無頼庵レポート7 28~30日 同行者・董子
- 無頼庵レポート30
迷ったわけではない(と思う)のだが、また電磁バリアの保管庫前に来てしまった。
唖然とする私に董子くんが不思議そうに見上げてくる。
「いやあ、ここ3回目でね」
なんて格好悪くて言えない。
「ふむ、電磁バリアとは厳重だな」
などと誤魔化して後にした。
この次も迷い込んだら笑うしかない。
董子を「彼」が引き取りにきた
@miyu_zs 「おじさん……、あそこ、ニクがいる」菫子が無頼庵さんの服の裾をひっぱって、指をさします。そこにいるのは確かに同じ顔・同じ姿のひとがた。だけど。「……」菫子は不安げに無頼庵さんを見上げます。(というわけで、菫子を回収しに参り……参りまし、た)
2013-05-04 01:19:46@miyu_zs 「こんにちは、初めまして」声をかけられ、機械人形が無頼庵さんと菫子を見やる。菫子は慌てて無頼庵さんを制した。「あっ、違うんです、無頼庵さん。この人で……いいの……」それをうけて、人形が「ああ」と理解する。「あなたが媒体ですね」
2013-05-04 02:08:58@miyu_zs 無頼庵さんの方に真っ直ぐ体を向け、一礼をします。「確かに『私』が彼女を預けました。長期間保護していただき、ありがとうございました」
2013-05-04 02:09:02@black_bury ふう、と大きく溜息をつき顔を上げた。「そうか……噂の機械人形か」董子をみやり「良いんだね?」彼女の元に帰ることについて再確認を取った。
2013-05-04 02:14:46@miyu_zs 菫子は、無頼庵さんの問いにおずおずと頷く。「……私は少し、この人に渡すものがあるから、それさえ済ませられればいいんです。でも……」言いにくそうに、少しずつ言葉を続けます。「私、もう少しおじさんといたいです。迷惑ですか?」
2013-05-04 02:22:49@black_bury 驚いた様に「それは……それは構わないが」そして少し考えると、ニク……と呼ばれた機械人形に尋ねた。「君はこの子を引き取った後、どうする予定だろう。館を出るのか?」
2013-05-04 02:32:25@miyu_zs 「任務を終えれば館外へ帰還します。出口を発見すれば、補給の為に一時撤退することもあり得ます。その間は彼女に一緒にいていただくことになります。私としては、彼女の離脱は少々不都合が伴うのですが……」
2013-05-04 02:36:31@black_bury 「なんだ、それは。君の都合でこの子を脱出させないのか?こんな危険な場所なのに!」怒気を含んだ声で聞き返した。彼としては一刻も早く安全な場所に董子を避難させたいのだ。未来がある存在、だから守ったのだ。
2013-05-04 02:42:40@miyu_zs 「はい。先代がなぜ彼女を選択したかは、現在の私には判別不能です。しかし選択されたからにはそれなりの理由があるのでしょう。……強く怒られていらっしゃいますね。何故です?」人形は至極淡々と語る。菫子はショックを噛み潰すように、口を閉じたままだ。
2013-05-04 02:50:38@black_bury 董子の背に優しく手を添える。「もし、外に出られるならこの子の安全の為にそうすべきだからだ。君にとって任務は確かに大事だろう。だが、人命の救助と安全は最優先すべき事項だと、人間なら判断する。それを君は疎かにしているからだ」
2013-05-04 02:56:30@miyu_zs 「ふむ。私は人間ではありませんから、そう判断しないのでしょう。思考の違いによる異種間同士の争いは避けられないものなのですね。不快にさせてしまい、申し訳ありません」あまりに規則正しい動きで一礼を。先程とまったく同じ動きです。ここでようやく菫子が口を開く。
2013-05-04 03:08:05@miyu_zs 「とりあえず、ニクを起こすから、せめてニクと話したい。ニクじゃないと話にならない。……おじさん、ホントごめんなさい…失礼なやつで……」「ああ、そうですね。情報があまりに足りません。一度ふたりきりにさせていただけますか。これより先は……人目を憚りたいものですから」
2013-05-04 03:08:08★
@black_bury とんでもない!ぶーも納得出来れば同行はありがたいのですが、やっぱりお嬢さんは一刻も早く助けたいと思っているでしょうから。
2013-05-04 03:19:22@miyu_zs 一刻も早く脱出を、と願って下さるのが……本当に有難うございます。無頼庵さんの手が暖かすぎてつらい…… 菫子を機械人形の手元に置いておくと、無頼庵さんが願ってくださることと真逆の状況になるのはここだけの秘密なのです。
2013-05-04 03:24:06★
@black_bury 「……良いだろう」無頼庵は再び吐息を着いた。「私は……この子の安全を確保したい。それだけだ。もし今外に出ることがこの子にとって危険であるなら、もちろん同行させてもらう」そして董子の頭をぽんぽんと叩いた。「待ってるから行っておいで」
2013-05-04 03:25:49@miyu_zs 「ありがとうございます」機械人形は微笑みを。菫子は、頭に置かれたやさしい手の重みに、泣きそうな顔で。「おじさん……」それからニクと同じ顔をした機械人形につきそって、見えないところへと消えてゆきます。
2013-05-04 03:51:47@black_bury 二人を見送りながら、無頼庵はやるせない気持ちになった。一体、このゾンピパニックのお陰で、どれほどの『普通』が壊されただろう。董子の年頃ならこんな薄暗いホラーハウスにいるより、日の下で友達とアイスクリームでも食べながら好きな子の話をしているのが相応しい。
2013-05-04 08:54:28@miyu_zs 十分は経っただろうか。無頼庵さんが待っているのがしんどいようでしたら、もっと長く感じたかもしれません。先程二人が消えた物陰から、また戻って参りますね。近くまでくると、菫子は無頼庵さんの方へ駆け寄ります。機械人形は先程と同じ一礼をして。
2013-05-04 04:04:09