#twnovelOFF ＠名古屋 『ツイノベ・オンオフ』 2013/03/30

七歩 @naholograph

箱の中には空っぽが入ってるって偉そうに言うけれど空っぽは空っぽだ。金返せって睨みつけたら、しょうがないなって出してきたその箱はなんだ。開けてみたならやっぱり空っぽ。お前いい加減に。ここには空っぽの貴方が入ってね。突き落とされた箱の中、予想外の心地よさに僕は。#twnovelOFF

夢名 七志 @mumei7c

ツイノベ オン お題 （その三） 「飛行機雲」 #twnovelOFF

添嶋譲 @literaryace

あの飛行機雲をたどったら君のところへ行けるかな。指を雲に合わせ、そっとなぞる。無理なことくらい初めからわかってる。あれから一度も連絡なんかなくて、こっちはこっちで何事もなく毎日を過ごしている。時々顔を出す寂しがりやがメールを送るけど。期待はなしで。 #twnovelOFF

めぐる @skycolorring

曇りがちの空に線が引かれた。途端に大空は真っ二つに割れ、狭間から巨大な物体がのそりと出現した。そいつはカーブを描いて滞空している。「予言通りだ」「この世の終わりだ！」みな一斉に逃げ惑う。「どうしたんだろう」CAは地上を心配している。 #twnovelOFF #twnovel

水木ナオ @nayotaf

「ほら、上」指を差され空を仰ぐ。澄み切った青は一瞬心を無にしてしまう程美しい。そしてそこに、一筋の白い飛行機雲。飛行機を追ってゆっくり育っていく。俺にはやっぱり、空を泳ぐ鯨は見えない。けれど、同じ空を今、眺めていればいいな。そう、思った。 #twnovelOFF #twnovel

竹雀綾人⋈怪人　#ひより㌠ @takesuzume

ここから見上げる空はすごく高い。深く暗い塹壕の底で小銃を抱えて僕は空を見上げる。青い空は僕の故郷に続いているだろうか。その空に飛行機雲がたなびいて行く。子供の頃は嬉しくてずっと眺めていた飛行機雲。ここでは恐怖と憎悪しかない。程なくして目の前が赤く燃えた。#TwnovelOFF

夢名 七志 @mumei7c

出発間際のアナウンス。「お客様にお願いです。当機は大変に希薄な構造となっています。ご搭乗中は頭を空っぽにして、できれば何も考えずにお過ごし下さい。席をお立ちになる場合には、外との境目が曖昧ですので、滑落には充分ご注意下さい」初めての飛行機雲は不安でしようがない。 #twnovel

楠樹 暖 @kusunokidan

#twnovel 夕暮れの西の空、一筋の白い線「あっ、彗星発見！」「いや、違うよ。よく見てごらん。あれは竜だよ。鯉が滝登りに成功したんだ」二人で飛行機雲をずっと見ていた。あの雲が消える前に僕の恋も成就させられるだろうか…… #twnovelOFF

layback @laybacks

飛行機雲を引っぱるとジェット機が落ちてきた。慌てて雲を放す。ジェット機は地面すれすれで体勢を立て直した。困るよ。ジェット機の顔は青ざめている。ごめんなさい。私が謝るとジェット機はやれやれと肩をすくめて飛び去った。空には複雑に絡まった飛行機雲が残されていた。 #twnovelOFF

工房径（koubou-kei） @pleaseinuplease

#twnovel 久しぶりのデート。指で飛行機雲を辿りながら君が言う。「ねえ、あたしたち、つきあって何年になるんだっけ？」僕は心の中で謝る。そんなこと、言わせてごめん。君の思う飛行機の行き先は、雲を辿らなくても僕にはわかる。ちょっと待って。今ポケットから指輪の箱を出すからさ。

キヨシロウ @kiyoshiro_aoi

#twnovel 彼女は去っていった。お互い嫌いになったわけてもないのになぜ別れはやってくるのか。納得のいかない僕が彼女が出ていったドアを開けると彼女の未練が飛行機雲のように駅へと続いていた。やっぱ駄目だ。僕は彼女の後を追った。 #twnovelOFF

