ついのべ10選

大して多くない中から選んでみたらこうなった。
2

これにしたよ

01.サボテン

永坂暖日 @nagasaka_danpi

私が物心ついた時から玄関の一角を陣取っているサボテン。母は花も育てないのにそれだけは大切に世話している。「お父さんから初めて貰った物なの」花ではなくサボテンを贈った父に呆れたが、ある時観葉植物にも花言葉があると知った。情熱、燃える心。無口な父を少しだけ見直した。 #twnovel

2011-06-05 16:21:50

02.奈落へ

永坂暖日 @nagasaka_danpi

今か今かと大勢が笑みを浮かべ私を見ていた。目の前の男も実に楽しげな顔で笑っていて、おもむろに私を奈落の底へ突き落とした。自分のつま先の向こうに青い空と白い雲が見える。人々の歓声に負けない悲鳴をあげながら、固く誓った。バンジージャンプなんてもう二度とやらない。 #twnovel

2011-08-17 21:48:28

03.求人広告

永坂暖日 @nagasaka_danpi

写真を撮るだけの簡単なお仕事です。弊社が世界に先駆けて開発したタイムマシン(試験機)に乗り、指定された時代へタイムスリップして証拠写真を撮って頂ける方を募集しています。実務経験・年齢不問。万が一現代に戻れなくても構わないという方は奮ってご応募下さい。 #twnvday

2012-01-14 18:34:45

04.恋愛加減乗除

永坂暖日 @nagasaka_danpi

人を好きになると最初は引き算をする。欠点はさっ引いて良いところだけを見る。少し時間が経つと足し算を始める。欠点を含めて好きと言えるようになる。やがて二人の掛け算の答えが幸せになった時、苦労は割り算で分かつことになる。 #twnovel

2012-01-18 23:26:36

05.Nostalgic pollinosis

永坂暖日 @nagasaka_danpi

地球外で活躍する宇宙飛行士の間で「地球の空気を充填したボンベ」が流行した。しばらく経つと宇宙服を着ている時にだけくしゃみ、鼻水、目の痒み等の症状を訴える飛行士が続出し地球外開発に支障をきたす程の大問題に。原因はボンベ中の花粉で、地球の空気は使用禁止となった。 #twnovel

2012-02-12 09:00:51

06.心霊写真

永坂暖日 @nagasaka_danpi

一人で心霊スポットに行った友人に写真を見せてもらった。真夜中の廃病院の光景はそれなりに不気味だが、幽霊らしきものは何も写っていない。特におかしな事もなかったそうだ。だからなのだろう、最後の一枚に写っていた友人はカメラ片手に残念そうな顔をしている。 #twnovel

2012-02-26 09:51:49

07.博士とヤドカリと私

永坂暖日 @nagasaka_danpi

色々なことに疲れ果てた博士。毎日汀を散歩して、ヤドカリにすみ心地はどうかと尋ねている。彼はおかしくなってしまったと人は云う。でも私はそう思わない。ヤドカリに話し掛ける時の博士は優しい顔をしていて、同じ表情で私にも尋ねるのだ。僕の隣の居心地はどうかと。 #twnovel

2012-03-04 18:22:58

08.魚捕るロボット

永坂暖日 @nagasaka_danpi

とあるひなびた漁村に太陽光発電で動くロボットがいる。彼は主人の為にずっと魚を捕り続けている。「おまえの捕った魚は美味しいよ」病を得て本当は何も食べられなかった主人の優しい嘘を知らないまま、ロボットは今日も墓に魚を届ける。 #twnovel

2013-01-21 19:54:05

09.羊と白い雲

永坂暖日 @nagasaka_danpi

羊は真っ青な空にぽっかり浮かぶ雲を見て思った。白い雲は自分と同じ様にもふもふっぽいのに何故浮かんでいるのだろう。それとも自分がその気になれば浮かべるのだろうか。もっともふもふなら飛べるのかもしれない。#twnovel けれど空を飛ぶ前にいつも毛を刈られてしまう。羊はまだ飛べない。

2013-03-04 23:42:24

10.ずっと貴方が好きでした

永坂暖日 @nagasaka_danpi

貴方が好きでした。ずっと好きでした。ずっと傍にいたのは私なのに、貴方はあの女を選ぶのですね。私の想いの深さを、嫉妬に狂うこの心を貴方は知っているでしょうか。どうぞ私の髪に触れて下さい。手触りに覚えがあるでしょう。これは貴方が愛した女の髪で作った鬘なのです。 #twnovel

2013-04-07 10:00:54

最後まで迷ったものたち

舞姫

永坂暖日 @nagasaka_danpi

手を触れ唇を重ねるのは容易くとも、私達の仲は許されなかった。身分という名の見えない壁が私達の間に聳えていた。私に許されたのは恋人の姿を見ることだけ。恋人は煌めくものを振りまきながら、私と私の妻となる娘の前で舞う。舞姫の流す涙の理由を知るのは私だけだった。 #twnovel

2011-06-02 22:28:56

望郷