CGで作られた3D映画って、演出として1カット内で視差を変化させるってネタがよくある。3Dメガネ外して2つの映像のズレを見てるとよくわかるけど。
2010-09-05 20:14:03そのほとんどが、広い視差(立体感は薄い)→狭い視差(立体感強調)って順番で、「ヒック〜」のオマケ上映だったシュレック3でもこういう演出が多様されてたので、「ヒック〜」3D版三回目の時、3Dメガネを外して見るとゆー暴挙に出たんだけど……
2010-09-05 20:17:56で、「ヒック〜」なんだけど、1カット内での視差変化はほとんどなかった。つまり1カット内で両目の間隔を広げたり縮めたりといったある意味「CGじゃないと成り立たない演出」は観る限り皆無、極めて現実に即した撮り方。
2010-09-05 20:24:10しかし「ヒック〜」ではカット単位で細かく視差の調整を行っており、このカットごとの視差調整がダイレクトに演出に結びついてくる。これ、3Dメガネかけてるor2Dでみると、気付かずスルーしがちなんだよね。
2010-09-05 20:26:26では具体的に分かりやすい例を出すと、捕まえたトゥースレスをヒックが解放→トゥースレスがヒックに飛びかかって組み敷くカット。直後に(恐らくヒック目線の)トゥースレスの睨む眼の超ドアップが入る。
2010-09-05 20:28:35このガン飛ばすトゥースレスのドアップ、直前のカットと比べて視差が狭く、両目の焦点が交差する角度が広い。鼻の頭を観るような極度の寄り目のイメージというか。
2010-09-05 20:30:54そうすると、近いものはより近く、少しでも遠いものはより遠く見える。手前にせり出すトゥースレスの鼻梁を山の如く感じ、視界がトゥースレスの眼で埋め尽くされる。要するに必要以上に凸凹が強調され、実際よりでっかく見えるの。
2010-09-05 20:34:25試して貰えばわかるけど、例えば拳を見ながらどんどん顔に近付けると、ドアップになる前に眼球がそれ以上寄れなくなるから、物理的に近くのものをドアップででっかく見ることはできない。
2010-09-05 20:36:45誰でも一度は経験あるんじゃなかろうか。大好きなプラモや飼ってる犬、はては父母の顔をドアップで見た思い出が。「ヒックとドラゴン」の3D表現は、キャラの主観目線になった時、意図的にこの「子どもの頃の見え方」を多様してる。
2010-09-05 20:44:38つまりそれは大人の客からしてみれば体感的に分かってる事、子どもの客には現在進行形で体感してる事の再現なんだよ。だから理屈じゃなく直接感覚的にキャラの味わった感覚が「分かってしまう」んだよね。注意してみると、ヒックの仲間や親父がドラゴンに初めて触れる時には必ず主観(もしくはそ...
2010-09-05 20:47:57安易に視差変化せず、演出のテンポに合わせて要所要所にそうした「現実体験とのフック」を潜ませ、観客の体験と映像を重ね合わせた所で、ついにこの映画の必殺技が炸裂する。
2010-09-05 20:48:46それまで散々「これはかつて体験したことある」と無意識下に刷り込まれた脳で、いきなり始まる飛行シーンを観ると、脳が勢いで「あ、これも体感したことあったかも」と勝手に思い出を捏造し始めるんじゃないか。
2010-09-05 20:51:11飛行シーンも折に触れ「チャリで疾走」だの「絶叫マシン」だのといった最大公約数的な「思い出のフック」を散りばめて演出されているため、単なる遊園地のライド映像とは全く違う次元で「お、俺は今飛んでいる!!」っていう感動が獲られるのではなかろーか。
2010-09-05 20:54:25梅干し見たら唾液が分泌されちゃうように、急降下するカットは動作前にちゃんと「急降下に入りますよ〜」っていうタメがある。これ知ってる。ジェットコースターが登りきった瞬間だ。だから映像の中の急降下なのに、キンタマがキューっと反応してしまう。
2010-09-05 20:57:32少しでも映像制作に嗜好がある身故、アバター見て「確かに飛び出し系と違って素晴らしいけど、この辺りが限界かなあ」とか偉そうに言っててすいませんでした。
2010-09-05 21:01:11