影浦峡氏『信頼の条件―原発事故をめぐることば』

影浦氏の2013年4月出版の新刊を、宗教学者 島薗進氏が連続ツイートで紹介しました。 「科学者」と「専門家」の区別、など、参考になるお話です。
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島薗進 @Shimazono

1影浦峡氏の新刊『信頼の条件―原発事故をめぐることば』(岩波書店) http://t.co/or4j9PSZ4Z では「科学者」と「専門家」を区別して、独自の意味をもたせていて、啓発的だ。科学者は「新しいことを探求し、自分の発言に挙証責任を負う人」

2013-04-15 08:41:44

信頼の条件――原発事故をめぐることば (岩波科学ライブラリー)
影浦 峡 (著)

島薗進 @Shimazono

2影浦峡氏『信頼の条件―原発事故をめぐることば』http://t.co/or4j9PSZ4Z 科学者は「新しいこと」に開かれているとともに、他者の探求に「挙証責任を負う」という意味でも開かれた論を行う者と理解されている。科学が元来もっていた倫理的な側面を救い上げてる。

2013-04-15 08:42:59
島薗進 @Shimazono

3影浦峡氏『信頼の条件―原発事故をめぐることば』http://t.co/or4j9PSZ4Z 専門家とは「ある領域に関してこれまでに解明された知識や技術、ノウハウを十分に有している人」p13。つまり「科学者」が「専門家」であることに満足していしまう現代という捉え方。なるほど。

2013-04-15 08:43:36
島薗進 @Shimazono

4影浦峡氏『信頼の条件―原発事故をめぐることば』http://t.co/or4j9PSZ4Z 原発推進過程と原発災害後の状況では新しい事柄に向き合わず、自らの前提を問い返さない専門家が目立ち、閉ざされた論が当たり前のように行われてきた。拾い上げられてる例が十分味わえる。苦い味。

2013-04-15 08:45:05
島薗進 @Shimazono

5影浦峡氏『信頼の条件―原発事故をめぐることば』に引かれるある小咄。「わたしのかかりつけのドクターは、とてもいい人でね…手術が必要だと分かって、でも患者はその費用がどうにも払えないって場合、彼は逆にレントゲン写真のほうを、きれいに修正してくれるんだ」p28既視感ある?

2013-04-15 08:45:23
島薗進 @Shimazono

6影浦峡氏『信頼の条件』大橋弘忠東大教授(原子力工学)「事故のときどうなるかというのは…起きもそない確率についてやっているわけですね」「皆さんは原子力で事故が起きたら大変だと思っているかも知れませんが、専門家になればなるほど格納容器が壊れるなんて思えないんですね」p15

2013-04-15 08:45:41
島薗進 @Shimazono

7影浦峡氏『信頼の条件―原発事故をめぐることば』「安全委員会は…全交流電源喪失の可能性は考えなくてもよいとの理由を事業者に作文させていた…」(国会事故調報告書)。結論に合わせて「事実」を作る「専門家」。「専門的知識」に従って、それによっては説明できない現象が排除される構造。

2013-04-15 08:46:15
島薗進 @Shimazono

8影浦峡氏『信頼の条件―原発事故をめぐることば』水俣病でも同じ。原田正純氏は言う「しばしばその定説が権威をもつと、それを守ろうとする権威者が出てくる。そうした発想は、権威を守ることに執着するだけでなく、新しい事実や発想に蓋をしてしまう作用をすることになる」p35-6

2013-04-15 08:46:38
島薗進 @Shimazono

9影浦峡氏『信頼の条件―原発事故をめぐることば』原田正純氏「人類がはじめてえ経験する事件であるということは、もともとどの教科書・研究書にも実験データも経過の記録もないということを意味する」「問題は人類初の経験であるという謙虚さを、専門家がもっているかどうかである」謙虚は科学の徳。

2013-04-15 08:51:35
島薗進 @Shimazono

10影浦峡氏『信頼の条件―原発事故をめぐることば』心理学者がいう「仮説確証バイアス」p35は広く見られる。対立のあるところでは双方に生じがちで慎重派も免れない。だが、原発では強大な構造的組織的力が加わり、科学の開いていく働きが作動するのが未だに困難。これは私が追求しているテーマ。

2013-04-15 08:51:55