『完本 太陽の牙ダグラム』誕生秘話【真実は見えるか】

放送当時は人気を博したものの、その後は『ガンダム』と『ボトムズ』の間に挟まれたこともあって一般的には忘れられかけていたアニメ『太陽の牙ダグラム』。しかし、根強いファンたちはそのあまりにハードなストーリーとキャラクター作りを支持してきました。 2012年には放映30周年を記念してDVDやモデル類が復刻されました( http://www.dougram.net/ )。その再評価のきっかけとなったと思われる本が2008年に突然(と言いたくなるほど意外でした)出版された『完本 太陽の牙ダグラム』( http://data.ichijinsha.co.jp/book/booksearch/booksearch_detail.php?i=75801114 )です。 その出版を実現させた作家・高嶋規之氏のツイートをまとめさせていただきました。 「今立ち止まり、静かに、そして熱く振り返るとき」(最終回予告より)
36
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

小谷野敦「ウルトラマンがいた時代」の信じられない誤認の数々 http://t.co/4PcMVZAsw4 おそらく、版元側の編集は特撮に詳しくないので著者に丸投げ。で、肝心の著者が詳しくないどころか、事実確認という必要不可欠な手間を惜しんだため、このような怪物が生まれたのだろう。

2013-04-13 01:04:56
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

の種の本で最も重要なのは、事実確認である。自分は編プロ時代以来、いくつものアニメや特撮の書籍等々を編集したり執筆したりしたが、原典の映像を必ず確認するという手法を採ってきた。これ当たり前(のはずなのだが、意外と同業者から驚かれる)。この手間を惜しむと、高い授業料を払うことに。

2013-04-13 01:09:33
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

『機動戦士Zガンダム』のフィルムブックを作ったときは、全50話を4回以上観てメモを作った。『完本 太陽の牙ダグラム』のときは、全75話を三回以上観返して、全話の紹介&解説、その他諸々の原稿を描き、他者の内容のチェックも行った。おかげで高い評価を得られた。

2013-04-13 01:12:26
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

しかしこれは先にも述べたように、至極当たり前のことであり、「えへんぷい」と胸を張るようなことではない。なにしろ世の中に、驚くようなマニアがごまんとおり、彼らを相手にするのである。どんだけ手間をかけても、かけ過ぎということはない(ビジネスとしての話は別)。

2013-04-13 01:15:11
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

『完本ダグラム』では、重要だったり印象的な台詞を抜き書きし始めたら、これがもう大変。なにしろそんな台詞ばかりなのだw 本気で死ぬかと思ったが、しかしやらずばならない、ダグラム大好きっ子のおれがやらずにだれがやる! てな調子で、完全にブレーキが壊れた状態だった。

2013-04-13 01:21:38
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

実際、図面やデザインを担当していた仲間は、拠点にしていたマンションに泊まり込んだことがとどめの一撃になったのか、病院送りになってしまった。しかし誰も逃げ出さず、地獄のような戦いを乗り切った。

2013-04-13 01:22:44
天上天下唯我独尊 @ayumix45

@F4EJ2Phantom つまりホントに命懸けの好きな仕事をやりきったわけですねw(しかし病院送りになってしまう人が出るって相当ですね・・・・・・)

2013-04-13 01:24:06
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

@ayumix45 その通りです。私も身体ボロボロになりました。でも大満足。

2013-04-13 01:27:55
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

なんでそんなになってまで…というと、答えは簡単「好きだから」だ。そうでないと、出口のない不況が続き、年々稿料が下がっていくこんな商売、やっていられるものか。いや、ギャラが高いに越したことはないですよ? つか、安いのはヤだよ(T_T)

2013-04-13 01:29:21
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

好きでやってる仕事さえいい加減にこなすなら、ンなもんやめちまえ!って言いたくなる。版元に読者にも迷惑だよ、そんな書き手。

2013-04-13 01:30:19
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

そういえば『完本ダグラム』を出したとき、「なんでいまダグラム!?」という声が多数あがっていた。実際、企画を版元に持ち込む窓口になり、編集の実務を仕切っていた人からも、終わったあとに「なんで?」と訊かれた。…いまこそ、その衝撃の理由を明かすときかもしれない!

2013-04-13 01:46:24
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

『完本ダグラム』を企画し、実現まで持っていった最大の理由は……「自分が欲しかったから」! これに尽きます。一迅社に話を持っていく以前、別の版元に話を持っていきましてね。担当さんも最初は乗り気だったんですよ。しかしDVDーBOXの生産数を知って芋引きまして、お流れに。

2013-04-13 01:58:58
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

『ダグラム』の本を書くことは長年の夢だったんですよ。当時『ボトムズ』玩具の仕事をしていまして、次はなんとダグラム! やった~と思ったら、『ヤッターマン』に会社のリソースを注ぐので中止と言われたり、その扱いに涙したもんです。はい。

2013-04-13 02:01:16
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

で、いつものように上井草に足を運んだら、版権のSから『ダグラム』の本やらないの? って訊かれまして。「やりたいけど版元が引いた」と答えたら「一迅社がやりたいらしいよ。あんたが企画立てなよ」と言われたのですよ。

2013-04-13 02:03:29
天上天下唯我独尊 @ayumix45

@F4EJ2Phantom ボトムズと違って他2作ってどーも不遇なんですよねぇ商品化が・・・・・(個人的にはガリアンがもっと悲惨なので哀しいっす・・・・・・)

2013-04-13 02:02:31
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

@ayumix45 放映当時のビジネスとしては、いちばん成功してるんですけどね。

2013-04-13 02:04:09
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

それで一迅社で仕事している知人を通し、企画を持ち込みまして。ぶっちゃけ、ビジネス的には勝算なんてなかったですよ。それどころか、たぶん売れないとさえ思っていた。しかしこの機会を逃したら、もう二度とチャンスは巡ってこないと思ったので、そんなことはおくびにも出しませんでした。

2013-04-13 02:06:07
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

これは要するに『ダグラム』ファンがいかに飢えていたということと、入院者まで出して作ったその内容が、濃いマニアでも容れるクオリティだったということだと思います。アマゾンのレビューなんかみると、実際、そんなことが書いてあるし。

2013-04-13 02:12:00
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

結果として、バッと売れたわけではないですが、一年弱で在庫を売り切るという、予想外の成績を残しました。経験上、こういう古い作品を扱った本って、ホントになにかギミックがないと売れないし、損益分岐点に達するにも時間がかかるんですよ。

2013-04-13 02:08:30
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

「分かってる人が作っている」ってあったけど、そりゃそうです。あなたたちの同類ですから、私はw 同じファンだからこそ、ファンが見たい読みたいものが分かったんです。

2013-04-13 02:13:21
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

ガンダムみたいな、放映終了後30年経っても、なにかしら動いているコンテンツは別。特に『ダグラム』は、本当になにもなかった。常道からすれば、売れるわけがないんです。版元を騙くらかしたようなもんです。なのに、そこそこ売れてくれた。しかも在庫を裁断しなくてすんだ。

2013-04-13 02:10:29
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

昨夜のダグラム関係のツイートで、私の経歴で誤解を招くような短絡的な書き方をしていたので注意。『ボトムズ』玩具の仕事とは解説書のことで、会社とはクライアントのことです。私は小説も書くフリーの文章屋です。

2013-04-13 14:22:43