戦後の地下鉄建設の資金調達スキームについて

http://t.co/oyOPZNxV8k本日のメルマガは「東京メトロに『経営改革会議』設置を提案」。地下鉄は山手線の内側を走る金城湯池だが、利益は利用者に還元されていない。主要株主・東京都が株主提案。東京電力にも個別発電所の収支公開など経営の透明性を高める提案を公表。登録無料
2013-05-02 12:38:55
>東京都はこれまでに東京メトロに対して、2750億円の資金を供給してきました。国もほぼ同じ金額で、両者合わせると5500億円の公的資金が、営団地下鉄時代以降、投入されてます。つまり、東京メトロの総建設費の4分の1は公的資金によってつくられてきた。
2013-05-02 18:33:58
>なぜならば、地下鉄はふつうの私鉄と違って、都心でトンネルを掘ることは非常にコストがかかる。普通の私鉄の場合は、郊外に線路を延長して、住宅を建てたりデパートを建てたりすることによってビジネスモデルをつくってきた。いわば、私鉄は不動産業のビジネスモデルでありました。
2013-05-02 18:34:06
>同時に、一度つくれば、私鉄の場合には都心のターミナルステーションから、それこそ1時間、2時間果ての郊外までずっと延びていくので、お客さんは最後は減っていくのです。地下鉄の場合には、山手線の内側を、ほぼ走っているから、必ずお客さんが来る。
2013-05-02 18:35:10
>最初の投資はかかるけれども、必ず利益は得られる。そういう意味で、金城湯池にある。メトロはほぼ建設が終わっておりまして、減価償却も進めば必然的に利益が生じていくのですから、2011年度でも550億円の利益が発生しています。しかし、その利益は、利用者に対して充分に還元されていない。
2013-05-02 18:35:34
営団(東京メトロ)が建設した8路線の建設費合計は約2.3兆円である。1路線あたり3000億円近い建設費が投じられたことになるが、実際にはインフレが起きているため建設費は均等ではない。実は昭和45年(1970年)に着工した有楽町線以降、半蔵門線、南北線、副都心線で計80%にもなる。
2013-05-02 18:36:15
地下鉄建設には莫大な費用が必要であり、特殊法人が立てられたり、公費が投入されたりしたのは事実だが、交通営団が設立された当初は、当時計画されていた5路線の建設は国や東京都と私鉄からの出資金と、営団が発行する交通債権(資本金の10倍まで発行可能)で賄えると考えられていた。
2013-05-02 18:37:27
戦後もしばらくは同様で交通債券の発行と国や東京都からの増資によって丸ノ内線や日比谷線などの建設を進めていた。しかし、物価や人件費が高騰したため、建設費に公的な負担(補助金)を獲得し、資金調達を進めようという動きが行われた。やがて補助金制度は実現し、補助率も増加した。
2013-05-02 18:37:48
はじめは金利の補助、次いで建設費の10%相当の補助が与えられたが、昭和44年から補助制度が大幅に拡大され、建設費の50%を国と地方自治体が折半して補助することになった。補助率は現在では70%まで引き上げられている。猪瀬のいう国と都の公的資金とはこれのことである。
2013-05-02 18:38:02
先ほどの建設費総額の話を思い出して欲しい。有楽町線の着工は昭和45年。有楽町線は新補助制度を前提に建設された路線だった。そして以降の路線の建設費合計が全体の80% つまり、地下鉄への公的資金の投下は建設費の高騰に対応すべく、資金調達を円滑にするために作られた制度の結果である。
2013-05-02 18:38:11
これは私鉄と地下鉄のビジネスモデルの違いでもなんでもなく、どこの鉄道会社も共通の70年代以降の資金調達スキームの問題なのである。7〜80年代以降に建設または大規模改良を行った私鉄線、3セク線は無利子貸し付けや積立制度などの公的支援を前提としている。事情は私鉄も同じなのだ。
2013-05-02 18:38:20- 追記:猪瀬直樹『土地の神話』に関連して、こちらもご関心があればどうぞ。