ケビン・ラッド元豪州首相のFA論文を批判的に読む

ケビン・ラッド元豪州首相がForeign Affairs誌に投稿しているが、これは豪州における対中宥和姿勢をよく表した内容のものである。日本としては違和感を感じる記述が多いが、豪州をはじめ他国ではこのような意見も強いものと覚悟をしておく必要がある。
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fj197099 @fj197099

"Beyond the Pivot" By Kevin Rudd(http://t.co/Zu0RhaBMBe)元豪首相による話題のFA論文だが、ラッドは中国に対する「責任ある利害関係者」アプローチが既に破綻していることを十分に真剣に受け止めていないように感じられる。

2013-04-03 23:15:07
fj197099 @fj197099

ラッドは、①米国は中国に挑戦を許さない強い地域へのコミットメントを示す、②現状維持をし危機管理に努める、③利害を共有する部分での米中協力を模索するという三つのアプローチを提示し、①は米国の財政難で信頼性に乏しい、②はやがて危機管理に限界が来るとして、③を求めるのであるが…。

2013-04-03 23:16:57
fj197099 @fj197099

これは要するに本来①が望ましいが財政難で実効不可だからやむなく③を選ぶという、事実上の敗北者による対中宥和論にも聞こえてしまう訳である。彼は米中の紛争回避こそ目的というのだが、それを目的とする限り、同盟国たる日本の利益はどこまでも切り捨てられていいという理屈にもなり得てしまう。

2013-04-03 23:18:18
fj197099 @fj197099

米中協調を実現するに当たり必要なのはキッシンジャーのような人材と言っている点でも日本にとっては不安を煽る。御存じのようにキッシンジャーは日本を無視して突然米中和解をしたので、日本にとっては好ましくない人物である。要は米中協調の過程でどこまで同盟国の利益が切り捨てられるのかだ。

2013-04-03 23:20:09
fj197099 @fj197099

豪州は地理的に離れているので、どうしても心理的に中国の脅威を身近に感じられない。この論文でも「周辺国は中国に脅威を感じているのではない。中国の行動の不確実性を懸念しているのだ」としており、日本にとっては違和感が強い。中国は明確に脅威である(政府の公式見解はまだ明言していないが)。

2013-04-03 23:22:03
fj197099 @fj197099

中国との関係が(不確実性の問題さえ解決できれば協調の余地のある)「安全保障のジレンマ」であるという発想もナンセンスと言うべきで、日本にとっては中国は明白に現状変革国家だ。尖閣における中国の野心を見ればよい。そこに意図の不確実性は殆ど存在しないのだ。協調の余地も殆どないのである。

2013-04-03 23:24:04
fj197099 @fj197099

こういう日豪の(ラッドに豪州を代表させるのは少し違うのではあるが)意識の違いがある限り、日豪協力は日本が考えるようにはうまくいかないだろう。豪州に限らず東南アジアなどもそうだが、彼らの対中宥和姿勢を過小評価すべきではない。我々は単独でも中国に対抗しなければならないのである。

2013-04-03 23:25:42
fj197099 @fj197099

結局、我々=日本にとって一番重要な目的は、「米中紛争を避けることではない」点を明白にすることではないかと感じられる。米中紛争が起こると言う事は、米国がアジアの紛争、尖閣の防衛に関与してくれるということで、日本にとってはむしろ歓迎すべきことだ。米中紛争を起こさない、が目標ではない。

2013-04-03 23:28:01
fj197099 @fj197099

目標はアジアの民主国の主権を守り、確立されたリベラルな価値に基づく既存のルールへの挑戦を許さないことである。尖閣の領有権に対する挑戦を許さず、海洋の自由航行への挑戦を許さない。そのために必要とあれば武器をとって戦う。そういう目標設定が日本に求められているのではないかと感じられる。

2013-04-03 23:29:53