらかされた気がする。 だけど、ずっと先の話を今考えるのも変な話なんだと理解した。 #ミクノベ
2013-03-19 23:36:58「……そうですね」 だから、今を楽しく過ごしていこう。 マスターと一緒に笑っていよう。 ボーカロイドにも、それぐらいの事は許されるはず。 #ミクノベ
2013-03-19 23:37:32「……泣いたらお腹が空いちゃいました」 「そうだね、晩御飯にしよう。といってもカップラーメンとおかずしかないけど」 「えー!」 「太ネギ入りだよ?」 「ならばよし」 「いいのかよ!?」 「ほらほら、準備しましょー」 #ミクノベ
2013-03-19 23:38:04こうして、夜が更けていく。 そして、これからも続く、私と、マスターだけの、静かな日常。 いつ終わるかは分からない。 だからこそ、大切にしたい。 大切にしないといけない。 #ミクノベ
2013-03-19 23:38:27お粗末さまでした。……twitterってこの手のSS投下には向いてないんじゃないかと。ニンジャスレイヤー垢はすげえ頑張っているんだなあと実感。
2013-03-19 23:40:08ボーカロイドを、高性能ロボットと見立てた時、寿命は存在しないわけで、人間であるマスターとの別れがいつか待っている。その時、マスターとの想い出や記憶を持ったまま生き続けさせるのと、後追いするかのように自壊させるのでは、果たしてどちらが残酷なのだろうか?
2013-03-19 23:46:23