茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【たまに漱石を読むと、びっくりするね】連続ツイート

2013.3/28 茂木健一郎氏:連続ツイート第892回 【たまに漱石を読むと、びっくりするね】 …昨日お風呂に入る時、『三四郎』が読みたかったのだけれども、なかったからしょうがないから『それから』にした。そしたら、あまりにも文章が巧くて満ちあふれているので、(言葉がぴかぴかしている)改めてびっくりしてしまった。漱石は日本語で表現したけど、その内容の充実は世界的だ…
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート892回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、昨日のリアリズム!

2013-03-28 06:36:31
茂木健一郎 @kenichiromogi

たび(1)大学入試にTOEFLが採用されそうだとか、京都大学の教養課程で英語の授業が始まりそうだとか、日本の教育も少しずつ変わっていくようである。それで、以前から日本の大学の問題点を指摘していた私が、よろこんでいると、そうでもなくて、なんだかなあ、という気分である。

2013-03-28 06:37:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

たび(2)「そういうことじゃないんだよなあ」という思いが強い。どうも、「グローバル化」とか「大学が生み出す知の付加価値」ということを言う時に、世間が思い描いていることと、私が考えていることの間にずれがあって、そのずれが、なかなかうまく埋まらないようなのである。

2013-03-28 06:38:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

たび(3)例えば、スタンフォード大学の美人講師が手をぐわんと伸ばしている表紙の本が売れているけれども、ああいうことをグローバル化というわけではない。ウェブ媒体に、東大文一をけってアメリカのリベラル・アーツ・カレッジに留学した学生の記事があったが、趣旨がわからなかった。

2013-03-28 06:40:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

たび(4)結局、あくまでも表面的なんだよな、と思う。実質を考えていない。そのうち、日本の軽薄なる偏差値入試をハーバードやイェールにも適応して、この大学だと偏差値いくらだ、みたいなことを予備校が始めるに違いない。そこに、本質はないから。いい加減にしないと、おじさん怒るよ。

2013-03-28 06:42:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

たび(5)今、必要があってRichard DawkinsのThe God Delusionを読み返しているけど、実に素晴らしい散文で、内容も高度。なぜこのようなタイプの知識人が日本から出ないのか、ということこそが問題の本質だと思う。あるいは、Lawrence Lessig。

2013-03-28 06:43:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

たび(6)東大はこうだ、京大はああだ、早慶はこうだ、みたいな表面的な議論を外国に伸ばしてみても、結局は日本人は軽薄なままなのではないかと思う。それじゃあ、グローバル化と言っても、ダメなグローバル化で終わるだけだと思う。つまり、内発的で、知的な変化じゃなかったら意味がない。

2013-03-28 06:45:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

たび(7)昨日お風呂に入る時、『三四郎』が読みたかったのだけれども、なかったからしょうがないから『それから』にした。そしたら、あまりにも文章が巧くて満ちあふれているので、(言葉がぴかぴかしている)改めてびっくりしてしまった。漱石は日本語で表現したけど、その内容の充実は世界的だ。

2013-03-28 06:46:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

たび(8)軽薄な英語論者(TOEICみたいなやつね)よりも、漱石の方がよほど信用できる。その漱石はノイローゼになるくらい英語の書籍を読んで、それで、結局は日本語の表現を選んだ人だった。そこには、漱石個人はもちろん、日本の近代の文化史の一大転機があったように思う。

2013-03-28 06:48:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

たび(9)英語化や、グローバル化の議論が、今のような軽薄なかたちで進むんだったら、私は賛成するどころか猛烈な反対論者になるかもしれない。浮ついた英文を読むよりも、漱石を日本語で読む方が、本質的な意味での大学論に通じるところがあるんだから、世の中って不思議なもんだよね。

2013-03-28 06:50:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート892回「たまに漱石を読むと、びっくりするね」でした。

2013-03-28 06:50:51