七歩 @naholograph

空から落ちてきた女の子を拾った。彼女は毎日小高い丘で空を見上げて、その帰り道、飛行機雲のような軌跡を残す。気になり少し調べてみると飛行機雲って、「エンジンの排気により空気中の水分が増加して…」#twnovelOFF　それはまるで淋しい君の涙のようで、小さなその手をぎゅっと握る。

夢名 七志 @mumei7c

ツイノベ オン お題 （その四） 「きしめん」 #twnovelOFF

Cal Que El Lulu-rain @senzaluna

おお、今こそ汝を抱きしめん…… #twnovelOFF #twnovel

夢名 七志 @mumei7c

フェットチーネとタリアテッレが同じだったり違ったりするけれど気にしないだろうとも言われるがそれはまったく受け入れられないのだ。ソースをかけるのではなくて汁に浸かっているから大きな差は食す時の音に現れている。ずべべぼぼばばと端が短くなると音が変わるのがきしめんだ。 #twnovel

layback @laybacks

男は尖らせた鉛筆をくれと言った。そんなものどうするんだ。見張り番のヤクザが咎めると、ただ小説を書くだけだ。男はそう答えた。鉛筆はやるが紙などないぞ。ヤクザはそっけなく言う。いいんだ。あれに書くから。製麺会社の倉庫の隅には乾いたきしめんが積み上げられていた。 #twnovelOFF

碧 @mimimdr

きしめんって食べたことないんだよね、どんななの？と聞くと、隣にいた君が、あれは言葉じゃ言い表せない、一度食べてみないことには…と言う。青空を見上げれば真っ白で長い長い飛行機雲。あんな感じ？そうだね、あんな感じかも。二人で春の空気をすすった。#twnovelOFF #twnovel

めぐる @skycolorring

深いブラウンの机に線が引かれた。「あっついんだもん！」彼女は頬を膨らませる。「よく冷まして食べなきゃ」途端に彼の目が冷めてゆく。彼女はふうふうと麺を冷まして食べ、彼は冷ややかにざるを平らげる。こぼされたままの一本が、まるで境界線のよう。 #twnovelOFF #twnovel

竹雀綾人⋈怪人　#ひより㌠ @takesuzume

我らは王に忠誠を誓う。我らは淑女の名誉を守る。我らは卑怯な行いはしない。つねに正々堂々と振る舞う。勇気を持ち困難にも目を背けず、弱気を助け慈悲深く、常に強くあるために鍛錬を欠かさない。我らこそは正義の守護者！騎士MENなり！！ #twnovelOFF

添嶋譲 @literaryace

あっちとこっちで離れて住む僕たち。デートはいつも中間地点。ナナちゃんのそばで待ち合わせて、浮つく気持ちを抑えて並んで歩く。「何食べる？」「きしめん」ガイド片手にお店を回る。二ページぶん制覇して、その回数ぶん僕たちは会った。おいしそうに食べる君が僕は好きだ。 #twnovelOFF

ぱぴこ @papiusagi

あついから気を付けやーよ、ふーふーせなかんがね。食べさせようか？いらん？のびんようにね、ゆっくりでええから。おだしがうまいだら？気持ちがこもっとるでね。きしめんは逃げーせんよ、ほら、きれいに食べんかね。 #twnovelOFF

楠樹 暖 @kusunokidan

#twnovel 三月一杯で他の部署へ移る子が書類をシュレッダーにかけていた。ストレートカットされたきしめんのような紙は何となく字が読める。ポリ袋越しに自分の名前が目に入った。『ずっと好きでした……』えっ、何が書いてあったの？ちょっと待って！ #twnovelOFF

工房径（koubou-kei） @pleaseinuplease

#twnovel 「きしめんみたいだな」そう言った彼の頬をぱちんと叩いた。お気に入りのブラウスの胸元についた繊細な白いリボンを、よりによって、きしめんとは。「うまそう、って意味だよ」「全然フォローになってない」「じゃあ、中身の方がもっとうまそう」「馬鹿」もひとつ、ぱちん。